唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

狼狽

2006-07-29 08:31:40 | Weblog
「倉庫は空っぽです」

「禁軍兵士に与える米もありません」

「飢えが迫って兵士達は怒り狂っています」

「強制徴募され、食糧も与えられない、儂らは罪人かと叫んでいます」

「兵営を出た兵士は市場を荒らし回っています」

貞元二年の春、京師には飢餓が迫っていた。

兵士も民衆も痩せて黒ずみ、よろよろと歩いていた。

本格的な兵乱にならないのはただ体力がないせいである。

「どうしたらよい、なぜ貢米が届かない」

皇帝はおろおろと心配するばかりであった。

「もし吐蕃が侵攻してきたら、誰も防ぐ者はいない」

その時
「浙西からの米三万石が届きました」

陝州の李泌からの上奏が届いた。

喜びのあまり皇帝は皇太子の所に出向いて言った。

「助かった、これで我々親子は無事だ!」

「一刻も早く禁軍に知らせよう」

報せを聞いて禁軍兵士も萬歳を叫び、やがて始まる配給を
うけるため兵営に戻り始めた。
コメント
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