「まさか行かれるのではありますまいね」
「節度使ご招待だ、行かないわけにはいかんだろう」
「いくら節度使とはいえ、いまは黄巣に降った賊です」
「いけば殺されることも考えられます」
「いや周岌の心はわかっているよ」
忠武監軍楊復光の館は緊張に包まれている。
節度使周岌は黄巣の侵攻時に率先して降り、忠武節度使を安堵されている。
しかし唐の監軍たる復光を拘束するのでもなく放置していた。
昨日、急に使いを寄越し招待をかけてきた。
「彼は唐に帰順したいのだ」
「巣の勢力は弱まってきたと思っている」
「岌が立場を変えやすいようにしてやるだけさ」
酒宴が始まった。
復光はさかんに往事の事を語り、岌に昔を思い出させた。
やがて岌は泣き言った
「皇帝のご恩は一日として忘れたことはありません、ただ私一人では賊に対抗できないのです」
復光も泣いて言った
「殿の忠心はよく知っています。状況は変わってきました。今なら殿は本心に立ち戻ることができます」
「帝はお赦しくださるだろうか」と岌
「帝も殿の忠義はご存じです、あとは行動に示すだけです」と復光
そしてこの夜、復光は巣の使者を攻め殺し、既成事実を作ってしまった。
「節度使ご招待だ、行かないわけにはいかんだろう」
「いくら節度使とはいえ、いまは黄巣に降った賊です」
「いけば殺されることも考えられます」
「いや周岌の心はわかっているよ」
忠武監軍楊復光の館は緊張に包まれている。
節度使周岌は黄巣の侵攻時に率先して降り、忠武節度使を安堵されている。
しかし唐の監軍たる復光を拘束するのでもなく放置していた。
昨日、急に使いを寄越し招待をかけてきた。
「彼は唐に帰順したいのだ」
「巣の勢力は弱まってきたと思っている」
「岌が立場を変えやすいようにしてやるだけさ」
酒宴が始まった。
復光はさかんに往事の事を語り、岌に昔を思い出させた。
やがて岌は泣き言った
「皇帝のご恩は一日として忘れたことはありません、ただ私一人では賊に対抗できないのです」
復光も泣いて言った
「殿の忠心はよく知っています。状況は変わってきました。今なら殿は本心に立ち戻ることができます」
「帝はお赦しくださるだろうか」と岌
「帝も殿の忠義はご存じです、あとは行動に示すだけです」と復光
そしてこの夜、復光は巣の使者を攻め殺し、既成事実を作ってしまった。