そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

冷徹なる「亀田」観

2006-08-26 23:41:20 | Sports
雑誌「Number」の今週号が「オシムの全貌」というテーマだったので、久々に買ってみた。
でも、ここで紹介するのはオシムについての記事ではなく、阿部珠樹のコラム「日々是観客」。
先日の亀田興毅vsフアン・ランダエタのWBA世界ライトフライ級王座決定戦について書かれていた。
タイトルは「密教的ボクシング。」

ボクシング素人である自分は、このブログで「亀田のファイトは悪くなかった」「試合内容は良かった」といったことを書いたが、ボクシングに関心のある人から見ると全くお粗末なものだったようだ。
コラムは、亀田が、口の利き方が悪いなどと批判されていることについては「まともに論難する気にもならない」とした上で、以下のように語る。

亀田の試合の問題点は、その内容の無さに尽きる。試合ぶりがあまりにお粗末だった。パンチは外からのフックがほとんどで、まっすぐ伸びるジャブ、腰の入ったストレートが打てない。だからたまにヒットしても、ダメージを与えられない。亀田陣営は減量によるパワー不足を苦戦の理由にしていたが、ダメージを与えられなかったのはパンチの打ち方の基礎ができていないせいだろう。

このクラスにしては脚が無さ過ぎる。相手を逃さず追い込んでゆく技術がないので、すぐに体を入れ替えられてしまう。ガードは一見固そうだが、自分でパンチを打ったあとは決まって下がるので、そこにお返しのパンチをもらう。コンディションにも問題があったのかもしれないが、およそ世界戦を戦う水準には見えなかった。

そう言われてみれば、そんな感じだったようにも思える。
だとすると、そんな亀田を追い詰めなかったランダエタって、やっぱり・・・??

さらに、1ラウンドでダウンを喫して戻ってきた亀田に、セコンドである父親がビンタを食らわせたことについても、「沸騰したやかんをかなづちで叩くようなもの」と表現し、「これだけを取り上げても、どういう人が亀田を指導しているかがわかる」と手厳しい。

その上で、ボクシングに少しでも造詣のある人は「今後亀田の試合に関心を持つことはないだろう」と述べる一方、亀田を「最初から強い人として応援している」人たちは、「試合内容を見て亀田を好きになったり、その技術に感嘆して応援しているわけではない」ので、別に試合内容や結果がどうなろうと落胆することはなく、また亀田陣営にとっても相手にしているのは「大事な自分のマーケットのお客様」であるところの後者だけなので別にそれはそれで全く問題がない、としている。

まったく噛み合わない亀田擁護派とアンチ亀田派の関係性をよく言い当てていると思う。
結局亀田がらみのイベントは、ボクシングそのものではなくボクシング界に場を借りた一種のショービジネスであり、純粋にボクシングを好きで観ている人はそんなこと百も承知なので別に騒ぐ必要もない、といった冷ややかな視線がなかなか興味深かった。
コメント
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