本日の日経新聞朝刊企業面「雇用 派遣業界に聞く 下」パソナグループ南部靖之代表のインタビューから以下メモ。
-製造業派遣の契約打ち切りについて要因をどうみているか。
「製造業が各地に新設した工場の労働力は二、三年前まで、期間工など直接雇用の非正規社員だけでなく請負社員にも依存していていた。工場長は請負社員に直接、指揮命令できない。繁忙期なので三十分残業してほしいなどと指示すれば法に抵触する」
「一部製造業が請負社員に指示を出していたことが偽装請負といわれ、厚生労働省は各社に直接雇用か派遣社員に置き換えるよう求めた。そのころ製造業への派遣期間を三年に延ばす制度変更が重なった。その契約期限が今年に集中する。期限切れを前に製品の売れ行きが目に見えて悪くなった昨秋から、工場側は派遣契約の打ち切りを前倒しで始めた。派遣打ち切りの背後にそうした構造要因がある。コンプライアンス不況の一種だ」
「小泉の規制緩和路線が身分の不安定な派遣社員を多く生み出した」みたいな「物語」が、如何に一面的な見方であるかがよくわかる。
製造業という業態にとって景気変動による雇用調整が必須命題である以上、製造業派遣を禁止したところで、請負の復活など他の形態での非正規雇用に置き換わるだけだろう。
それよりも雇用からあぶれた人たちへのセーフティネット構築や、社会全体の雇用流動性を高めることのほうが余程重要なことのように思います。