灯台守の話ジャネット ウィンターソン白水社このアイテムの詳細を見る |
スコットランドの辺境に立つ灯台を巡る、二百年の時空を超えた人々の物語。
冒頭の、主人公の母の死にまつわるエピソードから、これが完全なる「寓話」であることが明らかとなる。
その後も、時空を行ったり来たりする場面展開の中で、その寓話性、神秘性が高められていく。
一方で、散りばめられたエピソードの中には、生々しい「痛み」を感じさせるものも多い。
寓話性と生々しさ。
そのバランスに妙味があり、独特の優しさと痛切さが小説全体に漂う。
なんだか不思議な印象を残してくれる物語でした。