人生の最晩年に達した男の回想形式による短編小説6篇。
語り手となる人物は、1937年生まれの古井由吉と同世代に設定されていると思われ、私小説的な一面もあるのかもしれません。
老境に達した人間がどのような心境になるのか、もちろん自分には想像することも難しいのですが、この短編小説集に触れることで、それを疑似体験できたような気がします。
「達観」や「郷愁」といったイメージとはずいぶん違って、案外惑っており、情念的でもあるな、という印象。
回想といっても、時制は単純ではなく、青年時代の出来事を思い出している中年時代の自分を、今、回想しているといった多重階層形式になっていたりします。
言葉づかいは高尚、かつ、思索的で難解な部分も多く、けっして読み易い小説ではありませんが、なかなか味わい深い。
6篇の中では、若き同棲時代、宅の離れを自分たちに貸してくれていた老人との交流を描いた「生垣の女たち」が、ドラマチックで印象深かったです。
語り手となる人物は、1937年生まれの古井由吉と同世代に設定されていると思われ、私小説的な一面もあるのかもしれません。
老境に達した人間がどのような心境になるのか、もちろん自分には想像することも難しいのですが、この短編小説集に触れることで、それを疑似体験できたような気がします。
「達観」や「郷愁」といったイメージとはずいぶん違って、案外惑っており、情念的でもあるな、という印象。
回想といっても、時制は単純ではなく、青年時代の出来事を思い出している中年時代の自分を、今、回想しているといった多重階層形式になっていたりします。
言葉づかいは高尚、かつ、思索的で難解な部分も多く、けっして読み易い小説ではありませんが、なかなか味わい深い。
6篇の中では、若き同棲時代、宅の離れを自分たちに貸してくれていた老人との交流を描いた「生垣の女たち」が、ドラマチックで印象深かったです。
やすらい花 | |
古井 由吉 | |
新潮社 |