そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

「光媒の花」 道尾秀介

2010-11-06 16:29:51 | Books
6章の連作短編集。

第1章「隠れ鬼」のノスタルジックで隠微な雰囲気がなかなかいいなと思いつつ読み進めていると、唐突に殺伐とした話になる。
そこでどうも興を殺がれてしまいました。
別に殺伐としているのが悪いわけではなくって、唐突なのが違和感あり。
作為的に過ぎるように感じる。

その過剰な作為性は、第4章の耳の聞こえなくなった少女や第5章のカタツムリの件りでも同じく感じられてしまう。
あんまりそういうの趣味じゃないんです。

殺伐とするなら、最初っからその雰囲気が流れている第3章みたいなほうがよいと思うし、第6章みたいに地味だけどオーソドックスな作りのほうが著者の筆力も映えるように思います。
やっぱり空気の統一感って小説にとって大事だと思うのです。

光媒の花
道尾 秀介
集英社
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尖閣ビデオ流出雑感(続き)

2010-11-06 16:16:24 | Politcs
またまた溜池通信さんより。
11月5日「かんべえの不規則発言」は「尖閣問題の秘密」。
今回の一連の出来事を、中国の指導者層の立場に立ってみると…という視点で、興味深い。

「とにかく理解してほしいのは、中国において対日問題は内政問題なんです。扱いを間違えたら、即座に失脚する。中国で失脚と言ったら、一族郎党の生命財産が危うくなるという、文字通りの命懸けですからね。選挙に落ちて、それで済む日本の政治家とは覚悟が違うんです。例えば温家宝首相は、今とってもビミョーな立場なので、対日問題にはどうしても腰が引けてしまう。だから日中首脳会談をドタキャンしたりする。本当であれば、ナンバーツーである首相は、国家主席の踏み台にならなければならないのに」

「正直に言うと、この件は早く忘れたい。粛々とG20とAPECを終わらせて、何事もなかったかのように日中首脳会談を終わらせてホッとしたい。ところが、胡錦濤主席が国際会議に出席する直前に、あのビデオが流出してしまった。これでは胡錦濤主席が、日中首脳会談に出るか出ないかで悩まなければならない。引退を2年後に控えて、どうやって権力基盤を維持するか腐心しているこのタイミングで・・・・」

「そもそもフジタの社員を解放したのは、あのビデオを公開しないことが交換条件だったんですよ。それが全部蒸し返しになってしまう。ホントにこれは故意ではないんですか。中国を困らせるために、練りに練った悪意でやってるんじゃないのですか。それにしても、日本とは何としたたかで悪辣な外交を仕掛けてくるんだろう・・・・」

最後の部分については、自分もビデオ流出の報に触れた際、もし政府が流出を装う形で仕組んだんだとしたら相当高度なやり口だなあと直感的に思ったんですが、まさかあの連中がそんなテクニシャンだとはとても思えませんからねえ。
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