サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (講談社+α新書) | |
三戸 政和 | |
講談社 |
Kindle版にて読了。
個人M&Aのススメ。
それなりの規模の企業で管理職としての会社人生を歩んできた会社員が、定年あるいは役職定年を迎えて、大組織に属さない第二の人生をどう歩もうか考える場合、ゼロイチで起業しても現実的には成功率はきわめて低い。
(本書では、特に飲食業での起業の困難さが詳細に語られる)
そこで、既に実績のある中小企業を買って経営者になるという選択肢が浮上する。
いきなり素人が小さいとはいえ知らない会社の経営などできるのか、という疑問もわくが、大規模企業の管理職として長年のマネジメント経験を積んだ人間であれば、中小企業の経営を行うことはそんなに難しいことではない、むしろその経験が アドバンテージになると著者は言う。
10年以上存続した中小企業であれば、一定の安定飛行ができている一方、その経営は時代遅れでずさんなことも多く、経営のやり方がよくないためにそのポテンシャルを業績につなげられていない会社はたくさんある。
管理職としてのマネジメント経験に基づき、当たり前に行ってきたことを適用するだけで経営が革新されてしまうものなのだ。
一方で、事業は順調でも後継者不足のために会社をたたまざるを得ない中小企業はたくさんあり、そこに出資して経営を引き継いでくれるのなら、中小企業の現経営者の側からみてもウェルカムな話。
純資産ゼロで売上高1億円、営業利益500万円の会社なら1500万円もあれば、純資産・売上高が同じで営業利益100万円の会社ならそれこそ300万〜500万円で買えてしまう、と。
著者自身が、中小企業の事業承継や事業再生に係る投資ファンドを生業にしているとのことで、その分は割り引いて考えた方がよいかもしれないが、書かれていることは合理的で、まさに本書のターゲット読者層にジャストミートな自分としては心動かされるものがある(笑)。
会社を売りたい経営者と買いたい個人をマッチングするサイトなんかも既にあるようで、本書も結構売れたみたいだから買い手の競争もこれから激しくなっていくのかもしれない。
まあ、ホントに買うかどうかは別として、いろんな中小企業を探してみるのも社会を知るよい機会になるかなと思うし、その結果としてよい会社を見つけることができたらこれに勝る幸運はないなという気はする。