IQ (ハヤカワ・ミステリ文庫) | |
ジョー・イデ、熊谷 千寿 | |
早川書房 |
Kindle版にて読了。
「サウス・セントラル・ロスアンゼルスのシャーロック・ホームズ」との触れ込みに惹かれて読んでみた。
正直、どこがホームズやねん、という気はしたが、よい意味で裏切られた感。
映画なんかでよくみる西海岸のスラムの壮絶な、それでいてどこか明るさを失わないコミュニティを背景に、単純には語りつくせないトラウマを抱えた主人公の複雑な精神性が、相棒とのこれまた複雑な関係性と絡みながら、重層的に、テンポよく立ち現れていく。
ここにあるのは正義や理性ではなく、やるかやられるか、生き抜くためのサバイバル。
その過程で悪を討つ、ピカレスクな世界観。
白眉は、モンスターサイズの猛犬による襲撃場面の迫力ある描写。
犬がらみの場面は、どれも獣の臭いが紙面から沸き立ってくるような臨場感がある。
これはシリーズものになるのだろうか。
次作にも期待したい。