そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

「タックスヘイブン」 クリスチアン・シャヴァニュー、ロナン・パラン

2009-01-17 23:21:36 | Books
タックスヘイブン―グローバル経済を動かす闇のシステム
クリスチアン シャヴァニュー,ロナン パラン
作品社

このアイテムの詳細を見る


タックスヘイブン、オフショア市場といえば、ケイマン諸島などの南の島の小国や、パナマ・リベリアなどの便宜置籍船国がパッと思いつくわけですが、スイスなど銀行業での秘匿性を強化している国や、ロンドンなど規制の緩い国際金融市場なども含めるのだということを、この本で初めて知りました。
タックスヘイブンの歴史、そこで誰が何を行っているのかについて、客観的かつ網羅的に解説されており、自分のような素人が何となく全体像のイメージを掴むにはいい本です。
といっても概要のみの記述なので、具体的にタックスヘイブンがどんな利用のされ方をしているのかはさわりしか分からない。
特にユーロダラー市場については、どんな仕組みで何が問題なのかなどが理解できずやや消化不良でした。

マネーロンダリングやテロマネーなど犯罪がらみは別として、租税回避のためのタックスヘイブンの活用は、完全にグローバル経済に組み込まれており、もはやそれなしでは世界経済が成り立たないほどになっているようです。
当然その分、各国政府の租税収入は損なわれているわけですが、それを規制すれば国際経済活動全体が収縮してしまうがために、国際的な規制の取り組みもなかなか強化されない。
「必要悪」として確固たる位置づけを占めてしまっているわけですね。

そんな事情もあってか、グローバル経済にこれだけ深く組み込まれているタックスヘイブンですが、体系的に研究された例は極めて少ないそうです。
自分のような一市民にはなんだか雲をつかむような話ですが、こうやって世界中をお金が回っているのだ、こうやって莫大なお金を稼いでいる人たちがいるのだ、というようなことを何となく知っておくのも必要なことのように思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「灯台守の話」 ジャネット・ウィンターソン

2009-01-16 22:51:03 | Books
灯台守の話
ジャネット ウィンターソン
白水社

このアイテムの詳細を見る


スコットランドの辺境に立つ灯台を巡る、二百年の時空を超えた人々の物語。

冒頭の、主人公の母の死にまつわるエピソードから、これが完全なる「寓話」であることが明らかとなる。
その後も、時空を行ったり来たりする場面展開の中で、その寓話性、神秘性が高められていく。

一方で、散りばめられたエピソードの中には、生々しい「痛み」を感じさせるものも多い。

寓話性と生々しさ。
そのバランスに妙味があり、独特の優しさと痛切さが小説全体に漂う。
なんだか不思議な印象を残してくれる物語でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山田太一してる

2009-01-15 23:03:18 | Diary
正月休み明け以来、怒涛の日々でした…
仕事始めから、休み中に発生していたトラブルの対応で先週一杯は忙殺され、週末の三連休は風邪をひいて発熱。
治ったと思ったら、子供二人に順番に感染し、今は下の子が発熱中…
ブログどころではなかったのです。

…といいつつも仕事もやや落ち着き、コドモは可哀想ですが、まあ寝かせておくしかないので、今晩は珍しくもテレビドラマなど眺めてしまいました。
フジテレビ開局50周年記念の「ありふれた奇跡」っての。

いやあセリフ回しが山田太一してますな~。

「そうかな・・・」
「そうですよ」
「そうだけど…」
「そうよ」

みたいな。
往年の「ふぞろいの林檎たち」やNHKドラマ人間模様なんかを思い出します。
しかしまあ時代が流れているだけに、ややセリフ回しが浮世離れして聞こえてしまうのは仕方ないか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

正月休みも終わる

2009-01-04 15:33:34 | Diary
休み中、家族サービスを頑張ったので、ヨメが気を遣って、一人で何処か行ってきたらと言ってくれました。
ここのところ寒い日が続いたけど、今日は穏やかに暖かいのでぶらぶらと散歩して馬事公苑まで来ました。
馬も正月休みでいませんが。

日がだいぶ傾いてきました。
長かった年末年始休みも終わろうとしています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「湖水地方」 寺坂小迪

2009-01-02 22:39:48 | Books
湖水地方
寺坂 小迪
文藝春秋

このアイテムの詳細を見る


年末に読んだ小説。
「湖水地方」「シャルル・ド・ゴールの雨女」の二編収録。

著者は1978年生まれだそうで、若い世代だけに「今」を捉える感覚が優れているな、というのが第一印象。
「湖水地方」の湖、「シャルル・ド・ゴールの雨女」の空き地を潰してできた広大な公園などの情景の無味乾燥さが、「今」という時代をよく表しているように思えます。

個人的には「シャルル・ド・ゴールの雨女」のほうが好み。
空港のカフェでの短い時間の会話と回想を切り取った作品ですが、テンポラリーな舞台設定と、主人公の極めてプライベートな(他人から見れば取るに足らない、しかし本人にとっては深刻な)煩悶とのバランスが、妙味のある抒情性を生んでいます。

「湖水地方」のほうは、妹が体調を崩して嘔吐した…という始まり方がいきなりベタさを感じさせるオープニングで、やや萎えました。
最後に、突飛に葦舟が登場するあたりの唐突性は嫌いじゃないですが。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

謹賀新年

2009-01-01 22:36:25 | Diary
元旦。

…ですが、個人的にはどちらかというと「年末年始9連休の6日目」という感覚のほうが強いです。
小さいコドモがいると、どうしても毎日が同じパターンの繰り返しになってしまう。
彼らには大晦日も元旦もないですから…

とはいっても、今日はうちの実家に弟一家や祖母も集まり、お節料理を腹一杯食べながら束の間の親族団欒を楽しんで参りました。
体重は増加の一途をたどっていますが・・・

今年も宜しくお願いします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする