そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

豊かで何が悪いのか

2009-04-09 00:24:01 | Society
日経新聞夕刊一面の一番下の方に「あすへの話題」というコラムがあります。
筆者の一人に、佐和隆光という経済学者がいるんだけど、この人の書いていることがあまりにバカバカしいので驚いてしまいます。

4月8日付け当欄では学力低下について書いているんだけど、佐和氏の見立てでは学力低下の原因は「ゆとり教育」などではなく「バブル経済期の『負の遺産』」なのだそうだ。
曰く、「頭を使って投機で金儲けする時代がやってきた」などといった「言説を真に受け」、「理工系学生の製造業離れが進み、努力、勤勉、誠実、創意など日本古来の徳目」が「全否定された」ことが原因だそうな。
「今どきの学生は自分の専攻する学問にのめり込む気概を欠き、難題への挑戦を敬遠しがちである」とお嘆きです。

学力低下のもう一つの原因は、文部省の政策により大学院生が激増したことで「少数精鋭をモットーとしてきた大学院」が「今や『大衆化』」したことなんだと。
「学者志望の優秀な院生にとっては迷惑千万」とまで書いています。

日本人全員が投機に走り、努力や誠実が「全否定」されたかのような物言いをしてる時点で相当屈折してるような気がしますが、要するにこの人、日本人が豊かになったことがお気に召さないんですね。
自分が若い頃はもっとハングリーにわき目も振らず学問に邁進したんだ、と。
でもね、それって、もっと豊かになりたい!と思ったからこそ頑張ったんじゃないんですかね。
そうやって頑張った結果、日本は豊かになって、たくさんの人が大学院で高等教育を学ぶことができるようになり、あえて難題に挑戦しなくても幸せに生きていけるようになったんじゃないんでしょうか。
勿論そのことの弊害もあるだろうけど、それって基本的には喜ばしいことなんじゃないんでしょうかね。

そういえば、この人、何週間か前の同じコラムでも「日本人は清貧の思想を失ってしまった」などと嘆いてました。
確かに、今の日本は十分すぎるほど豊かで、これ以上経済成長を目指す必要はないんじゃないか、という意見には同意しなくもありません。
だけど、だからといって、「清貧」に立ち返れ、というのもきわめて独善的でおこがましい考えのように思います。
日本は十分に豊かになったけど、地球上にはまだまだ貧しい国や地域がたくさんあり、最底辺で苦しんでいる人たちが大勢いる。
先に豊かになった日本は、これから豊かになろうともがいている多くの途上国の範となるように、豊かさをキープするために新しい知恵を絞っていく使命があるんじゃないでしょうかね。
いつまでも「もの作り」「もの作り」言ってないで、経済構造をサービス型・ソフト型に移行させ、途上国が発展していくための「道を空けてあげる」必要だってあるんじゃないでしょうか。

この佐和氏、その道ではそれなりの「大御所」みたいだけど、こんなこと言ってる人間が頭にいるから、この国もいつまでも辛気臭さが抜けないんじゃないかという気がします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

憎まれ役の必要性

2009-04-05 22:57:19 | Economics

今日の日経新聞朝刊「けいざい解読」、小平龍四郎編集委員の記事がなかなか秀逸だったので以下メモ。
住設機器大手の日立ハウステックが、4月1日より社名から「日立」を取ってハウステックとなったのは、投資ファンドニューホライズンキャピタル主導の事業再生に目処がつき、三期ぶりの経常黒字化を果たしたからとのこと。

 不採算事業からの撤退や生産・営業拠点の縮小、希望退職者の募集。ニューホライズンが一昨年末の買収から進めてきた再生策は基本的なことばかりだが、日立グループでは難しかった。ファンド主導で素早く実行できた理由を、ニューホライズンの安東泰志社長は「我々が憎まれ役を引き受けたから」と表現する。
 退職した従業員だけでなく、事業を縮めれば納入や下請けの業者からも恨みを買う。事業再生といえば聞こえは良いが、内幕は関係者に痛み分けを求める泥臭い利害調整。「高い投資リターンを求めるファンドの規律がなければ迅速に進められない」(安東氏)
 2000年代初め、日本が「失われた十年」から脱する過程では憎まれ役のファンドが多く登場した。日本が再び不況に沈む今はファンドの撤退が相次ぐ。
 「買収できそうな企業が日本より多い中国や韓国、オーストラリアに投資を集中させたほうが、ファンドにとって良い選択だ」
 ハウステック再生にメドがついた今月1日、アジア全域で活動する投資ファンド、ユニタス・キャピタルのアンドリュー・リュウ最高経営責任者が東京拠点の閉鎖理由を語った。9年前に日本に進出し、自動車部品リズムの再生など実績も残しただけに、市場では日本撤退を惜しむ声が多い。
 ファンドが日本への関心を失っている理由のひとつは、企業金融に公的資金の関与が深まっていることだという。短期の資金繰りだけでなく、社債や株式の引き受けに及びそうな公的資金を期待し、企業がリストラを延期しているフシもある。米有力金融機関が日本の大手電機メーカーに不採算事業をファンドへ売却するように勧めると、「公的資金でひと息つけるか見極めてからにしたい」と告げられた。

このような経済状況で、政府が企業に対する公的支援を厚くすることに反対する意見が出てこないのは当然だとは思います。
が、それが企業の支援に対する「甘え」を生み、淘汰されるべき不採算事業を存続させることにより後でより大きなツケが回ってくるリスクとなることも認識しておいたほうがよい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

満開!

2009-04-04 22:38:06 | Diary
今日の東京は快晴ではなかったもののポカポカとして絶好の花見日和。
四谷駅からニューオータニへと続く土手道より撮影。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「相対主義の極北」 入不二基義

2009-04-03 20:26:46 | Books
相対主義の極北 (ちくま学芸文庫)
入不二 基義
筑摩書房

このアイテムの詳細を見る


相対主義を究極まで純化した「極北」には何があるのか、著者が徹底的な掘り下げを行なった過程を論じた一冊。

極めて抽象的な思索が巡らされますが、哲学には全くの門外漢である自分にも決してわかりづらいということはありませんでした。
繰り返される「無限後退」といった循環的なイメージが、自分の持っている相対主義のイメージと重ねやすかったからかもしれません。
かと言って、ありきたりな議論がされているだけかというとそうではなくって、後ろの方まで読み進めた後、前の方の章を読み返してみると議論の浅さが感じられる。
つまり、少しずつ丁寧な論証を積み重ねていく中で「極北」に近づいていっていることを実感できるのです。

実在論やクオリア論、アキレスと亀のパラドクスといった論題にも触れることができるし、読んでいる間は知的な刺激を受けてなかなか楽しかった。
その一方で、何度も読み返して自らの知的思索を深めていきたいかというと…
あくまで刹那的に楽しめればいいや、と思ってしまう自分はやっぱり哲学には向いてないようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

テレビ欄の並び順にみる地デジ圧力

2009-04-01 23:00:16 | Society
今週からかな、日経新聞のテレビ欄でテレビ局の並び順が変わっています。
他の新聞はみてないのですが、朝日も同様のようです。

(以下、関東地区でのチャンネル番号を前提)
要は、地デジでテレビ朝日(10→5)、テレビ東京(12→7)のチャンネル番号が変更になるので、その順序に並び変えたということですね。
従来は右端が指定席だったテレ東が1つ内に入り、真ん中にいたフジテレビが右端へ。
長年親しんでたポジションだっただけに、すっごく違和感があります。

それにしても地デジ完全移行までまだ2年もあると言うのに気が早い。
相当な焦りと圧力を感じますね。
そういえば朝日新聞、日経新聞といえば、チャンネル番号変更になる2局の系列。
ということで特別に手を打ったということか。
メディア総出で権益確保?に勤しんでいるようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする