そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

「日本の難点」 宮台真司

2009-07-10 23:45:48 | Books
日本の難点 (幻冬舎新書)
宮台 真司
幻冬舎

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Amazonなんかのレビューを読むと、なんでわざわざこんな分かりにくい言い回しをするんだ!と非難轟々のようです。
確かに、オリジナルな用語を注釈なしで使っている場面も目立つし、分かりやすい章節と分かりくい章節が混在している印象は受ける。
全体にスノッブ臭が漂っているのも確か。
けど、全体を通読すると、言いたいことは明瞭で至極シンプルなんじゃないかと思います。
(ちなみに自分は宮台氏の著作を読むのは初めてです。)
現代国語の問題解くわけじゃないんだから、あんまり一字一句全てを理解しようと思わなくてもいいなじゃないか…と思ってしまうのですが。

コミュニケーション、教育、政治、宗教、安全保障、農業…とテーマは幅広いですが、日本の社会から包摂性が失われてしまったことがすべての根底にあり、それを取り戻すための処方箋が必要だ、という問題意識はいたって明確。

個人的には、本来の新自由主義においては「小さな政府」と「大きな社会」を両立する考えであったという話と、日本の裁判員制度への批判を展開した部分に、深く感銘を受けました。
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イラン人の「気遣い」

2009-07-06 21:24:14 | Politcs

イラン国会委員長、慰霊碑に献花=広島(時事通信) - goo ニュース

イラン国会外交政策・国家安全保障委員会のボルジェルディ委員長は5日、広島市中区の平和記念公園を訪問し、平和記念資料館や原爆ドームを視察するとともに、原爆死没者慰霊碑に献花した。資料館では「米国は広島や長崎に謝罪すべきだ」などと記帳した。

あまり穿った見方をするのも何なのですが、昨日のエントリで、「イラン人は交渉事に関しては天才的」という話を書きましたが、このニュースもそういった一面を表しているのかも、と反射的に感じました。
適切な「気遣い」ができる、という意味で。

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「石油の時代」の終焉

2009-07-05 23:32:09 | Economics

昨日(7月4日)の日経新聞朝刊「世界を語る」は、サウジアラビア元石油相のアハメド・ザキ・ヤマニ氏へのインタビュー。
興味深かった点を以下メモ。

投機マネーが原油価格の乱高下を招いている事実について、投機マネーの規制が必要であることを認めた上で…

だが、私は新しい原油市場を創設することのほうが重要だと思っている。今は米国のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が主要指標だ。産油量は極めて少ないのに、ヘッジファンドなどの投機マネーが潤沢な米国に市場がある。現実の需給よりも投機が優勢になるのは自明のことだ。多くの原油を産出するペルシャ湾地域に、実際の生産量などを反映する市場を新たにつくった方がいい。

リカルド・カバレロの資産欠乏説(たまたま同じ昨日の朝刊にインタビュー記事が出ていた)でも指摘されているように、米国だけが突出して進んだ資産市場を持っている現状が、いろいろな面でグローバル金融経済のバランスを歪めているということでしょうか。

ヤマニ氏は続いて、世界的な環境意識の高まりから代替エネルギーの開発が本格的に動き出したことから、「石油の時代」は終わりが近づいており、石油を完全に不要にする水素エネルギーが実用化されることで終焉を迎えることを予言しています。

かつて石油の影響が大きいときに「ピーク・オイル論」がもてはやされたが、あれは政治的につくられた神話でしかない。原油はまだまだ地下に眠っているし、コストをかけて新技術を使えば採掘できる。だが、時代は技術で変わる。石器時代は石がなくなったから終わったのではない。(青銅器や鉄など)石器に代わる新しい技術が生まれたから終わった。石油も同じだ。

さらに、産油国の存在感が低下していく中で、中東情勢は不安定化していく懸念があることを指摘します。
中でも最も注意すべきはイランだとの見解。
氏が付き合った中でもイラン人は飛びぬけて頭がよく、特に交渉事に関しては天才的であり、原油や天然ガスといった資源を交渉材料として使う方法も知っており、むしろ米国などに対して主導権を持っているとみることもできるとのこと。

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「西の魔女が死んだ」 梨木香歩

2009-07-02 23:18:33 | Books
西の魔女が死んだ (新潮文庫)
梨木 香歩
新潮社

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文章は説明臭くてあまり好きではない。
けど、設定の勝利かな。
シチュエーションも悪くないけど、やはりおばあちゃんが日本語ペラペラの英国人、という設定がよい。
「魔法」「魔女」という概念の持ち出し方もよい。
気に喰わないのは「ゲンジさん」という登場人物の都合のいい扱い。

表題作の他、「渡りの一日」という後日譚が収録されていますが、こっちはかなりダメダメ。
説明臭さは増幅、しかも話は作り込み過ぎで鼻白む。
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