らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

「やぶ入り」と「えんま詣で」

2009-07-16 | 雑学
7月16日は「やぶ入り」です。最近ではこの言葉は死語となっていますが、かつては大切な習慣でした。
そこで今日は「やぶ入り」について調べてみました。

「やぶ入り」
「やぶ入り」とは、1月16日と7月16日に奉公人が主家から休暇を貰うこと、または、その日を言います。
やぶ入りは古くから行われていました。初めは正月(1月)だけでしたが、江戸時代中期からは盆(7月)にも「やぶ入り」をさせるようになりました。
正月16日を「やぶ入り」と呼ぶのに対して、盆の16日は「後のやぶ入り」と言います。

明治以前の日本では、仕事を見習うために職人、商人共に13~14歳頃から師匠や商家を選んで丁稚奉公に出ました。
そして、その住み込みの奉公人たちは毎年1月16日と7月16日の2日しか休みがもらえないのが一般的でした。
この休みが「やぶ入り」と呼ばれるもので、この日には、丁稚たちは主人から衣類万端与えられ、小遣いを貰って親元へ帰ったり、芝居見物をしたりして過ごすなど、休みを楽しんでいたそうです。

現在のように、毎月の定休日がなかった時代なので、この2回の「やぶ入り」の日は奉公人たちにとって大変待遠しく、楽しみにしていた日でした。
この風習は、明治になって「週」の制度が取り入れられても、外国系の企業を除いて、昭和初期まで残っていたようです。

また地方によっては、この日は、嫁が実家に里帰りする日にもなっていました。
この時、通常は婿が送っていきますが、婿は嫁の実家に一緒に泊まる風習のところと、嫁の実家に入れない風習のところがあったそうです。


「やぶ入りの語源」
「やぶ入り」の語源については諸説あるようです。
・奉公人を家に帰すことから「宿入り」が転訛して「やぶいり」になったと言う説。(「宿」は生家のことで実家に帰るの意味です)
・父を養うために帰るという「養父(やぶ)入り」説。
・藪の深い田舎に帰るからと言う説。
・故郷の「藪きり」や「藪焼き」(これらを薮入りという)を手伝いに帰ったとする説。
・祭祀には野巫(やぶ)と呼ばれる陰陽師が欠かせないので、「野巫要り(やぶいり)」からとする説などがあるようです。


「閻魔詣で(えんまもうで)」
また、この日は仏教では閻魔王の斎日(さいにち)と称して、「地獄の釜のふたが開く」と伝えられています。
「地獄の釜のふたが開く」とは、仏教では、地獄の釜のふたが開いて、亡者も責苦を免れる日とされています。
このため、罪人を責めていた地獄の鬼さえも、この日は休むから人間も仕事を休む。或いは、亡者の責苦のような辛い仕事から解放させるなどの意味があり、このことが「やぶ入り」の休暇の由来であるとも言われています。

地方によっては、この日は、地獄の釜のふたが開くので、「海に出ることを禁じる」などの言い伝えが残っているところや、やぶ入りで帰った人が故郷の閻魔堂にお参りに行ったり、地獄の十王詣でをする人などもあるそうです。