「奈良・日帰りの旅」シリーズは今日の「奈良まち」です。
「奈良まち」の散策は、ボランティアで活動している観光案内の方に案内していただきました。
ならまち(奈良町)は、奈良市の中心市街地南部に位置する、歴史的町並みが残る地域の通称で、狭い街路に、江戸時代以降の町屋が数多く建ち並んでいます。
ほぼ全域が元興寺の旧境内にあたり、48.3ヘクタールが奈良市の都市景観形成地区に指定されているそうです。
・古い街並みが残る「奈良まち」です・
「奈良町資料館(吉祥堂)」
南都七大寺のひとつ、元興寺の門前町として栄え、かつての奈良町の佇まいを今に残す西新屋町に「奈良町資料館」があります。
オープンは昭和六十年で、奈良町資料館長の南さん宅を改造して始めたものです。
南さんが二十年かけて集めた貴重な資料は、懐かしい昔の看板が約八百枚、美術品や奈良町の艮俗資料が数千点、元興寺ゆかりの仏像が数十点などで、これらの一部を同館で無料公開しています。
なお、この地は昔、元興寺の本堂跡だったようです。
「庚申堂(こうじんどう)」
奈良町に息づく庚申信仰の中心である小さなお堂で、内陣には「青面金剛(しょうめんこんごう)立像」(庚申)が祀られています。
庚申信仰は中国の道教に由来し、庚申の日には、寝ている間に体内から三尸(さんし)の虫が抜け出して天帝にその人の悪行を報告するといいます。
家の軒にぶら下がっている身代わり申は、天帝に悪行を知られたとき自分の代わりに天帝の怒りを受けてくれるお守りだそうです。
「身代わり猿」
青面金剛の使いの猿を型どったお守りは、魔除けとして、町内の家々の軒先に吊るされています。
大きいのが大人、小さいのが子どもとされ、家族構成に合わせて吊るされているようです。
また、町内から転出した家族の分の猿は、庚申堂に預けられて、転出者と町との精神的な絆を保っています。
町内の住民の災いを代わりに受けることから、「身代わり猿」と呼ばれ、また、背中に願い事を書いて吊るせば願いが叶うとされ、「願い猿」とも呼ばれています。
「格子の家」
奈良まちの伝統的な町家を再現しています。
昔の奈良の町家の生活様式に直接触れ、町民の暮らしぶりを窺える施設として、また憩いの場として利用できるようですが、当日は休館となっており、内部は見学できませんでした。
「藤岡家住宅」
ここも休館だったので内部は見られませんでしたが、案内版によれば次のように書かれていました。
18世紀後半ころの町家です。
表構えは商家の特徴をよく示しています。出入口に突き上げ戸、その両脇のミセとシモミセの二室の正面には上下に蔀(しとみ)揚店(あげみせ)を構え、これらの建具を開放して商売をしていました。
シモミセの奥は通り土間で、ミセの奥には居間が並んでいます。
屋根が一段低い北側は正面に、丸太格子とくぐり戸つきの塀を構え前庭をとって、奥に床の間を構えた瀟洒(しょうしゃ)な客座敷を設けています。
建築年代が古く商家の表構えをよく伝え、内部意匠も洗練されており、奈良の町家の典型として貴重です。