覚えておられますか?
2004年にノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイさん。
マータイさんは「もったいない」と言う日本語を世界に広めてくれました。
今では世界に広まったこの「もったいない」と言う言葉、実は日本では生かされていないのです。
2011年9月25日に永眠されたマータイさんが日本のこの現状を聞いたらどのように思われるでしょう。
今、日本で発生する食品ロスの量は年間500万トン~800万トンと言われ、お米の年間生産量にも匹敵するそうです。
まだ食べられるはずの食品が大量廃棄されるこうした"食品ロス"は、賞味期限切れという理由で起きているだけではなく、賞味期限まで日にちがあっても、多くの食品が店頭に並ぶ前に捨てられる現実があるようです。
なぜそんな「もったいない」ことになるのでしょうか?
実は、流通業界にある「3分の1ルール」がそうさせているようです。
「3分の1ルール」とは、飲料や即席麺、缶詰、スナック菓子といった加工食品を対象としたもので、製造から賞味期限までの期間の3分の1を小売店への「納品期限」とし、3分の2を店頭での「販売期限」とする商慣習のことです。
この商習慣は少しでも新しい商品を望む消費者の「鮮度志向」に応えるとして、大手スーパーがメーカーや卸に要請し、1990年代に広がったと言われています。
法律上の根拠はなく、明文化されていませんが、全国の流通現場に定着しているそうです。
このルールによると、例えば賞味期限が6か月の加工食品の場合、製造から2か月以内に卸業者から小売業者に納品する必要があります。
この期限が「納品期限」で、これを1日でも過ぎた商品は賞味期限前でもメーカーなどに返品されて多くが廃棄されているのが実態だそうです。
売れ残って賞味期限が切れてしまった物は処分されても止む得ないかも知れませんが、『3分の1ルール』の慣習で、卸に残っていた物や1か月も賞味期限まであるものまで、更には賞味期限3年の缶詰のように、賞味期限の3分の1、即ち1年が経過したものの、まだ2年間賞味期限が残っているものまで捨てられることがあるのは、誰が考えても理解されないのではないでしょうか?
これは全て私たち消費者が悪いのでしょうか?
こうした『3分の1ルール』によって、食品メーカーに返品されている食品を金額にすると、1年間でおよそ1,100億円以上といわれています。
世界には飢えに苦しんでいる人がたくさんいます。
「もったいない」の言葉を生んだ国が、このような食品ロスを発生させるのは、本当に「もったいない」ものです。