らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

不肖

2015-06-17 | 情報

自分を謙称して言う言葉に「不肖(ふしょう)」があります。
この「不肖(ふしょう)」という言葉は、例えば、「不肖山田太郎、一生懸命務めさせていただきます」という風に「私のような未熟な人間ではありますが」という謙遜のニュアンスで用いられます。

しかし、この「不肖」という言葉は使い方を誤るとその控え目な意味合いが消えてしまうことがあるので注意が必要である、と言われているので調べてみました。
まず、「不肖(ふしょう)」を辞書で調べると、
広辞苑には①(似ていない意)父に似ないで愚かなこと。また、師に似ず劣っていること。「-の子」
       ②愚かなこと。取るに足りないこと。平家物語(3)「身ーの間、かれもつて服膺せず」。
       ③運の悪いこと。惨めなこと。太平記(27)「身の難に逢たーなる時は」
       ④自分の謙称「-、私にお命じください」
と説明しています。

辞書が示すように、不肖(ふしょう)とは、親や師匠の才能を受け継がず愚かな子(弟子)であるという意味であり、また、自分自身のことを言う場合のみ「未熟である」という意味でも用いる言葉です。
この意味を知っていれば、もし親が、「不肖の息子ですが、何卒よろしくお願い申し上げます」と表現した場合、少し違和感を感じると思います。

親は、未熟であるという意味で使いたかったのでしょうが、不肖という言葉は自分自身を控えめに表現するときに用いるわけですから、その意味にはなりません。
また「親である私の才能を継ぐことなく、このような子ではありますが」という自画自賛になってしまいます。
但し、親が自身の才能を自負しているのであれば誤りとは言えませんが・・・。

このように自分の子や弟子を控えめに表現するときは「不肖」という言葉は適しません。
このような時は、男性の場合は「愚息(ぐそく)」、女性の場合は「行き届かない娘ですが」とか「不束(ふつつか)な娘ではありますが」といった言い回しが一般的のようです。
但し、「行き届かない」や「不束な」という表現自体も、「女性は身辺周囲への気配りができて当然」という前提で用いられている言葉なので、状況によっては女性差別になってしまう可能性があると言うことを知っておくべきと言うことです。