らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

押し買いトラブル

2015-10-18 | 消費者問題

数年前に「押し買い」によるトラブルがよく報道されていました。
最近は余り報道されなくなりましたが、消費者がトラブルに巻き込まれるケースは続いているようです。

私が知っている70歳代後半の奥様がこのトラブルに巻き込まれそうになったと云う話を聞きました。
幸い、ご主人が出てきて、一喝したことからトラブルにはならなかったようですが、その後、奥様はその事を気にして体調を崩したと聞いています。

この「押し買い」という消費者トラブルは、皆さまはお聞きになったことがあると思います。
「押し買い」とは、高価な商品を売り付けるのではなく、高齢者などの自宅を訪れた業者が、貴金属や着物などを相場より安く、強引に買い取る行為の事です。
今回は、「押し買い」の注意点とトラブル防止のために改正された「特定商取引法」のポイントなどについてご紹介します。

先ず、事例からご紹介します。
「事例1」
ある日一人暮らしをしている女性の処にリサイクル業者を名乗る男から電話がかかってきました。
「業者」・・・もし不要なものがありましたら買い取らせていただきたいのですが・・・。
    女性は処分してもよい食器などがあったので引き取りに来てもらうことにしました。
「女性」・・・分かりました。
    自宅に来た業者は食器には殆ど関心を示さず、突然話題を変えたのです。
「業者」・・・奥さん使っていない貴金属とかありませんか? 取り敢えず見せてくれませんか? 無料で鑑定してあげますよ。
    食器類ではなく貴金属を見せるようにしつこく迫られた女性は、売るつもりのない貴金属数点を業者に見せることになってしまいました。
「業者」・・・「拝見しますね。」「これは偽物だね」「これは形が古いね。」「もう使わないでしょ」「いらないんだったら買い取って上げますよ。」
    業者の余りにもしつこい勧誘に怖くなった女性は早く帰ってもらいたいという気持ちで、金の指輪やネックレスなど5点の貴金属を売ることにしました。
    業者は一方的に価格を決め、代金を渡して帰って行きました。

結局、合わせて20万円以上もした貴金属が僅か1万5千円で買い取られることになってしまったのです。
その後、女性は冷静になって売ってしまった貴金属を取り戻したいと思いましたが、業者は名刺も残さず、渡された領収書にも連絡先がなかったためどうすることもできませんでした。

また、業者の連絡先が分かっているケースでも、
「女性」・・・売ってしまった大事な思いでの指輪だけでも返して欲しいんですけど・・・。と担当者に伝えると、
「業者」・・・「あれはすでに売れてしまいました。もう溶かしてしまったから返せませんよ」と言われたり、「買い取りの場合はクーリングオフができないんですよ。」
       「キャンセル料がかかりますよ」と言われるケースもあるようです。

「特定商取引法改正」
このような押し買いによるトラブルを防ぐ目的で特定商取引法が改正され、平成25年2月21日から施行されています。
この法律改正には4つのポイントがあります。
①飛び込み勧誘の禁止
  所謂、押し買いでは突然の訪問による強引な買い取りなどのトラブルが問題になっていたことから、この法律改正によって飛び込みの勧誘が禁止されました。
  また、消費者から査定のみの訪問要請を受けた場合は、査定を超えた勧誘を行うことは禁止されています。
  そして、契約を断った消費者に対して勧誘を継続したり、買い取る物品の種類を明示しないで勧誘することも禁止されています。

②書面の交付
  業者の連絡先や買い取った物品の特徴、買い取り価格、などを記した書面を交付することが業者に義務付けられました。
  
③引き渡しの拒絶
  業者にいったん貴金属を渡してしまうと、後で返して欲しいと言っても、業者から「既に溶かしてしまった」などと言われて返品を受けられないケースがあります。
  このようなケースを防ぐため、書面の交付から8日以内は業者に物品の引き渡しを拒むことができることになっています。

④クーリングオフ制度の適用ができるようになりました。
  契約内容が記載された書面を受け取ってから8日以内であれば、無条件に契約を解除して物品を取り戻すことができます。
  また、クーリングオフの期間内に業者が買い取った物品を第3者に引き渡す場合、業者は第3者にクーリングオフの対象物品であることを書面で通知する義務があり
  ます。
  そして、第3者に物品を引き渡した場合、その情報は業者から売主である消費者にも通知され、クーリングオフ期間中であれば、売主である消費者は転売先に対して
  も、殆どの場合、所有権を主張することができます。

但し例外があります。
転居に伴う売却の場合や消費者が自ら自宅での契約締結を請求した場合などの取引にはクーリングオフ等の適用がありません。

「トラブルに遭わないための注意点」
押し買いのトラブルに遭わないためには、
 ・知らない業者を家に入れないこと。
  飛び込み勧誘は禁止されています。禁止行為を行うような業者を家に入れることはとても危険です。

 ・貴金属などを容易に見せないこと。渡さないこと。
  買い取りに納得できなければ契約せずはっきり断ること。
  自分から依頼した場合でも業者への対応は一人ではなく、できるだけ家族や近所の人に同席してもらいましょう。
  そして、契約してしまった後でも、後で家族と相談したいと思ったら、物品の引き渡しを後日にするように主張してください。
  
もし、被害に遭った場合でも、クーリングオフなどで対処できる可能性がありますので、消費生活相談窓口などにご相談ください。
最寄りの消費生活相談窓口が分からなければ下記で案内しています。
          「消費者ホットライン」の電話番号は0570-064-370です。

押し買いのトラブルに遭わないためにも、売る前にもう一度よく考え、納得できなければはっきりと断りましょう。