頼成(らんじょう)の森だより

「県民公園頼成の森」総面積は115ha
東京ドーム25倍、日々の!写真を中心に
森の今をお伝えします

松くい虫

2023年02月12日 | 紅葉
バーベキュー広場横のマツ林の中の1本が枯れています。
昨年、秋に衰弱し枯れました。


松くい虫被害です。
全国的には、松くい虫被害は100年ほど前からほどから報告されています。
大正、昭和前半の被害統計は、はっきりわかりませんが、全国的な現在の被害材積は40年前の10分の1程度のようです。

頼成の森周辺でも、同様にこれまで相当な被害があり、「昔はマツタケが」という話も聞きますが、マツの本数もめっきり減ったはずです。

松くい虫という虫はいません。
ちょっとややこしいのですが、説明を列挙すると、
・マツが枯れる直接の原因は「マツノザイセンチュウ」という線虫
・この線虫を運ぶのが、「マツノマダラカミキリ」というカミキリ
①春、カミキリがマツの若枝を食べる、この時、線虫がマツの樹体内に侵入
②夏、線虫が樹体内で大増殖、水分通導のトラブルなどを起こす
③秋、線虫により樹脂などの防御力の衰えたマツにカミキリが飛来、産卵
④冬、樹皮下でふ化した幼虫がやがて樹体内に入り越冬
⑤春、羽化したカミキリに線虫が潜り込み脱出
➡以下①に戻り繰り返されたし。

非常によくできた仕組みです。
カミキリの産卵に都合のよい風に、線虫が木を弱らせ、移動できない線虫を健全なマツまでカミキリが運ぶ。

「マツノザイセンチュウ」はもともと日本にいたものではなく、明治期に北米から梱包材に紛れ込んで入ってきたとも言われています。

しかし、マツ枯れの原因が線虫と分かったのは、昭和40年代で、それまではカミキリムシ、キクイムシ、ゾウムシなどの昆虫説が中心で、その名残が「松くい虫」というちょっとあいまいな表現になっているようです。

さて、上の①から⑤のサイクルを踏まえ被害防止を図る必要があります。
2つの防止対策をおこないます。

隣接の健全なマツに線虫を防除する薬剤を注入、写真のとおり対応済みです。


さらに、春までに枯れたマツを伐採・玉切りし、樹体内にいるカミキリが脱出しないようシートで包んで燻蒸処理を行う予定です。

本当は、日本の森林の様相が昔から今に至るまで大いに変化していることも、マツを主役に書こうと思ってましたが、長くなったので次の機会にいたします。
コメント
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