EUも米国も自由貿易に後ろ向きになる中で、世界で最も積極的に先頭に立って自由貿易の旗を振っているのが、以前は国家管理貿易を続け、数年前までWTOにも加盟していなかった社会主義国の中国という笑い話のような状況になっています。しかし中国を説得するのはそう難しいことではないでしょう。次のように言ってやればよいのです。
「あなたの国はナニ主義でしたっけ? 一緒に『資本論』を読み返しましょう。『資本論』のどこに自由貿易はすばらしいなどと書いてありましたっけ?」と。
つい最近まで「万国の労働者団結せよ」と威勢よく叫んでいた国が、万国の労働者を総ワーキングプア化させるのを先頭に立って推し進めてよいわけはないのです。アメリカは、「民主化」だの「人権」だのと押しつけがましく言わないというのと引き換えに、中国が社会主義の原点に返って国際的な労働者保護のために自由貿易を修正するという道を、共に模索すべきなのです。 . . . 本文を読む