歴史研究の領域において、アマチュア研究者の果たす役割は大きいということが本書を読むとよくわかるであろう。専門家も注目してこなかった重要人物の事跡が次々に発掘されていく過程は小気味よい。
門倉伝次郎の人間関係に次々に関心が広がり、アプリン大尉のみならず、伝次郎が仕えた松平忠固の事績から、忠固の息子の忠礼・忠厚兄弟の米国における学問業績、伝次郎と恩師の佐久間象山との関係など、知られざるいくつもの史実を発見した。
たとえば「アメリカの科学の学術誌に初めて論文が掲載された日本人は誰か?」と訊かれて分かる人はいるだろうか? 不思議なほどに知られていない重要人物たちの知られざる事跡が次々に明らかになるのが本書である。 . . . 本文を読む