代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

ブラタモリの真田丸特番の感想など

2016年01月05日 | 真田戦記 その深層
 年が明けたら真田関係の番組が多くて視聴しきれないほどだった。

 大河ドラマの真田丸、ドラマの予告編を見る限り、草刈正雄さんの真田昌幸が超カッコイイ! 真田太平記の真田幸村が、それから30年経って真田昌幸になって再登場というのは感無量である。何でも、草刈さん、脚本の三谷幸喜さんと「丹波哲郎さんの真田昌幸を超えよう」と誓いあったそうである。撮影中も、丹波さんが降りてきて近くにいるのを感じながら演じているそうである。これは期待できる。
 真田昌幸は、あちこちでdisられまくっているので、草刈さんに昌幸の汚名を晴らして欲しいと心より願う。
  
 予告編を見る限り、堺さんの真田信繁は、柔和な感じが本人の実像に近そうである。堺さんは、真田信之が弟について語った「物ごと柔和、忍辱して強(こわ)しからず。ことば少なにして怒り腹立つことなかりし」という人物評を意識して演じているとのこと(NHK出版『大河ドラマストーリー・真田丸』より)。この信之の信繁評は、本人の実像をじつに的確にとらえた言葉だと思う。

 正月の真田特番の中で、1月2日にNHKで放映していた「ブラタモリ」と「鶴瓶の家族に乾杯」と「真田丸」の三番組コラボ企画は面白かった。上田城の秘密を科学のメスで解き明かした番組で、タモリと堺雅人さんのすごさが良くわかった。
 

 ブラタモリを見ても、堺雅人さん、完全に信繁役になり切っている様子。堺さんが、現在は野球場になっている上田城の西北の広大な百堀の跡から、ドラマに出てくるという上杉方の虚空蔵山城が直近の山の峰にあるのを見て、「怖い、怖い。あそこに上杉がいるんですよ。嫌です。嫌です」と盛り上がっていた。完全に真田信繁目線で、上杉の脅威を感じている様子だった。役になり切っていなければこの発言は飛び出さない。これは期待できそう。

 真田と上杉の虚空蔵山をめぐる攻防も大河ドラマで描かれるらしいのだ。相当に史実を細かく描かないかぎり虚空蔵山城などドラマに出てこないはずなので、これは期待できそう。
 ただ、一つNHKの間違いを指摘させていただく。番組中で「虚空蔵山城」として紹介されていた場所は、正確には「高津屋城」のあった場所だ。虚空蔵山城というのは、標高1077mの虚空蔵山の山頂に築かれたまさに天空の山城。簡単に行ける場所ではない。下の写真参照。

   
出所)「上田・小県の城」より転載させていただきました。
 http://yamajiro.sengoku-jidai.com/yamajiro-list/index.html

 この写真を見て、あまりの山城の多さに驚く方も多いと思う。書きこまれていないが、この画像中にさらに「燕城」と「持越城」という二つの城もある。合計、画像中に11の山城があるわけだ。虚空蔵山という山、まさに山全体が巨大な要塞である。山城の密度が高い上田盆地の中にあっても、この山はとりわけ城だらけの「山城銀座」である。ちなみにこれらの城のほとんどは、村上義清が武田晴信の侵攻に備えて構築した巨大な山城のネットワークの一環なのである。葛尾城から、武田軍が完敗した戸石城まで、緊密な山城ネットワークで結び付けられていた。この巨大城塞を見ると、なぜ最強の武田軍団が村上義清に負けたのかも分かるであろう。

 ちなみに、真田と上杉の攻防の舞台になった城は、写真の中の左端の「和合城」のことではないかと私は考えている。虚空蔵山の山頂を取り合う軍事的な意味はあまりないからだ。大河ドラマの中で、この虚空蔵山攻防戦がどのように描かれるのか見ものである。 

 もう一つ、ブラタモリで良かったのが、真田昌幸が掘らせた人工川である矢出沢川が紹介されていたこと。上田を訪れ、真田時代の上田城と真田の土木技術を知りたいという方は、人工川であり上田城の外堀でもあった矢出沢川に沿って歩かれることをお勧めする。


 
 
 タモリが紹介していたのが上の写真の場所。ここに旧北国街道が通っていて、北国街道は、この場所から虎口になった橋を渡って、城下町(惣構えの内部)に入っていく。川がちょうど直角に折れ曲がっていて、自然にはこのような流れになり得ないのがよく分かる。真田昌幸が上田城の防衛のために掘らせたのだ。ちなみに、この場所は映画「るろうに剣心」のロケ地としても使われた。

 赤松小三郎記念館があるのもこの場所である。多分、好奇心旺盛なタモリのことだから、記念館の前を通って「赤松小三郎っていったい誰?」と気になったのではないかと思う。残念ながらその辺の疑問は番組の中ではカットされたのかも知れない。 

 願わくば、真田に当たるスポットの光が漏れて赤松小三郎にも流れますように。

 大河ドラマは毛利から真田へ交代した。
 前回の記事で、排外主義を煽った毛利家臣の吉田松陰と、それを戒めた真田家臣の佐久間象山の思想の差異も論じた。日本も長州レジームの排外主義から脱却しよう。従来、吉田松陰が過大評価される一方で、佐久間象山は過小評価されてきた。この長州史観に基づく評価の逆転現象も修正されることを願う。


 


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