ネットで八ッ場ダムが話題になっています。ちょうど試験淡水中だった八ッ場ダムが台風19号であっという間に満水になったというニュース。だから首都圏を救ったというのですが、印象で語っているだけで何の根拠もありません。
水害が起こるたびに自民党のサポーターが、それを利用して、民主党叩きとダムやスーパー堤防擁護のデマ宣伝を行うのが恒例行事になっています。今回の騒ぎも、それです。
八ッ場ダムの貯水で、どれだけ洪水ピーク時に江戸川や利根川下流の水位を下げるのに貢献したのかが問題です。正確な計算は今後に委ねる必要がありますが、おそらく1cm程度か、下手ををすれば数ミリのレベルです。彼らは印象でモノを語っているだけです。1cmほど江戸川の水位を下げたとしても、それで首都圏を救ったというような大げさな話になどなるわけがありません。
利根川流域の一支流でしかない吾妻川の、そのまた上流にあるのが八ッ場ダム。ここで貯水したとしても、利根川全体で見れば微々たる効果でしかありません。
水害を防げるか否かの鍵は、あくまで堤防の強度が十分にあり、決壊を防げるか否かです。江戸川で水害がなかったのは、あくまで堤防が耐えたからです。
八ッ場ダムの建設コストは5300億円ですが、そのコストを堤防の強化に回せば(決壊を防ぎ、破堤しにくい堤防の強化工事)、1000kmくらいの区間の堤防を強化できるはずなのです。そちらの方が国土の安全に果たす効果は大きいのです。
八ッ場ダムは他に気になることがあります。ほぼカラッポだったダムが、一回の台風で満水になってしまったのです。あそこはもともと地すべり地帯で、試験淡水によって地すべり発生の有無を慎重に検証せねばならなかったのに、一夜にして満水になってしまいました。急激に満水になってしまったことによって、地すべりの発生も懸念されます。
それにしても、ほぼカラッポのダムが一回の台風で満水になったということは、ふつうに貯水している状態で今回の台風が襲えば、緊急放流に至った可能性が高いでしょう。
<10月16日の追記>
データが少ないので確実な検証は後日に委ねられますが、八ッ場あしたの会の嶋津暉之氏が、現在手に入る情報からダムの洪水調整効果を試算しています。以下のページご参照ください。
https://yamba-net.org/48931/
それによると埼玉県久喜市の栗橋地点において、八ッ場ダムが洪水調節に寄与したのは17cm水位を低下させということです。かりにダムがなく17cm水位が高かったとしても越水には至っていません。
5300億円のダムで17cm水位を下げるだけということを知る必要があります。17cm水位が下がろうが、上がろうが、堤防がしっかりと耐えればよいのです。
また嶋津氏は、土砂によって河床が上昇していたことも指摘し、河道掘削がしっかりと行われて規定の河道が維持されていれば、水位を70cm下げる効果があったと指摘しています。河道掘削など数千万円でできるでしょうから、5300億円の八ッ場ダムよりもはるかに安価で、しかも効果が高いのです。
水害が起こるたびに自民党のサポーターが、それを利用して、民主党叩きとダムやスーパー堤防擁護のデマ宣伝を行うのが恒例行事になっています。今回の騒ぎも、それです。
八ッ場ダムの貯水で、どれだけ洪水ピーク時に江戸川や利根川下流の水位を下げるのに貢献したのかが問題です。正確な計算は今後に委ねる必要がありますが、おそらく1cm程度か、下手ををすれば数ミリのレベルです。彼らは印象でモノを語っているだけです。1cmほど江戸川の水位を下げたとしても、それで首都圏を救ったというような大げさな話になどなるわけがありません。
利根川流域の一支流でしかない吾妻川の、そのまた上流にあるのが八ッ場ダム。ここで貯水したとしても、利根川全体で見れば微々たる効果でしかありません。
水害を防げるか否かの鍵は、あくまで堤防の強度が十分にあり、決壊を防げるか否かです。江戸川で水害がなかったのは、あくまで堤防が耐えたからです。
八ッ場ダムの建設コストは5300億円ですが、そのコストを堤防の強化に回せば(決壊を防ぎ、破堤しにくい堤防の強化工事)、1000kmくらいの区間の堤防を強化できるはずなのです。そちらの方が国土の安全に果たす効果は大きいのです。
八ッ場ダムは他に気になることがあります。ほぼカラッポだったダムが、一回の台風で満水になってしまったのです。あそこはもともと地すべり地帯で、試験淡水によって地すべり発生の有無を慎重に検証せねばならなかったのに、一夜にして満水になってしまいました。急激に満水になってしまったことによって、地すべりの発生も懸念されます。
それにしても、ほぼカラッポのダムが一回の台風で満水になったということは、ふつうに貯水している状態で今回の台風が襲えば、緊急放流に至った可能性が高いでしょう。
<10月16日の追記>
データが少ないので確実な検証は後日に委ねられますが、八ッ場あしたの会の嶋津暉之氏が、現在手に入る情報からダムの洪水調整効果を試算しています。以下のページご参照ください。
https://yamba-net.org/48931/
それによると埼玉県久喜市の栗橋地点において、八ッ場ダムが洪水調節に寄与したのは17cm水位を低下させということです。かりにダムがなく17cm水位が高かったとしても越水には至っていません。
5300億円のダムで17cm水位を下げるだけということを知る必要があります。17cm水位が下がろうが、上がろうが、堤防がしっかりと耐えればよいのです。
また嶋津氏は、土砂によって河床が上昇していたことも指摘し、河道掘削がしっかりと行われて規定の河道が維持されていれば、水位を70cm下げる効果があったと指摘しています。河道掘削など数千万円でできるでしょうから、5300億円の八ッ場ダムよりもはるかに安価で、しかも効果が高いのです。
「計画高水位よりは低かったとしても、予想外の大雨がもっと降り続いたかもしれず、ダムがなくても安全だったと言える結果ではない」見出しから受ける印象と中身が随分違う記事だなぁ。見出しも良く見ると「八ッ場ダム」ではなく「八ッ場ダム群」だし。意図してミスリードを狙ってる
2人の専門家のコメントが興味深い。 「効果はないとは言わないが、過大評価は疑問だ」「現時点では八ツ場を含むダム群や渡良瀬遊水地、堤防などがチームで機能した」
また栗橋よりたった数キロ上流の川俣観測所では『計画高水位」7.46mを超えて8.00mにまで達していた。
設計上、堤防が耐えられる水位の高さの上限が計画高水位。
堤防は越水しなくても決壊する
weathernews.jp/s/topics/201910/110235/
>ダムがなかったら前橋市は被害多数だったでしょう。
ダムが下げた水位は17cmだけです。ダムで下げられる水位は本当に微々たるものです。その事を知る必要があります。八ッ場ダムがあろうがなかろうが、氾濫危険水位を超えるときは超えるし、越流するときはします。
温暖化時代の豪雨を、ダムで防ぎきることなどできません。緊急放流ともなれば、逆に被害を大きくする可能性もあります。これからの時代、越流は覚悟しなければなりません。ダムに投じる予算を、越流しても破堤しない強度のある堤防に変えていくことこそ、懸命な税金の使い方なのです。
避難勧告も当時は出され、川沿いの公園や道路も浸水しました。
ダムがなかったら前橋市は被害多数だったでしょう。
首都圏だけ無事であればいいのですか?
八ッ場ダムがネット上の話題になっていたので、関さんのブログを紹介したら、平日の日中にもかかわらずシェアの嵐になりました。
これを機会にこのブログがもっと世間に知られるようになればよいと思います。
>では脱ダム宣言をした長野県の方が水害の被害が多い事をどう説明するのですか?
堤防が越水に耐えきれなかったからです。土の堤防だと、どうしても越水すれば破堤してしまいます。この点、私のブログの以下の記事もご参照ください。
https://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/1a879b1642a36d8a705db8d72bc4e469
また、信州では脱ダム宣言の後、脱=脱ダム宣言もなされ、いちど中止していた浅川ダムが建設されました。今回破堤した穂保の近くに建設されたのですが、水害を防ぐには無力だったようです。
ダムに数百億円投じるのであれば、その数百億円を耐越水堤防の整備に転用した方が、水害を防ぐためにははるかに効果的です。
>多摩川の堤防建設に反対していた「市民団体」がHPを消して逃走した件についてはどう思われますか?
私は当該団体を全く知りません。ただ、無責任な話だと思います。批判されるべきでしょう。
多摩川の堤防建設に反対していた「市民団体」がHPを消して逃走した件についてはどう思われますか?