心あるブロガーの方々のあいだにも「二酸化炭素を原因とする地球温暖化説」への懐疑論が広がっています。私は、このブログでは「権力者とそれに迎合する御用知識人のみを批判する」という方針でした。懐疑派の学者の多くは、そのどちらでもない場合が多いです。たとえば日本で代表的な「二酸化炭素による温暖化否定論者」の槌田敦さんは、権力者どころか権力に反抗的な学者です。ブログ上で槌田説を採用しながらIPCCを批判するような方々も、反小泉構造改革派の方々が多数です。
それで、私はこれまで槌田さんなどを批判するのをためらっていました。しかし、あまりにも悪影響が甚だしいと思うので批判させていただきます。といってもとても一回の記事で批判できるほど問題は単純ではありません。
そこで「温暖化問題」というカテゴリーをつくって、これから折に触れて懐疑派や否定派の論調を批判させていただきます。
私の認識ではもう温暖化対策は待ったなしです。いまから対策をはじめても「とき既に遅し」という可能性すらあると思っています。槌田さんは昨今の世論の状況を「エコファシズムだ」と言いますが、とんでもない話です。今の日本は、ほんのささやかな温暖化対策の始めの一歩にすぎない環境税の導入すら、経団連など財界の抵抗で実施できないほど情けない状況なのです。(日本の財界は、小泉構造改革への反対派を「抵抗勢力」呼ばわりしましたが、自分たちこそ日本最大の抵抗勢力じゃないですか)。まあ、「エコファシズム」からはほど遠い状態なので、槌田さんは安心されてよいと思います。
アメリカ政府もアル・カーイダも即刻、「この人類最大の危機を乗り切るために、温暖化問題が解決するまで停戦しよう」と宣言すべきでしょう。それで「対テロ戦争」という名の愚かな炭酸ガス排出行為を止めるべきです。そして「対テロ戦争」の戦費をすべて再生可能エネルギーの開発と普及のために投じるべきでしょう。アメリカとアル・カーイダには、温暖化危機の解決後に戦争を再開するにしても、温暖化に貢献しないように馬と弓矢くらいの戦力で戦うよう要望いたします。
温暖化正のフィードバック効果
さて、懐疑論者の方々の中には、「二酸化炭素など多少増えても大した影響はない」と主張する方々がいます。こうした方々にまず言いたいのは、「正のフィードバック効果の恐ろしさを知って下さい」ということです。
今年の2月にIPCCの第四次評価報告書の素案が出ました。今回の評価報告書で前回に比べて研究が進んだのは、「正のフィードバック効果」に対する分析です。この一つ一つの正のフィードバック効果を検討していくと背筋が寒くなります。百歩譲って、懐疑論者の方々が言うように、「人間が化石燃料を燃やして人為的に排出した二酸化炭素が大した温室効果をもたらさない」としても、正のフィードバック効果が働きはじめたら、もう後戻りできません。人類は破滅に向かうしかないでしょう。
今年のギリシャやカリフォルニアで発生した山火事を見ても、「これは、もう本格的に正のフィードバック効果が働いているのではないか」と思わざるを得ないからです。カリフォルニアの映像を見ていたら「もう人類は間に合わないのではいか」と思わざるを得ませんでした。
写真は、1998年に私がフィリピンの北部ルソンで調査中に撮影したものです。尾根筋から発火した火が地面を這うようにジクジクと広がりながら、熱帯林の伐採跡地を燃やしていき、ちょうど谷筋の水分条件がよい場所に最後に残った樹木を燃やしている様子です。本来、水分条件がよい谷筋は簡単には燃えないのです。
この年、私が滞在していた村の周辺だけで軽く1万ha以上の熱帯林が山火事で燃えました。1万haの熱帯林が燃えれば、ざっと300万トンほどの炭素が大気中に放出されます。森が燃えれば、大量の二酸化炭素が大気中に放出され、それがさらなる温暖化に寄与するのです。
かりに百歩譲って、化石燃料の消費による温暖化が微々たる気温上昇しかもたらさないとしても、その微々たる気温上昇は確実に森林の中からの水分の蒸発散量を増加させ、森林を乾燥化させ、山火事の発生するリスクを増加させるのです。そして山火事の発生件数がわずかでも増加すれば、それによって増加する二酸化炭素でさらに地球温暖化を進めてしまい、さらにその温暖化がフィードバックされて、山火事の発生件数がさらに前回よりも増える・・・・・という悪循環に帰結します。一循環して戻ってくるたびに、山火事の発生件数を増やしていくのです。かくして温暖化は加速します。
つまりたとえ初期条件の変異が微々たるものであったとしても、その変異が原因となって、さらに変異を増大させる方向に独りでに転がっていってしまうのです。これが正のフィードバックです。
IPCCの第四次報告書では北アメリカで予想されるリスクの一つとして森林火災があげられ以下のように書かれています。(IPCC第四次報告書・第二作業部会・環境省仮訳)
「害虫、疾病および火災による攪乱は、火災のリスクの高い期間の長期化と焼失面積の大幅な増加に伴い、森林に対して増加する影響を与えると予測される」
ちなみにブッシュ政権は気候変動の科学報告書に政治的に介入を続け、山火事リスクの増大を指摘した議会公聴会用の報告書を削除させていたりしたそうです。
正のフィードバックはもちろん山火事だけではありません。代表的なものは下記のようなものです。
・土壌: 化石燃料によるCO2排出→気温上昇→土壌温度の上昇→有機物の分解が加速→土壌からのCO2放出→温暖化加速
・海洋: 化石燃料によるCO2排出→気温上昇→海洋のCO2取り込み量の低下→大気中に残存するCO2の増加→温暖化加速
・極地の氷: 化石燃料によるCO2排出→気温上昇→氷の溶解→太陽光の反射率の低下→太陽光の吸収量の増加→さらなる気温上昇 → 温暖化加速
・永久凍土のメタン: 化石燃料によるCO2排出→気温上昇→永久凍土の凍解→凍土の中のメタン放出→温暖化加速→さらなるメタン放出・・・
・水蒸気: 化石燃料によるCO2排出→気温上昇→地表・海面からの水分蒸発量の増加→大気中の水蒸気量の増加→水蒸気という温室効果ガスの増加→温暖化加速
どれも真剣に考えていくと背筋が寒くなるシロモノばかりです。とくに恐ろしいのは水蒸気フィードバックと、シベリアの永久凍土のメタンフィードバックでしょうか。
これらは動き出したらもう止まりません。たとえ人間が化石燃料の排出を止めても、最初の変異がさらにフィードバックされてさらに大きい変異を生むという形で、もう止まらず、暴走を続けるのです。
シベリアからのメタンや、海面からの水蒸気や、土壌・海洋からの二酸化炭素・・・・といった具合に自然界から温室効果ガスが勝手に吹き出てきて、温暖化が止まらなくなってしまうのです。ですから、この正のフィードバックは本格的に始まる時期が「ポイント・オブ・ノーリターン」と呼ばれています。「もう手遅れの点」ということです。自然が勝手に温室効果ガスを吹き出し始める「手遅れの点」に達する前に、抜本的に人為的な温室効果ガスの排出を止めない限り、もう間に合わないのでしょう。
ちなみにIPCCの第四次評価報告書は、正のフィードバックがなければ、気温上昇を2度程度に抑えるために2050年までに50%の削減で十分であるが、正のフィードバックを考慮に入れた場合は2050年までに85%削減する必要があると警鐘を鳴らしています。私も、50%ではなく、85%を目標とすべきだと思います。実際、どのくらい正のフィードバック効果があるのかは、複雑系のはなしですから正確なことは誰も分からないのです。50%削減で足りるという仮定で立案する政策は危険すぎる賭けであるとすら言えます。正のフィードバックの働き方次第では、85%だって足りない可能性すらあるのです。
非平衡状態の熱力学現象において、正のフィードバックが働くと、初期条件のわずかなゆらぎも増幅して、系の構造を根本的に変えてしまうという複雑系の研究を行ったのは物理学者のイリヤ・プリゴジンでした。
槌田敦さんは、その著書でもプリゴジンをよく引用されていましたが、全くプリゴジンを理解していなかったとしか言いようがありません。槌田さんにおいては、温暖化は線形的に緩慢にしか進まないという命題が暗黙の前提になっています。どうして変化は線形的に起こるのか、何の説明もありません。正のフィードバック効果が彼の頭の片隅にもないのです。人為的な二酸化炭素が原因で、自然界からの放出も増幅させているのに、彼はそのメカニズムを一顧だにしていないのです。
自然界は線形的にばかりは変化しません。人為的な影響による地球の気候変動のは非線形現象です。ある地点を越えたら、突発的に急激に変化し、もう元には戻せなくなります。そんな非平衡熱力学の基本的現象も、彼は理解していないようです。
それで、私はこれまで槌田さんなどを批判するのをためらっていました。しかし、あまりにも悪影響が甚だしいと思うので批判させていただきます。といってもとても一回の記事で批判できるほど問題は単純ではありません。
そこで「温暖化問題」というカテゴリーをつくって、これから折に触れて懐疑派や否定派の論調を批判させていただきます。
私の認識ではもう温暖化対策は待ったなしです。いまから対策をはじめても「とき既に遅し」という可能性すらあると思っています。槌田さんは昨今の世論の状況を「エコファシズムだ」と言いますが、とんでもない話です。今の日本は、ほんのささやかな温暖化対策の始めの一歩にすぎない環境税の導入すら、経団連など財界の抵抗で実施できないほど情けない状況なのです。(日本の財界は、小泉構造改革への反対派を「抵抗勢力」呼ばわりしましたが、自分たちこそ日本最大の抵抗勢力じゃないですか)。まあ、「エコファシズム」からはほど遠い状態なので、槌田さんは安心されてよいと思います。
アメリカ政府もアル・カーイダも即刻、「この人類最大の危機を乗り切るために、温暖化問題が解決するまで停戦しよう」と宣言すべきでしょう。それで「対テロ戦争」という名の愚かな炭酸ガス排出行為を止めるべきです。そして「対テロ戦争」の戦費をすべて再生可能エネルギーの開発と普及のために投じるべきでしょう。アメリカとアル・カーイダには、温暖化危機の解決後に戦争を再開するにしても、温暖化に貢献しないように馬と弓矢くらいの戦力で戦うよう要望いたします。
温暖化正のフィードバック効果
さて、懐疑論者の方々の中には、「二酸化炭素など多少増えても大した影響はない」と主張する方々がいます。こうした方々にまず言いたいのは、「正のフィードバック効果の恐ろしさを知って下さい」ということです。
今年の2月にIPCCの第四次評価報告書の素案が出ました。今回の評価報告書で前回に比べて研究が進んだのは、「正のフィードバック効果」に対する分析です。この一つ一つの正のフィードバック効果を検討していくと背筋が寒くなります。百歩譲って、懐疑論者の方々が言うように、「人間が化石燃料を燃やして人為的に排出した二酸化炭素が大した温室効果をもたらさない」としても、正のフィードバック効果が働きはじめたら、もう後戻りできません。人類は破滅に向かうしかないでしょう。
今年のギリシャやカリフォルニアで発生した山火事を見ても、「これは、もう本格的に正のフィードバック効果が働いているのではないか」と思わざるを得ないからです。カリフォルニアの映像を見ていたら「もう人類は間に合わないのではいか」と思わざるを得ませんでした。
写真は、1998年に私がフィリピンの北部ルソンで調査中に撮影したものです。尾根筋から発火した火が地面を這うようにジクジクと広がりながら、熱帯林の伐採跡地を燃やしていき、ちょうど谷筋の水分条件がよい場所に最後に残った樹木を燃やしている様子です。本来、水分条件がよい谷筋は簡単には燃えないのです。
この年、私が滞在していた村の周辺だけで軽く1万ha以上の熱帯林が山火事で燃えました。1万haの熱帯林が燃えれば、ざっと300万トンほどの炭素が大気中に放出されます。森が燃えれば、大量の二酸化炭素が大気中に放出され、それがさらなる温暖化に寄与するのです。
かりに百歩譲って、化石燃料の消費による温暖化が微々たる気温上昇しかもたらさないとしても、その微々たる気温上昇は確実に森林の中からの水分の蒸発散量を増加させ、森林を乾燥化させ、山火事の発生するリスクを増加させるのです。そして山火事の発生件数がわずかでも増加すれば、それによって増加する二酸化炭素でさらに地球温暖化を進めてしまい、さらにその温暖化がフィードバックされて、山火事の発生件数がさらに前回よりも増える・・・・・という悪循環に帰結します。一循環して戻ってくるたびに、山火事の発生件数を増やしていくのです。かくして温暖化は加速します。
つまりたとえ初期条件の変異が微々たるものであったとしても、その変異が原因となって、さらに変異を増大させる方向に独りでに転がっていってしまうのです。これが正のフィードバックです。
IPCCの第四次報告書では北アメリカで予想されるリスクの一つとして森林火災があげられ以下のように書かれています。(IPCC第四次報告書・第二作業部会・環境省仮訳)
「害虫、疾病および火災による攪乱は、火災のリスクの高い期間の長期化と焼失面積の大幅な増加に伴い、森林に対して増加する影響を与えると予測される」
ちなみにブッシュ政権は気候変動の科学報告書に政治的に介入を続け、山火事リスクの増大を指摘した議会公聴会用の報告書を削除させていたりしたそうです。
正のフィードバックはもちろん山火事だけではありません。代表的なものは下記のようなものです。
・土壌: 化石燃料によるCO2排出→気温上昇→土壌温度の上昇→有機物の分解が加速→土壌からのCO2放出→温暖化加速
・海洋: 化石燃料によるCO2排出→気温上昇→海洋のCO2取り込み量の低下→大気中に残存するCO2の増加→温暖化加速
・極地の氷: 化石燃料によるCO2排出→気温上昇→氷の溶解→太陽光の反射率の低下→太陽光の吸収量の増加→さらなる気温上昇 → 温暖化加速
・永久凍土のメタン: 化石燃料によるCO2排出→気温上昇→永久凍土の凍解→凍土の中のメタン放出→温暖化加速→さらなるメタン放出・・・
・水蒸気: 化石燃料によるCO2排出→気温上昇→地表・海面からの水分蒸発量の増加→大気中の水蒸気量の増加→水蒸気という温室効果ガスの増加→温暖化加速
どれも真剣に考えていくと背筋が寒くなるシロモノばかりです。とくに恐ろしいのは水蒸気フィードバックと、シベリアの永久凍土のメタンフィードバックでしょうか。
これらは動き出したらもう止まりません。たとえ人間が化石燃料の排出を止めても、最初の変異がさらにフィードバックされてさらに大きい変異を生むという形で、もう止まらず、暴走を続けるのです。
シベリアからのメタンや、海面からの水蒸気や、土壌・海洋からの二酸化炭素・・・・といった具合に自然界から温室効果ガスが勝手に吹き出てきて、温暖化が止まらなくなってしまうのです。ですから、この正のフィードバックは本格的に始まる時期が「ポイント・オブ・ノーリターン」と呼ばれています。「もう手遅れの点」ということです。自然が勝手に温室効果ガスを吹き出し始める「手遅れの点」に達する前に、抜本的に人為的な温室効果ガスの排出を止めない限り、もう間に合わないのでしょう。
ちなみにIPCCの第四次評価報告書は、正のフィードバックがなければ、気温上昇を2度程度に抑えるために2050年までに50%の削減で十分であるが、正のフィードバックを考慮に入れた場合は2050年までに85%削減する必要があると警鐘を鳴らしています。私も、50%ではなく、85%を目標とすべきだと思います。実際、どのくらい正のフィードバック効果があるのかは、複雑系のはなしですから正確なことは誰も分からないのです。50%削減で足りるという仮定で立案する政策は危険すぎる賭けであるとすら言えます。正のフィードバックの働き方次第では、85%だって足りない可能性すらあるのです。
非平衡状態の熱力学現象において、正のフィードバックが働くと、初期条件のわずかなゆらぎも増幅して、系の構造を根本的に変えてしまうという複雑系の研究を行ったのは物理学者のイリヤ・プリゴジンでした。
槌田敦さんは、その著書でもプリゴジンをよく引用されていましたが、全くプリゴジンを理解していなかったとしか言いようがありません。槌田さんにおいては、温暖化は線形的に緩慢にしか進まないという命題が暗黙の前提になっています。どうして変化は線形的に起こるのか、何の説明もありません。正のフィードバック効果が彼の頭の片隅にもないのです。人為的な二酸化炭素が原因で、自然界からの放出も増幅させているのに、彼はそのメカニズムを一顧だにしていないのです。
自然界は線形的にばかりは変化しません。人為的な影響による地球の気候変動のは非線形現象です。ある地点を越えたら、突発的に急激に変化し、もう元には戻せなくなります。そんな非平衡熱力学の基本的現象も、彼は理解していないようです。
http://www.youtube.com/watch?v=P--pmZpwYEY&feature=related
↑に貼付けたyou tubeの番組をどうご覧になりますか?
ご意見を是非お聞きしたいです。
>その上ゴア氏が伝道師のように本と映画を手にして
>世界中を回っているが、ほんとうだろうか、と疑問
>に思ってしまうわけです。
とむ丸さんがゴアの受賞などを「胡散臭い」と思ってしまう理由はよくわかります。ゴアは米軍がユーゴを空爆したときの副大統領ですから、彼の手は血で汚れています。「空爆の加担者に平和賞出してよいのか」という不満は私も共有します。でもあの米国の中では相対的にはマシな政治家であったことも確かです。私の原則は、「ベストな者がいない中では、相対的に悲惨度の少ない人を支持する」というものなので、他の米国の政治家に比べると相対評価は高くなってしまいます。
でも確かに、ノーベル平和賞はIPCCだけに出せば十分だったと思います。血で汚れたゴアに出したことで、世界中でリベラルな人々が「何か胡散臭い」と思ってしまったので、プラスよりもマイナスの方が大きかったかも知れません。
「認識と行動のズレ」云々のはなしは、とむ丸さんには当てはまらないかと存じますが、田中宇さんや内田樹さんには結構あてはまってしまうのではないでしょうか。彼らは、他の問題を考えるので忙しいでしょうから、この問題はできれば考えたくないという意識が働いているのでしょう。
ですので、あの田中さんや内田さんにしては、あまり自分のアタマで考えた形跡がなく、田中さんはロンボルクさんの説の受け売りですし、内田さんは池田清彦さん説の受け売りになっています。ああいう社会的影響力が強い方々がそうした無責任な発言をするのは、たいへんに有害であると思います。
>IPCCが報告書を出す以前の問題として、最大の
>環境破壊である「戦争」を何とかしろ、と考えています。
温暖化の場合、戦争と同等かそれ以上の災厄だと思います。先日のバングラデシュのサイクロン被害も温暖化の結果としか思えませんが、すでに死者3000人を越し、もしかしたら1万人に達するようです。カトリーナも5000人を超す死者でした。これは都市空爆で出る死者数に匹敵いたします。今後さらに台風やサイクロンが強大化していったら・・・・と考えるだけで背筋が凍ります。
私は、空爆を防がなくてはいけないと思うのと同じ気持ちで、温暖化も防がなくてはならないと思っています。
>ヒラリー・クリントンもたしか軍産複合体から巨額
>の献金を受けています。
確かにそのようです。怖いことです。でも彼女はどうやら大統領になってしまいそうなので、もうこれ以上の戦争を回避するためにも、彼女の名誉欲を、「対テロ戦争の指揮官」としてのものではなく、「温暖化対策の国際的なリーダー」という地位に向けさせることが肝要だと思います。
私自身は、温暖化云々をいう前に現在のエネルギーとエネルギー利用のあり方に大いに疑問を感じていますし、IPCCが報告書を出す以前の問題として、最大の環境破壊である「戦争」を何とかしろ、と考えています。
カリフォルニアやギリシアの山火事はすごかったですね。テレビのニュースで見ながら、これも温暖化が原因だろうか、と漠と感じていました。
ただ、そのメカニズムをまだよく理解していません。
「表土」の問題もあったわけですね。表土の大切さを知ったのも大人になってから、それもつい10数年前のことです。その時は目から鱗が落ちました。
いろいろ考えてみると、知らないことが多すぎますね。またいろいろお教え下さい。
ついで言いますと、ヒラリー・クリントンもたしか軍産複合体から巨額の献金を受けています。やっぱり戦争は終わらないか、と悲観的になってしまいます。
>表土を流出させてしまうことでないでしょうか。特
>に伐採地では……。
日本と同じく急峻な地形の多いフィリピンは実際にそうなってきています。表土が流れると草原しか再生しません。
日本もこれだけ集中豪雨が増えると、間伐していないモヤシ人工林では斜面崩壊を抑えきれず、今後もあっちこっちで土石流災害が多発するでしょう。いちばん怖いのは洪水よりも土石流です。
cruさま
そういえば、槌田さんはスウェーデン人にとっては温まるのはよいことだから温暖化なんか心配しなくてよいのだ、みたいなことも書いてましたっけ。メキシコ湾流の危機も認識していなかったわけです。
> 前向きにがんばっている国々がもっとも被害を受けて、他の地域が助かるというのは、道義的にまずいですね。
あはは、たしかにそうですね。
すみません。
以下が言いたいだけの枕でした。
「農業文明が維持できているのはそれ以前に比べて驚異的に気候が安定しているらしい最近の数千年間に過ぎない」
枕としても道義的にはまずかったかもしれません。
水蒸気量増加が「ところ構わず起こる多雨現象」に繋がり(なぜなら、どこかで局地的に水蒸気が増えるのでないからです)、表土を流出させてしまうことでないでしょうか。特に伐採地では……。
かつて東京農工大の戸田先生の講演を聴いたことがあり(丹沢山系の環境調査ボランティアの事前学習)、当時のノートを読み直しているところです。
>温暖化が原因のメキシコ湾流停滞で欧州が寒冷化したら熱収支的に地球は救われるんだろうか?
前向きにがんばっている国々がもっとも被害を受けて、他の地域が助かるというのは、道義的にまずいですね。
ココロさま
>「地球>平和>生活」だと考えています。
まったく同感です。ありがとうございました。
検索すれば沢山でてきますが、情報が多いってのも弊害もあり、よくわからなくなってしまいます。ただ、本能で判っているのは「危機が迫っている」ということだけです。私も、平和を求めてブログを書いていますが、正直言って、「地球>平和>生活」だと考えています。地球が無事ではじめて平和があり、平和があってはじめて生活を楽しむことが可能になる‥という感じです。この記事を近いうちに紹介させていただきたいと思っていますので、了解いただければ幸いです。
――なーんて考えちゃだめなんですよね。
気候擾乱はどんな形にせよ生態系、そして農業に大きなダメージを与える。
化石記録上のホモサピエンスが生まれて数十万年。農業文明が維持できているのはそれ以前に比べて驚異的に気候が安定しているらしい最近の数千年間に過ぎない事を忘れちゃいけない…。
>にかぶれてしまう、というねじれに非常に憂慮して
>きました。
本当に、私もこれが謎でした。今年の夏にNHKの「ためしてガッテン」で、家庭でできる温暖化対策を扱っていました。その中で、「人間の心理は認識と行動が一致していると安定するが、認識と行動がズレていると気持ち悪くて安らかでない」といった分析をしていました。「なるほど」と、それを見てガッテンした次第です。
温暖化の進行の現実を認識として受け入れれば、それを防ぐための具体的な行動をしなければ心安らかではない。しかし、格差の拡大やら生活不安の増大やら戦争と平和の問題など、取り組むべき課題は目の前に一杯。もうこれ以上、他の問題に取り組む余裕は一切ない・・・・。しかし、認識と行動がズレるのは気持ち悪い。では、どうするか? よし、懐疑説を信じてしまえ。「温暖化は心配ない→何も取り組まなくてよい」。こうして人間は、無意識のうちに認識と行動を一致させて先進的安定を保とうとしているのではないでしょうか。
温暖化問題、真剣に考えていくと相当に気が滅入ってきます。格差解消や護憲・平和などなど他の社会問題が心配で頭が一杯という方々には、これ以上加重に心配事を増やしたくないのかと存じます。「できることなら考えたくない。よし、懐疑説を信じてその問題はないことにしよう」と。その方が、精神的には楽でしょうから。
私の場合、世界が一丸となって温暖化という全人類共通の敵に立ち向かっていくことを通して、戦争も防げるし、格差拡大も防げるし、雇用も増加できるし、経済にもプラスだと思っています。「災い転じて福となす」という発想です。そのためにエコロジカル・ニューディール政策というプランを当ブログで提起しております。でも、リベラル派のブロガーのあいだでも取り上げてもらえないし、全く広がらないのですが・・・(苦笑)。
内田樹さんが書いている内容、「ひどい!」の一言につきます。人類の排出する70億トンの炭素が「北京の蝶のはばたき」だって・・・・。唖然とします。彼は、複雑系が何かよく分かっていないのに、カッコつけて引用しようとして、間違った文脈で使い、完全に墓穴を掘っています。「北京の蝶のはばたきですら、暴風につながる」というのなら、いわんや「人為的二酸化炭素」においてをや・・・・。というはなしです。
彼、自然科学のこと何も分からないのに、知ったかぶりたいので、池田説や槌田説を受け売りしているだけなのでしょう。
内田氏のブログ、私から見ると拙劣きわまる内容で、そのくせに彼の態度がエラソーなので、とても読むに耐えられません。それで全く訪れていなかったのですが、今回の温暖化に関する彼の記事を読んで驚きました。彼が、私が漠然と感じていた以下の三流学者であると確認いたしました。あのような教師に教わる学生さんはかわいそうだと思います。
あのレベルの三流学者が一流だとチヤホヤされてしまうのを見ても、日本社会の知性の劣化が心配です。
アメリカの山火事についてはこちらでも大手メディアは「ラ・ニーニャのせい」といい温暖化に触れることはありませんが、環境関連業界では常識、という感じでしょうか。
今年は渇水も激しく、温暖化が進むと「降雨は多いが巨大ハリケーン」もしくは「渇水」の二極になってくるのかなあというのが肌で感じられます。
http://www.janjanblog.jp/user/stopglobalwarming/stopglobalwarming/11482.html
北極海が全て解氷するころにはメキシコ湾流が止まっているかもしれません。
ちょうど「科学」が原発特集を組んでいますが、やはり石油にも原子力にも依存しないシステムの立ち上げが必要なのでしょう。立ち上げ自体にも時間がかかるので心配ですが、それ以上にこの国は方向転換に手間取りそうです。
ヒラリーの80%削減はどこまで本気なんでしょうね。アメリカが動いたら日本も追随するでしょうけども。
それが判っていて、何もしないどころか自己の利権しか考えない暴挙ばかりで、地球は悲鳴をあげ始めているのに本気で対策をしようとはしませんね。私は、今までどおりに普通に暮らせる期間は、あまり永くないように思っています。もちろん地球が消えてなくなるわけではないですが、今までのような良い環境ではなくなるでしょう。まったく専門的なことは知りませんが、人間も動物ですから本能で感じます。やっぱり!という思いで拝見しました。これからも、伺いたいのでよろしくお願いします!^^
これが危惧されるところです。もっとも民意に基づいた強力な指導力だったらよいのでしょう。
私は、持続可能性の原則は、自由とか民主主義とかいった原則よりも上に置かれるべき原則だと思います。人類が滅びてしまったら、それこそ全ての価値など無ですから。
世界でもっとも持続可能性が高いという評価もあるキューバは、やはり他の国々も見習うべきだと思います。
同感です。百歩も千歩も譲って、「温暖化対策に巨額を投じたが、IPCC説が間違っていて懐疑論者が正しかった」という結果が50年後に出たとして、その過ちは笑ってすむ程度のエピソードです。
それに対して、「懐疑論者の主張を信じて温暖化対策を行わず、50年後にIPCCの計算がシミュレーションが正しかったことが分かった」場合、もう人類はthe endです。こちらは取り返しのつかない過ちです。
同じ過ちを犯すにしても、前者の過ちを選択するのが当然でしょう。
>太陽電池・風力発電など代替エネルギーは全て石油の無駄遣いに過ぎない。
まったくのデタラメだと思います。槌田さんの「太陽パネルの製造エネルギーが、耐用年数中の産出エネルギーを上回る」という計算は、詳しい人に聞いたら、太陽電池パネルの製造法がおそろしく旧式の不効率なやり方の場合にして計算してあるそうです。つまり悪意のある間違った計算です。
いまの技術でしたら、太陽電池パネルの生産への投入エネルギーを、パネルからの産出エネルギーで回収するのに1.5年程度しかかからないそうです。つまり残りはネットでエネルギーの産出になります。
太陽光発電も風力もバイオマスも、もちろん熱力学第一法則にも第二法則にも反したりはしません。だって全ては太陽エネルギーが源で、それを地球上で変形させているだけなのだから・・・・。
たしかあれやこれやの対策を積算してやっとこ50%の削減だったと記憶してるので、85%となると、だいぶ、現在の生産レベルを落とさなければいけないというか…それこそファシズムに近い強力な指導力が必要かもしれませんね。
こうなるとアインシュタインとかフレッドホイル役の人は一理あっても百害に遠く及ばないというか…
北極海が全面解氷する頃にはさすがにコンセンサスが取れるのではないかと願ってますが…
「全てを疑え、最悪に備えよ」
特にクライトンがいうように「未来はわからない」のなら、最悪の未来でも何十億人も餓死しないような世界システムを作っておくべきです…
ちょうど、船で遠くが見通せないなら人数分の救命ボートと予備の水を用意しておくべきであるように。
あと槌田氏ら、温暖化否定論者に「太陽電池・風力発電など代替エネルギーは全て石油の無駄遣いに過ぎない。それは永久機関禁止同様物理法則から導かれる本質的なものであり、技術開発・大量生産によるコスト減で克服できる問題ではない」という論が多く見られます。
それについて、きちんとした検討はあるでしょうか?
僕はこの問題が一番重大だと思っています。