環境NGOのFoEジャパンから下記の報告会の案内をもらいました。ブログで紹介させていただきます。日本の融資で建設されたフィリピン・サンロケ多目的ダムの反対運動のリーダーが暗殺されました。現地で調査をしていたFoEジャパンの方などが最近のフィリピンの人権状況について報告いたします。グローリア・マカパガル・アロヨが大統領に就任して以降、フィリピンでは合計690名もの左派活動家(農民運動や労働運動の活動家)、住民運動家、ジャーナリスト、教会関係者などが暗殺されています。
フィリピンの人権状況は、マルコス独裁政権時代を上回るメチャクチャな状態なのです。米国が支援した軍事独裁政権が左派活動家の暗殺・虐殺を繰り広げた80年代の中南米に近い状況になってきています。これも9・11以降のアメリカの狂気と無関係ではないでしょう。何せ、レーガン時代に中米ホンジュラスの人権侵害(暗殺・虐殺)に深く関わり、その後、フィリピン大使も務めたジョン・ネグロポンテがアメリカの国家情報長官になってしまったのですから・・・。ちなみに、最近のフィリピンでの暗殺のやり方(オートバイで後方から接近して銃を乱射して殺害する)は、80年代のホンジュラスでも多用されていたのと同じなのだそうです。
法的にフィリピンはアジアでももっとも言論の自由がある国ですが、いまアジアでは北朝鮮に次いで、言論活動が生命の危険に結びつく国かも知れません。2001年以降のフィリピンではジャーナリストだけで42人も暗殺されています。この記事参照。
日本の親米右派の方々は、「中国は人権侵害をしているひどい国だからODAを停止せよ」とおっしゃるのですが、それなら中国以前にフィリピンに停止せねばならないでしょう。
例えば中国で三峡ダム反対の立場での報道を展開した反骨のジャーナリスト、『三峡ダム』の著者の戴晴さんは、現在ジャーナリストとしての活動は禁止されていますが、市民活動の自由は認められております。フィリピンのジャーナリストは、逮捕されるとか言論を封じられるとか、そういう次元の弾圧がくるのではなく、いきなり襲われて殺されるのです。
日本の親米右派の方々には、中国の人権侵害に注視していただくのも良いのですが、米国や日本の友好国でも、このような人権侵害が起こっているという事実は認識していただきたいと存じます。
ちなみにこの人権侵害の背後にはフィリピン政府とフィリピン共産党・新人民軍との内戦があります。私は、時代錯誤の武装闘争を続けるフィリピン共産党は支持しません。合法活動が封じられていたマルコス戒厳令体制下とは違うのですから、新人民軍は武装闘争路線を放棄し、投降すべきだと思います。そしてフィリピン共産党は合法的な議会政党に生まれ変わって活動すべきでしょう。ニカラグアのサンディニスタ民族解放戦線やエルサルバドルのファラブンド・マルティ民族解放戦線がそうしたように。そしてサンディニスタやファラブンド・マルティが最大野党として、選挙による政権奪取を伺うほどの勢力になっていることを見習うべきでしょう。
フィリピン共産党の決定的な誤りという事実はあるのですが、それにしても、殺されている人々の多くは共産党員ないしシンパではあってもゲリラではない合法的な活動家たちが圧倒的多数です。また共産党系でない人々まで多数殺されています。有無を言わさず彼らを暗殺していく現在のフィリピンの政治状況はもはや狂気の沙汰です。
日本政府が正気なら、「ODA凍結」という選択肢を含めて、フィリピン政府に外交的圧力をかけるべきなのです。
<以下転載>
****************************
http://www.foejapan.org/aid/jbic02/sr/event/2006jul.html
■■7/15 緊急報告会のご案内 ■■
フィリピン 人権侵害の状況は今
――次々に起こる「暗殺」に弾圧される市民の声
日本企業が国際協力銀行(JBIC)の融資約7億ドルでフィリピンに建設した
アジア最大級のダム「サンロケ多目的ダム」。5月16日、そのダム事業が引
き起こした甚大な被害を訴え、破壊された生活状況の改善のため問題に取り
組み続けてきた地元農民団体の代表ホセ・ドトン氏が、殺害されるという非
常に許しがたい事件が地元で起こりました。
現グロリア・マカパガル・アロヨ大統領が就任した2001年から今日までの5
年間、フィリピンでは、合法的な活動を行なっている住民運動のリーダーや
メンバー、また、ジャーナリストや教会関係者が脅迫される、嫌がらせを受
ける、誘拐される、あるいは、殺害されるといった報告が後を絶たず、その
被害者・犠牲者の数は増える一方です。アロヨ政権下で起こった超法規的処
刑(Extra Judicial Executions)の犠牲者数は、フィリピンの人権団体によ
れば、今年6月20日までで690名にものぼっており、フィリピン現地の深刻な
人権侵害の状況は現在も一向に改善される気配はありません。
今回のサンロケダムの被害地におけるドトン氏の殺害も、こうしたフィリピ
ンの社会・政治状況の中で起きたと見られています。
日本はフィリピンにとって、最大の政府開発援助(ODA)供与国です。フィリ
ピン政府のデータによれば、2004年のODA実施事業の拠出額の割合は、日本政
府が61%と群を抜いています(世界銀行13%、アジア開発銀行11%)。今年
は、「フィリピン・日本国交回復50周年」にあたり、現在、新たなODA供与の
交渉も積極的に行なわれています。
このように、日本が大きな責任を負っているフィリピンで、今、一体、何が
起こっているのでしょうか。一体、どのような人々が、次々と殺害されていっ
ているのでしょうか。フィリピンの問題に長く関わってきたフリージャーナ
リスト、また、フィリピンの出張から戻ったばかりのFoE Japanスタッフがフィ
リピンの人権侵害の実態と最新情報をご報告します。
【東京】
◆日時:2006年7月15日(土) 14:00~16:00
◆場所:全水道会館 7階 会議室
(東京都文京区本郷1-4-1
JR水道橋駅 東口(お茶の水寄り) 徒歩2分
都営地下鉄三田線水道橋駅 A1出口 徒歩1分)
地図
◆参加費:300円
◆報告者:Teresita Vida Beltranさん
(埼玉フィリピン人会代表:KAFIN-Saitama)
竹見智恵子さん
(フリージャーナリスト)
フィリピン・レイテ島で農民の支援に関わり19年目。
昨年5月に殺害されたラプス牧師をはじめ、親しく
していた複数の友人が殺害された。
波多江 秀枝
(国際環境NGO FoE Japan)
日本の公的資金で行なわれているフィリピン各地の
開発事業の現場を回り、地元団体とその環境社会問題に
取り組んでいる。今年5月、サンロケダム事業に反対
する地元のリーダー・ドトン氏が殺害された。
◆共催:水源開発問題全国連絡会(水源連)/FoE Japan
◆お問合せ・お申込み:FoE Japan (担当:波多江)
〒171-0031 東京都豊島区目白3-17-24-2F
TEL:03-3951-1081 FAX:03-3951-1084
E-mail:hatae@foejapan.org
*資料準備の都合上、前日14日(金)までにお申し込みください。
*報告会終了後、近くのお店で懇談の場を設けたいと思いますので、
お時間のある方はご参加ください。
▼▲ 東京以外にお住まいの方々へのご案内 ▲▼
日本各地で、フィリピンの人権問題、また、フィリピン日本友好50周年に
関する報告会等が開催されます。詳細は各地担当者に直接お問合わせ
いただくか、もしくは、FoE Japan(波多江)までお問い合わせください。
7月16日(日)午後 名古屋
7月17日(月・祝)午後 京都
ジュビリー関西ネットワーク事務局(担当:内富)
TEL: 070-5650-3468
E-mail: jubilee_kansai@yahoo.co.jp
7月18日(火)夜 福岡
担当:瀧本 TEL:090-4484-2939
●(参考)サンロケ多目的ダムプロジェクトとは?
ルソン島北西部を流れるアグノ川上流で建設されたサンロケダム(345MW)は、
発電、灌漑、水質改善、洪水制御を目的とした多目的ダム。事業の発電部門を
担当するサンロケパワー社は丸紅や関西電力などが出資してつくった現地の合
弁企業だ。また、事業の総工費12億ドルのうち約7億ドルを日本の国際協力銀
行が融資している。このダムは下流で多くの立ち退き者を出すだけでなく、土
砂堆積や集水域管理計画の不備により、上流の先住民族にも多大な被害を与え
ると考えられるため、住民組織や自治体、国際NGOが計画の見直しを求めてき
たが、ダム建設はすでに完了。2003年5月に発電部門の商業運転が開始された。
しかし、被害を受けた住民に対する適切な補償がなされていないなど、未解決の
問題が山積したままとなっている。
灌漑部門については、フィリピン国家灌漑庁が「アグノ川統合灌漑事業」として、
ダム建設と並行して計画立案を進めてきており、現在、総工費約1億5000万ドル
のODAによる融資の拠出を日本に要請している。地元住民は、既存の灌漑用水路
のリハビリテーション、古い灌漑用ダムの修理などを求める一方で、大規模な灌
漑プロジェクトによる農地の収用など、多くの懸念を指摘。計画の変更を迫って
いる。
※サンロケダムに関するより詳細な情報はWEBサイトでご覧いただけます。
→http://www.FoEJapan.org/aid/jbic02/sr/index.html
**********************************
■■■
■■ 団体・個人賛同のお願い――7月19日午前中まで
フィリピンにおける市民活動家に対する
超法規的殺害および人権侵害の多発と
アグノ川統合灌漑事業(サンロケ多目的ダム事業灌漑部門)を含む
日本からフィリピンへの公的資金の供与に関する
日本政府への要請書 ■■
■■■
(1)要請書への賛同依頼文
(2)賛同方法
(3)要請書の本文
(4)サンロケダム事業の概要
(5)報告会・シンポジウムのご案内(7月15日~東京・名古屋・京都・福岡)
■■(1)要請書への賛同依頼文 ■■
現在、フィリピン各地で、住民運動のリーダーやメンバー、また、ジャーナリス
トや教会関係者に対する殺害、誘拐といった人権侵害が多発しています。フィリ
ピンの人権団体によれば、現アロヨ大統領が就任した2001年から今日までの5年
間で起こった超法規的殺害(Extra Judicial Killings)の犠牲者数は、今年6月
20日までで690名にものぼっています。
日本企業が国際協力銀行(JBIC)の融資約7億ドルでフィリピンに建設した「サ
ンロケ多目的ダム事業」、また、日本政府が現在、円借款の供与を検討している
同ダム事業の灌漑部門「アグノ川統合灌漑事業」が地元で引き起こしている甚大
な被害を訴え、生活状況の改善のために問題に取り組み続けてきた地元農民団体
の代表も、今年5月、このような状況のなかで殺害され、犠牲となりました。
→http://www.foejapan.org/aid/jbic02/sr/press/20060602.html
日本はフィリピンにとって、最大の政府開発援助(ODA)供与国です。また、今年
は、「フィリピン・日本国交回復50周年」にあたり、現在、「アグノ川統合灌漑
事業(サンロケ多目的ダム事業灌漑部門)」を筆頭に新たなODA供与の交渉が積
極的に行なわれています。
しかし、ODA大綱では、重大な人権侵害が行なわれている国への援助供与には慎
重であるよう謳われています。また、市民への重大な人権侵害が多発しているフィ
リピンの現状では、「明日は我が身」と懸念する市民の声が圧迫されており、国
際協力機構(JICA)やJBICが環境ガイドラインで求めているような「地域社会の社
会的合意」や「適切な住民参加」などを確保する素地も損なわれています。
FoE Japanでは、このような状況を受け、日本政府に対し、
(1)現時点でのフィリピンへの公的資金供与の即刻停止と
新たな公的資金供与の不検討
(2)サンロケ灌漑部門の事業地域で起きた地元リーダーの殺害事件、
また、同事業の地域住民の表現の自由などの保障状況に関する
徹底かつ独立した事実確認・調査
(3)フィリピンの市民活動家に対する超法規的殺害・人権侵害の多発に
関する徹底かつ独立した調査
(4)上記の事実確認・調査方法と調査結果の公開
(5)調査結果に基づく、フィリピンへの公的資金供与の是非、
人権侵害への対応に関する公開の広い意見交換
を求める要請書を提出することにしました。(提出日:7月19日)
皆様より多くのご賛同がいただけますようお願い申し上げます。
■■(2)ご賛同下さる団体・個人の方は
7月19日(水)午前中までに下記の情報をお知らせください。 ■■
●団体として賛同の場合
団体名:
代表者名:
●個人として賛同の場合
氏名:
所属団体、職業、もしくは、住所:
送り先: FoE Japan 波多江(hatae@foejapan.org)
また、署名用紙での署名集めにご協力いただける方は、
こちらから用紙をダウンロードしていただき、ご郵送いただければ幸いです。
→http://www.foejapan.org/aid/jbic02/sr/pdf/20060719r.pdf(PDF)
■■■
■(3)要請書の本文はこちらです。 ■
■■■
2006年7月19日
内閣総理大臣 小泉 純一郎 様
外務大臣 麻生 太郎 様
財務大臣 谷垣 禎一 様
経済産業大臣 二階 俊博 様
フィリピンにおける市民活動家に対する超法規的殺害および人権侵害の多発と
アグノ川統合灌漑事業(サンロケ多目的ダム事業灌漑部門)を含む
日本からフィリピンへの公的資金の供与に関する要請書
私たちは、日本の公的資金を使い海外で行なわれている事業が、地元で引き起こ
している環境・社会問題を懸念し、その問題の解決に取り組んでいます。その中
で、国際協力銀行(JBIC)が約7億米ドルを融資した「フィリピン・サンロケ多
目的ダム事業」、また、日本政府が現在、円借款の供与を検討している同事業の
灌漑部門「アグノ川統合灌漑事業」(総工費約1億5,000万米ドル)が地元で引き
起こしている甚大な被害を訴え、生活状況の改善のために問題に取り組み続けて
きた農民団体の代表が地元で殺害されるという非常に許しがたい事件が去る5月
16日に起こりました。
同農民団体ティマワ(TIMMAWA:Tignay dagiti Mannalon a Mang-wayawaya iti
Agno)(アグノ川の自由な流れを取り戻す農民運動)代表ホセ・ドトン氏は、
2001年の同団体設立以来、サンロケダム事業のために自分たちの生活の糧である
農地が奪われ、また、砂金採取ができなくなることなどを懸念し、ダムの建設お
よび商業運転に反対してきました。ダム建設の完了後も、ダム事業のために生活
の糧を失った農民・砂金採取者に対する適切な補償措置を求め、現地の日系企業、
フィリピン政府と粘り強く交渉を続けていました。また、サンロケダム事業の灌
漑部門(アグノ川統合灌漑事業)についても、その灌漑事業の小農民への影響を
懸念する要請書をこの2月に日本政府に提出したばかりでした。
フィリピンでは、現グロリア・マカパガル・アロヨ大統領が就任した2001年から
今日までの5 年間、合法的な活動を行なっている住民運動のリーダーやメンバー、
また、ジャーナリストや教会関係者が脅迫される、嫌がらせを受ける、誘拐され
る、あるいは、殺害されるといった報告が後を絶たず、その被害者・犠牲者の数
は増える一方です。
2006年5月、フィリピン国家警察は、大統領の指示でこうした活動家の殺害事件
を捜査するための特別捜査班「ウシッグ」を設置しました。しかし、一ヶ月以上
が経った現在も、適切な捜査は行なわれておらず、事態に十分な進展は見られま
せん。フィリピン国内法(第6981号)に基づいて、犠牲者の家族や殺害事件の目
撃者を適切に保護することもできていません。
その結果、フィリピンの市民活動家に対する深刻な人権侵害の状況は現在も一向
に改善される気配はなく、フィリピンの人権団体によれば、アロヨ政権下で起こっ
た超法規的殺害(Extra Judicial Killings)の犠牲者数は、今年6月20日までで
690名にものぼっています。フィリピンにおけるこの数字に代表される深刻な人
権侵害の状況は、まったく容認できるものではなく、また、新たな殺害事件がこ
れ以上起きないよう、フィリピン政府による早急な措置が求められるのは言うま
でもありません。
今回のサンロケ多目的ダム事業、および、同灌漑部門(アグノ川統合灌漑事業)
の被害地において起こったホセ・ドトン氏の殺害事件も、ドトン氏が一連の超法
規的殺害のなかで多くの犠牲者を出している全国的左派グループに所属していた
ことから、こうしたフィリピンの社会・政治状況の中で起きたと見られています。
しかし、警察は同殺害事件の容疑者を「不法銃所持」の罪状で一度逮捕したもの
の、その後、保釈金の支払いとともに容疑者は釈放され、野放しとなったままで
す。現在、ドトン氏の家族、また、殺害事件の目撃者が地方裁判所に同容疑者の
殺人罪での再逮捕を訴えていますが、裁判所からの逮捕状もいまだに発行されて
おらず、アロヨ大統領の指示とは裏腹に、捜査は一向に進んでいません。
日本はフィリピンにとって、最大の政府開発援助(ODA)供与国です。ODA白書に
よれば、2004年度の援助額は57億4,400万円で、累積額は2兆 4,521億円にのぼり
ます。また、今年は「フィリピン・日本国交回復50周年」にあたり、現在、新た
なODA供与の交渉もフィリピン政府との間で積極的に行なわれていると理解して
います。
しかし、ODA大綱では、その援助実施4原則にもあるとおり、「途上国における民
主化の促進」および「基本的人権および自由の保障状況に十分注意を払う」旨が
明記されており、重大な人権侵害が行なわれている国への援助供与には慎重であ
るよう謳っています。フィリピンの現状では、市民への暴挙とも言うべき、重大
な人権侵害が多発しています。そして、そうした一連の殺害事件等は、犠牲者の
周辺の市民に深い悲しみをもたらすだけではなく、自分の身に同様の事態が起こ
るのではないかと懸念する市民の声を圧迫する可能性は否めません。また、こう
した状況下では、国際協力機構(JICA)やJBICの環境社会配慮ガイドライン、また、
国際的にもグッド・プラクティスとして求められているような「地域社会の社会
的合意」や「適切な住民参加」、「適切な住民協議の場」を確保する素地が損な
われています。
私たちは、日本政府がフィリピンへの巨額な公的資金の供与を続ける前に、こう
したフィリピンの人権状況の実態を把握し、状況の改善をアロヨ大統領に求める
責任と義務があると考えます。したがって、私たちは、以下の点を日本政府に強
く求めます。
i.現時点でのフィリピンへの公的資金の供与を即刻停止し、また、フィリピンへ
の新たな公的資金の供与を検討しないこと
ii.サンロケ灌漑部門の問題に取り組んできた地元リーダーの殺害事件に関し、
また、当事業周辺地域における住民の結社・集会・言論の自由、あるいは、表現
の自由といった市民の権利を含む『基本的人権および自由の保障状況』に関し、
徹底した事実確認・調査を行なうこと。その事実確認・調査は、フィリピン政府
の情報のみに頼らないものである必要がある。
iii.フィリピンにおける市民活動家に対する超法規的殺害および人権侵害の多発
に関する徹底かつ独立した調査を行なうこと。
iv.上記の事実確認・調査方法と調査結果を公開すること。
v.調査結果に基づいた、フィリピンへの公的資金供与の是非に関する、また、フィ
リピンの人権侵害の状況への対応に関する公開の意見交換を広く行なうこと。
日本は新しく設置された国連人権理事会の理事国になるにあたり、「Japan’s
voluntary pledges and commitments」(2006年4月14日)という公約を提出し、
「人権の保護促進」を謳っています。また、この6月に開催された第一回人権理
事会の公開声明文の中でも、「日本は、受入国の主体性を十分に尊重しながら
ODA供与を行ない、平和、民主化、人権擁護を積極的に推進している国へ優先的
に供与している」と述べています。こうした国際的に表明した意に沿うよう、現
在、フィリピンで起こっている許容しがたい人権侵害の状況に対し、思慮ある、
毅然とした行動を日本政府がとることを望みます。
以上
国際環境NGO FoE Japan
フィリピンの人権状況は、マルコス独裁政権時代を上回るメチャクチャな状態なのです。米国が支援した軍事独裁政権が左派活動家の暗殺・虐殺を繰り広げた80年代の中南米に近い状況になってきています。これも9・11以降のアメリカの狂気と無関係ではないでしょう。何せ、レーガン時代に中米ホンジュラスの人権侵害(暗殺・虐殺)に深く関わり、その後、フィリピン大使も務めたジョン・ネグロポンテがアメリカの国家情報長官になってしまったのですから・・・。ちなみに、最近のフィリピンでの暗殺のやり方(オートバイで後方から接近して銃を乱射して殺害する)は、80年代のホンジュラスでも多用されていたのと同じなのだそうです。
法的にフィリピンはアジアでももっとも言論の自由がある国ですが、いまアジアでは北朝鮮に次いで、言論活動が生命の危険に結びつく国かも知れません。2001年以降のフィリピンではジャーナリストだけで42人も暗殺されています。この記事参照。
日本の親米右派の方々は、「中国は人権侵害をしているひどい国だからODAを停止せよ」とおっしゃるのですが、それなら中国以前にフィリピンに停止せねばならないでしょう。
例えば中国で三峡ダム反対の立場での報道を展開した反骨のジャーナリスト、『三峡ダム』の著者の戴晴さんは、現在ジャーナリストとしての活動は禁止されていますが、市民活動の自由は認められております。フィリピンのジャーナリストは、逮捕されるとか言論を封じられるとか、そういう次元の弾圧がくるのではなく、いきなり襲われて殺されるのです。
日本の親米右派の方々には、中国の人権侵害に注視していただくのも良いのですが、米国や日本の友好国でも、このような人権侵害が起こっているという事実は認識していただきたいと存じます。
ちなみにこの人権侵害の背後にはフィリピン政府とフィリピン共産党・新人民軍との内戦があります。私は、時代錯誤の武装闘争を続けるフィリピン共産党は支持しません。合法活動が封じられていたマルコス戒厳令体制下とは違うのですから、新人民軍は武装闘争路線を放棄し、投降すべきだと思います。そしてフィリピン共産党は合法的な議会政党に生まれ変わって活動すべきでしょう。ニカラグアのサンディニスタ民族解放戦線やエルサルバドルのファラブンド・マルティ民族解放戦線がそうしたように。そしてサンディニスタやファラブンド・マルティが最大野党として、選挙による政権奪取を伺うほどの勢力になっていることを見習うべきでしょう。
フィリピン共産党の決定的な誤りという事実はあるのですが、それにしても、殺されている人々の多くは共産党員ないしシンパではあってもゲリラではない合法的な活動家たちが圧倒的多数です。また共産党系でない人々まで多数殺されています。有無を言わさず彼らを暗殺していく現在のフィリピンの政治状況はもはや狂気の沙汰です。
日本政府が正気なら、「ODA凍結」という選択肢を含めて、フィリピン政府に外交的圧力をかけるべきなのです。
<以下転載>
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http://www.foejapan.org/aid/jbic02/sr/event/2006jul.html
■■7/15 緊急報告会のご案内 ■■
フィリピン 人権侵害の状況は今
――次々に起こる「暗殺」に弾圧される市民の声
日本企業が国際協力銀行(JBIC)の融資約7億ドルでフィリピンに建設した
アジア最大級のダム「サンロケ多目的ダム」。5月16日、そのダム事業が引
き起こした甚大な被害を訴え、破壊された生活状況の改善のため問題に取り
組み続けてきた地元農民団体の代表ホセ・ドトン氏が、殺害されるという非
常に許しがたい事件が地元で起こりました。
現グロリア・マカパガル・アロヨ大統領が就任した2001年から今日までの5
年間、フィリピンでは、合法的な活動を行なっている住民運動のリーダーや
メンバー、また、ジャーナリストや教会関係者が脅迫される、嫌がらせを受
ける、誘拐される、あるいは、殺害されるといった報告が後を絶たず、その
被害者・犠牲者の数は増える一方です。アロヨ政権下で起こった超法規的処
刑(Extra Judicial Executions)の犠牲者数は、フィリピンの人権団体によ
れば、今年6月20日までで690名にものぼっており、フィリピン現地の深刻な
人権侵害の状況は現在も一向に改善される気配はありません。
今回のサンロケダムの被害地におけるドトン氏の殺害も、こうしたフィリピ
ンの社会・政治状況の中で起きたと見られています。
日本はフィリピンにとって、最大の政府開発援助(ODA)供与国です。フィリ
ピン政府のデータによれば、2004年のODA実施事業の拠出額の割合は、日本政
府が61%と群を抜いています(世界銀行13%、アジア開発銀行11%)。今年
は、「フィリピン・日本国交回復50周年」にあたり、現在、新たなODA供与の
交渉も積極的に行なわれています。
このように、日本が大きな責任を負っているフィリピンで、今、一体、何が
起こっているのでしょうか。一体、どのような人々が、次々と殺害されていっ
ているのでしょうか。フィリピンの問題に長く関わってきたフリージャーナ
リスト、また、フィリピンの出張から戻ったばかりのFoE Japanスタッフがフィ
リピンの人権侵害の実態と最新情報をご報告します。
【東京】
◆日時:2006年7月15日(土) 14:00~16:00
◆場所:全水道会館 7階 会議室
(東京都文京区本郷1-4-1
JR水道橋駅 東口(お茶の水寄り) 徒歩2分
都営地下鉄三田線水道橋駅 A1出口 徒歩1分)
地図
◆参加費:300円
◆報告者:Teresita Vida Beltranさん
(埼玉フィリピン人会代表:KAFIN-Saitama)
竹見智恵子さん
(フリージャーナリスト)
フィリピン・レイテ島で農民の支援に関わり19年目。
昨年5月に殺害されたラプス牧師をはじめ、親しく
していた複数の友人が殺害された。
波多江 秀枝
(国際環境NGO FoE Japan)
日本の公的資金で行なわれているフィリピン各地の
開発事業の現場を回り、地元団体とその環境社会問題に
取り組んでいる。今年5月、サンロケダム事業に反対
する地元のリーダー・ドトン氏が殺害された。
◆共催:水源開発問題全国連絡会(水源連)/FoE Japan
◆お問合せ・お申込み:FoE Japan (担当:波多江)
〒171-0031 東京都豊島区目白3-17-24-2F
TEL:03-3951-1081 FAX:03-3951-1084
E-mail:hatae@foejapan.org
*資料準備の都合上、前日14日(金)までにお申し込みください。
*報告会終了後、近くのお店で懇談の場を設けたいと思いますので、
お時間のある方はご参加ください。
▼▲ 東京以外にお住まいの方々へのご案内 ▲▼
日本各地で、フィリピンの人権問題、また、フィリピン日本友好50周年に
関する報告会等が開催されます。詳細は各地担当者に直接お問合わせ
いただくか、もしくは、FoE Japan(波多江)までお問い合わせください。
7月16日(日)午後 名古屋
7月17日(月・祝)午後 京都
ジュビリー関西ネットワーク事務局(担当:内富)
TEL: 070-5650-3468
E-mail: jubilee_kansai@yahoo.co.jp
7月18日(火)夜 福岡
担当:瀧本 TEL:090-4484-2939
●(参考)サンロケ多目的ダムプロジェクトとは?
ルソン島北西部を流れるアグノ川上流で建設されたサンロケダム(345MW)は、
発電、灌漑、水質改善、洪水制御を目的とした多目的ダム。事業の発電部門を
担当するサンロケパワー社は丸紅や関西電力などが出資してつくった現地の合
弁企業だ。また、事業の総工費12億ドルのうち約7億ドルを日本の国際協力銀
行が融資している。このダムは下流で多くの立ち退き者を出すだけでなく、土
砂堆積や集水域管理計画の不備により、上流の先住民族にも多大な被害を与え
ると考えられるため、住民組織や自治体、国際NGOが計画の見直しを求めてき
たが、ダム建設はすでに完了。2003年5月に発電部門の商業運転が開始された。
しかし、被害を受けた住民に対する適切な補償がなされていないなど、未解決の
問題が山積したままとなっている。
灌漑部門については、フィリピン国家灌漑庁が「アグノ川統合灌漑事業」として、
ダム建設と並行して計画立案を進めてきており、現在、総工費約1億5000万ドル
のODAによる融資の拠出を日本に要請している。地元住民は、既存の灌漑用水路
のリハビリテーション、古い灌漑用ダムの修理などを求める一方で、大規模な灌
漑プロジェクトによる農地の収用など、多くの懸念を指摘。計画の変更を迫って
いる。
※サンロケダムに関するより詳細な情報はWEBサイトでご覧いただけます。
→http://www.FoEJapan.org/aid/jbic02/sr/index.html
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■■■
■■ 団体・個人賛同のお願い――7月19日午前中まで
フィリピンにおける市民活動家に対する
超法規的殺害および人権侵害の多発と
アグノ川統合灌漑事業(サンロケ多目的ダム事業灌漑部門)を含む
日本からフィリピンへの公的資金の供与に関する
日本政府への要請書 ■■
■■■
(1)要請書への賛同依頼文
(2)賛同方法
(3)要請書の本文
(4)サンロケダム事業の概要
(5)報告会・シンポジウムのご案内(7月15日~東京・名古屋・京都・福岡)
■■(1)要請書への賛同依頼文 ■■
現在、フィリピン各地で、住民運動のリーダーやメンバー、また、ジャーナリス
トや教会関係者に対する殺害、誘拐といった人権侵害が多発しています。フィリ
ピンの人権団体によれば、現アロヨ大統領が就任した2001年から今日までの5年
間で起こった超法規的殺害(Extra Judicial Killings)の犠牲者数は、今年6月
20日までで690名にものぼっています。
日本企業が国際協力銀行(JBIC)の融資約7億ドルでフィリピンに建設した「サ
ンロケ多目的ダム事業」、また、日本政府が現在、円借款の供与を検討している
同ダム事業の灌漑部門「アグノ川統合灌漑事業」が地元で引き起こしている甚大
な被害を訴え、生活状況の改善のために問題に取り組み続けてきた地元農民団体
の代表も、今年5月、このような状況のなかで殺害され、犠牲となりました。
→http://www.foejapan.org/aid/jbic02/sr/press/20060602.html
日本はフィリピンにとって、最大の政府開発援助(ODA)供与国です。また、今年
は、「フィリピン・日本国交回復50周年」にあたり、現在、「アグノ川統合灌漑
事業(サンロケ多目的ダム事業灌漑部門)」を筆頭に新たなODA供与の交渉が積
極的に行なわれています。
しかし、ODA大綱では、重大な人権侵害が行なわれている国への援助供与には慎
重であるよう謳われています。また、市民への重大な人権侵害が多発しているフィ
リピンの現状では、「明日は我が身」と懸念する市民の声が圧迫されており、国
際協力機構(JICA)やJBICが環境ガイドラインで求めているような「地域社会の社
会的合意」や「適切な住民参加」などを確保する素地も損なわれています。
FoE Japanでは、このような状況を受け、日本政府に対し、
(1)現時点でのフィリピンへの公的資金供与の即刻停止と
新たな公的資金供与の不検討
(2)サンロケ灌漑部門の事業地域で起きた地元リーダーの殺害事件、
また、同事業の地域住民の表現の自由などの保障状況に関する
徹底かつ独立した事実確認・調査
(3)フィリピンの市民活動家に対する超法規的殺害・人権侵害の多発に
関する徹底かつ独立した調査
(4)上記の事実確認・調査方法と調査結果の公開
(5)調査結果に基づく、フィリピンへの公的資金供与の是非、
人権侵害への対応に関する公開の広い意見交換
を求める要請書を提出することにしました。(提出日:7月19日)
皆様より多くのご賛同がいただけますようお願い申し上げます。
■■(2)ご賛同下さる団体・個人の方は
7月19日(水)午前中までに下記の情報をお知らせください。 ■■
●団体として賛同の場合
団体名:
代表者名:
●個人として賛同の場合
氏名:
所属団体、職業、もしくは、住所:
送り先: FoE Japan 波多江(hatae@foejapan.org)
また、署名用紙での署名集めにご協力いただける方は、
こちらから用紙をダウンロードしていただき、ご郵送いただければ幸いです。
→http://www.foejapan.org/aid/jbic02/sr/pdf/20060719r.pdf(PDF)
■■■
■(3)要請書の本文はこちらです。 ■
■■■
2006年7月19日
内閣総理大臣 小泉 純一郎 様
外務大臣 麻生 太郎 様
財務大臣 谷垣 禎一 様
経済産業大臣 二階 俊博 様
フィリピンにおける市民活動家に対する超法規的殺害および人権侵害の多発と
アグノ川統合灌漑事業(サンロケ多目的ダム事業灌漑部門)を含む
日本からフィリピンへの公的資金の供与に関する要請書
私たちは、日本の公的資金を使い海外で行なわれている事業が、地元で引き起こ
している環境・社会問題を懸念し、その問題の解決に取り組んでいます。その中
で、国際協力銀行(JBIC)が約7億米ドルを融資した「フィリピン・サンロケ多
目的ダム事業」、また、日本政府が現在、円借款の供与を検討している同事業の
灌漑部門「アグノ川統合灌漑事業」(総工費約1億5,000万米ドル)が地元で引き
起こしている甚大な被害を訴え、生活状況の改善のために問題に取り組み続けて
きた農民団体の代表が地元で殺害されるという非常に許しがたい事件が去る5月
16日に起こりました。
同農民団体ティマワ(TIMMAWA:Tignay dagiti Mannalon a Mang-wayawaya iti
Agno)(アグノ川の自由な流れを取り戻す農民運動)代表ホセ・ドトン氏は、
2001年の同団体設立以来、サンロケダム事業のために自分たちの生活の糧である
農地が奪われ、また、砂金採取ができなくなることなどを懸念し、ダムの建設お
よび商業運転に反対してきました。ダム建設の完了後も、ダム事業のために生活
の糧を失った農民・砂金採取者に対する適切な補償措置を求め、現地の日系企業、
フィリピン政府と粘り強く交渉を続けていました。また、サンロケダム事業の灌
漑部門(アグノ川統合灌漑事業)についても、その灌漑事業の小農民への影響を
懸念する要請書をこの2月に日本政府に提出したばかりでした。
フィリピンでは、現グロリア・マカパガル・アロヨ大統領が就任した2001年から
今日までの5 年間、合法的な活動を行なっている住民運動のリーダーやメンバー、
また、ジャーナリストや教会関係者が脅迫される、嫌がらせを受ける、誘拐され
る、あるいは、殺害されるといった報告が後を絶たず、その被害者・犠牲者の数
は増える一方です。
2006年5月、フィリピン国家警察は、大統領の指示でこうした活動家の殺害事件
を捜査するための特別捜査班「ウシッグ」を設置しました。しかし、一ヶ月以上
が経った現在も、適切な捜査は行なわれておらず、事態に十分な進展は見られま
せん。フィリピン国内法(第6981号)に基づいて、犠牲者の家族や殺害事件の目
撃者を適切に保護することもできていません。
その結果、フィリピンの市民活動家に対する深刻な人権侵害の状況は現在も一向
に改善される気配はなく、フィリピンの人権団体によれば、アロヨ政権下で起こっ
た超法規的殺害(Extra Judicial Killings)の犠牲者数は、今年6月20日までで
690名にものぼっています。フィリピンにおけるこの数字に代表される深刻な人
権侵害の状況は、まったく容認できるものではなく、また、新たな殺害事件がこ
れ以上起きないよう、フィリピン政府による早急な措置が求められるのは言うま
でもありません。
今回のサンロケ多目的ダム事業、および、同灌漑部門(アグノ川統合灌漑事業)
の被害地において起こったホセ・ドトン氏の殺害事件も、ドトン氏が一連の超法
規的殺害のなかで多くの犠牲者を出している全国的左派グループに所属していた
ことから、こうしたフィリピンの社会・政治状況の中で起きたと見られています。
しかし、警察は同殺害事件の容疑者を「不法銃所持」の罪状で一度逮捕したもの
の、その後、保釈金の支払いとともに容疑者は釈放され、野放しとなったままで
す。現在、ドトン氏の家族、また、殺害事件の目撃者が地方裁判所に同容疑者の
殺人罪での再逮捕を訴えていますが、裁判所からの逮捕状もいまだに発行されて
おらず、アロヨ大統領の指示とは裏腹に、捜査は一向に進んでいません。
日本はフィリピンにとって、最大の政府開発援助(ODA)供与国です。ODA白書に
よれば、2004年度の援助額は57億4,400万円で、累積額は2兆 4,521億円にのぼり
ます。また、今年は「フィリピン・日本国交回復50周年」にあたり、現在、新た
なODA供与の交渉もフィリピン政府との間で積極的に行なわれていると理解して
います。
しかし、ODA大綱では、その援助実施4原則にもあるとおり、「途上国における民
主化の促進」および「基本的人権および自由の保障状況に十分注意を払う」旨が
明記されており、重大な人権侵害が行なわれている国への援助供与には慎重であ
るよう謳っています。フィリピンの現状では、市民への暴挙とも言うべき、重大
な人権侵害が多発しています。そして、そうした一連の殺害事件等は、犠牲者の
周辺の市民に深い悲しみをもたらすだけではなく、自分の身に同様の事態が起こ
るのではないかと懸念する市民の声を圧迫する可能性は否めません。また、こう
した状況下では、国際協力機構(JICA)やJBICの環境社会配慮ガイドライン、また、
国際的にもグッド・プラクティスとして求められているような「地域社会の社会
的合意」や「適切な住民参加」、「適切な住民協議の場」を確保する素地が損な
われています。
私たちは、日本政府がフィリピンへの巨額な公的資金の供与を続ける前に、こう
したフィリピンの人権状況の実態を把握し、状況の改善をアロヨ大統領に求める
責任と義務があると考えます。したがって、私たちは、以下の点を日本政府に強
く求めます。
i.現時点でのフィリピンへの公的資金の供与を即刻停止し、また、フィリピンへ
の新たな公的資金の供与を検討しないこと
ii.サンロケ灌漑部門の問題に取り組んできた地元リーダーの殺害事件に関し、
また、当事業周辺地域における住民の結社・集会・言論の自由、あるいは、表現
の自由といった市民の権利を含む『基本的人権および自由の保障状況』に関し、
徹底した事実確認・調査を行なうこと。その事実確認・調査は、フィリピン政府
の情報のみに頼らないものである必要がある。
iii.フィリピンにおける市民活動家に対する超法規的殺害および人権侵害の多発
に関する徹底かつ独立した調査を行なうこと。
iv.上記の事実確認・調査方法と調査結果を公開すること。
v.調査結果に基づいた、フィリピンへの公的資金供与の是非に関する、また、フィ
リピンの人権侵害の状況への対応に関する公開の意見交換を広く行なうこと。
日本は新しく設置された国連人権理事会の理事国になるにあたり、「Japan’s
voluntary pledges and commitments」(2006年4月14日)という公約を提出し、
「人権の保護促進」を謳っています。また、この6月に開催された第一回人権理
事会の公開声明文の中でも、「日本は、受入国の主体性を十分に尊重しながら
ODA供与を行ない、平和、民主化、人権擁護を積極的に推進している国へ優先的
に供与している」と述べています。こうした国際的に表明した意に沿うよう、現
在、フィリピンで起こっている許容しがたい人権侵害の状況に対し、思慮ある、
毅然とした行動を日本政府がとることを望みます。
以上
国際環境NGO FoE Japan
・・・なにはともあれまずは経済発展・・・・
確かに”貧困”から脱出することによって解決や改善されることも多々あるでしょうが、フィリッピンで起こっていることが一口に”貧困”に還元できるものかどうかはわかりにくい。
かといって究極的には問題解決は彼ら自身にしかできない。
そうであるなら隣国としては具体的にどのような側面的事態改善へむけての支援ができるのでしょうか?
経済援助の凍結はただちに経済発展を遅らせることに直結するでしょうから。
かたほうには殺人という手段を取りうる人間のもんだい(それが貧困やテロの思想に起因するのかどうか)、かたほうに武器の出回った社会の問題があり、容易に解決はできないことのように見えます。
経済発展が全ての回答を用意してくれはしないにしても、いまストップさせてはならないとは思います。
子供としての憤りはきわめて強く感じます。
でも、どうすればいいのでしょう。
日本がODAをやめれば?
アメリカが一切の干渉や援助をやめれば?
……
何度政権交代をしてもよくならない、ということに
恐ろしい絶望を感じます。
アメリカに関しては、フィリピンへの軍事介入を即刻止めることがフィリピンの平和と安定につながります。クリントン政権時代のアメリカは(フィリピンのラモス政権時代)、フィリピンへの介入をひかえていました。その間、フィリピン国内では政府とイスラム・ゲリラの和平が進み、フィリピンの経済も成長し、戦後もっとも安定的に発展したのでした。
9・11以降、「対テロ戦争」を名目に米国がフィリピンに再介入をはじめた途端、フィリピンはこのような悲惨な事態に戻ってしまいました。旧宗主国の米国は、フィリピンをこのような人権侵害大国にしておいて、一方で「ミャンマーの人権侵害」をシラジラしく述べるのですから笑止です。ミャンマーの方が現在のフィリピンよほど平和で安定しているだろうと思います。
「ODA凍結ないし減額」は日本が持つ貴重な外交カードなのです。日本がこのカードを切れば、フィリピン政府としても今のような無法状態を放置するわけには行かなくなるでしょう。フィリピン政府が暗殺団を摘発し、人権状況の改善に取り組めば、ODAを凍結する必要もないのです。
外交的な手段を行使することなく、フィリピンの無法状態を知りながら放置することは、「友人」として採用すべき態度ではありません。
付言すれば、日本のODAは、日本国内の公共事業がムダなものばかり造っていると批判されるのと同じ次元で、ムダなものが多いのが実情です。隣国のマレーシアなどは日本のODAに過度には依存しようとせず自力で発展してきました。そうした態度は、フィリピンも見習うべきでしょう。
とのことですが?政府対新人民軍の構図のなかからこれらの活動家や市民が標的となることは政府側に実行者がいるということになりますが、そうであればODAという”外交カ-ド”は意味がありますが、??。
ゲリラがこうした人々を殺害する理由はないと思われますが?
上記の暗殺事例の報告は重大な問題であることは事実です。
被害者のリストから推察しても暗殺になんらかの意図や思想的背景、利害関係が隠れていることはおそらく間違いないと思えます。
(実行犯が金で雇はれているか、主体者であるかは別として)ODA事業によって利益を受ける者の犯行以外に考えられるものとしては、新人民軍側が当該運動者組織の新人民軍傘下への編入を拒否した場合が考えられる。(ここまでくると暴力団と同じ)
一般的な利益団体がいはば暴力団的性格のものである社会であれば相当警察力を強力なものにしなければならないはずです。
警察自体が腐敗していれば問題外ですが。
>うであればODAという”外交カ-ド”は意味がありま
>すが、??。
軍の中にはいくつもの派閥があり、軍の一部にはアロヨ政権打倒のクーデター計画もあります。アロヨは実行犯グループを知っていながら、クーデターを起こされるのも怖くて手出しできないだけかも知れません。
日本政府が外交圧力をかけた場合、少なくともアロヨは、暗殺団の摘発に乗り出さざるを得ないと思います。
軍が怖くてそれができないのかも知れません。軍をコントロールできなくなっている彼女は潔く辞任すべきだと思います。
90年代のラモス政権時代には、新人民軍との和平交渉が進み、共産党も合法化され、経済も安定したので、多くのゲリラ兵たちは投稿し、新人民軍の反乱も収束しかけていました。
対テロ戦争のあおりを受けてアロヨ政権がラモス時代の路線を継承しなかったこと、フィリピン共産党の指導部があまりにも愚かで硬直していることが悲劇の原因でしょう。今世紀に入って内戦はふたたび激化してしまったのです。
とにかく日本政府が、何らかの外交的圧力をかけることは、この問題を世界的に知らしめるためにもよいことだと思います。
>図や思想的背景、利害関係が隠れていることはおそ
>らく間違いないと思えます。
フィリピン政府も、「共産党系vs非共産党系」の左翼内部の内ゲバであると宣伝しています。
内ゲバ殺人もあるものと思われます。おそらくは数名程度です。しかし、その数名の内ゲバを口実に、フィリピン国軍は暗殺組織(軍そのものか民営化された軍かは分かりませんが・・・)に、大規模な暗殺作戦を展開させているのです。軍は内ゲバの存在を口実として、その数十倍から百倍の人数の左派活動家などを暗殺しておいて、「内ゲバだ」と宣伝して済まそうとしています。
二つ必要なことがあります。一つはフィリピン共産党は即刻、武闘路線を放棄し、内ゲバを謝罪し、愚かしい指導部たちはお縄につくべきです。
もう一つには、フィリピン国軍内外の実行犯グループを摘発することです。
フィリピンの軍と警察の腐敗ぶりは目を覆うばかりです。彼らは金のためなら不正など平気で行います。
裏が取れない情報は書いちゃいけないのがジャーナリズムですが、ブログなので推測で書きます。
暗殺の資金の出所は、ふつうに考えれば米国以外には考えにくいです。 米国は反テロ戦争の一貫として、フィリピン国軍と共同でフィリピンのイスラム・ゲリラであるアブ・サヤフの掃討作戦を展開しました。
その過程で、米国が撲滅対象とする「外国のテロリスト・グループ」の中にイスラム・ゲリラのグループとともに新人民軍も入りました。対テロ戦争で予算もつけているので、米国政府公認の「テロ団体」の掃討作戦に関しては、米国からも相当な資金が流れるものと思われます。
そしてフィリピン国軍からすれば、完全に覆面の少数のイスラム系ゲリラ・グループよりも、特定がもっとも容易な共産党系の合法活動家を暗殺していって、「対テロ戦争」の業績にしてしまうのが手っ取り早い手段なのです。フィリピン国軍の側も、米国に協力するために「業績」を誇示せねばならないのです。
以上、あくまでも推測です。
最近は西アジアへの干渉だけかと思ってたら、あいかわらず、かつて中米・南米でやってたことを繰り返してるわけですね。
アメリカ政府のダークサイドのやることは変わらないんですなあ。昔も今も。
>いんですなあ。昔も今も。
本当に、何故あの人たちは過去の負の教訓から学ぶことができないのでしょうか? いま最も怖いのは、せっかく社会改良の端緒についた中南米で、またあの悪夢が繰り返されることですね。