代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

元建設省官僚の提言紹介「ダムよりも堤防強化」

2015年09月23日 | 治水と緑のダム
 昨日(2015年9月22日)の東京新聞の読者投稿欄に、元建設省の技術官僚だった方が「治水 ダムより堤防強化」として以下のような投稿をされていました。
 専門家の方が、従来のダム治水の限界を指摘し、ダムよりも堤防強化が最重要と訴えておられます。すばらしい投稿でしたので、引用させていただきます。

***『東京新聞』(2015年9月22日)読者投稿欄より引用****

 「治水 ダムより堤防強化」   
               元官庁技術者  石崎勝義 

(前略)
 (鬼怒川の)堤防の決壊さえなければ、これほどの大災害にはならずにすんだのではないかと思った。 
 堤防を越水に耐えられるようにする技術はすでにある。アスファルトで堤防を覆うなどである。現地実験も繰り返されている。ダムを造る費用に比べればずっと安くできるはずだ。
 気候変動の影響もあって、これからも過去にないような異常な洪水は全国各地で起きるであろう。現在の治水計画はダムに頼りすぎていると思う。堤防のそばに住む人は、時間のかかるダムの完成を待てないと思う。私も旧建設省の元技術者として反省している。治水の方向をダムから堤防強化に移すべきだ。

***引用終わり*********

 現役の国交省官僚の方々も同様に考えておられる方は多いと思います。ぜひこの提案、前向きにご検討ください。

 これと同様な意見は、利根川・江戸川河川整備計画策定の段階でのパブリックコメントでも流域住民から多数表明されていました。
 堤防が脆弱な区間は、利根川で62%、江戸川でも60%にも及ぶことが国交省資料でも明らかにされていました。流域住民の常識的な感覚からすれば、これら60%以上の脆弱区間の堤防強化工事の方が、ダムよりも喫緊の課題です。
 しかし国交省は、こうした住民の意見を黙殺し、堤防強化をおろそかにしたまま、4600億円の八ッ場ダムや1兆円を超えるスーパー堤防事業などに巨額予算を集中する利根川・江戸川河川整備計画を策定してしまったのです。
 たとえば、国交省のHPに掲載されている住民の意見の中から以下の意見を紹介したいと思います。

****住民のパブコメ(19番の意見)より引用*****
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000072615.pdf

 (前略)
 現在の堤防は計画高水位までの洪水に対しては堤防が壊れないように設計されているそうですが、堤防を越える洪水に対しては強度が保証されていません。堤防が一挙に崩壊した時の方が、大変な洪水被害がでるわけですから、すぐには壊れないように堤防を強化することが必要であると思います。
 国土交通省によれば、危険性のある区間の割合がなんと利根川で62%、江戸川で60%に及ぶそうです。 そういう場所を一刻も早く強化工事することの方が、急務ではないでしょうか? それをスーパー堤防などの巨大土木事業としてではなく、最小限の費用でできる堤防強化技術でやってほしいのです。
(後略)

***引用終わり***** 

 いまからでも決して遅くはありません。今回の鬼怒川の堤防決壊災害を教訓とするのであれば、建設により地すべり災害を誘発する懸念があり、今後も巨額の税金を吸い込んでいくブラックホールとなるであろう八ッ場ダムは中止し、完成までに何百年かかるか分からないスーパー堤防も中止し、堤防脆弱区間の強化工事に予算を転用して下さい。



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2 コメント

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Unknown (12434)
2015-09-23 20:05:49
稲刈りやりはじめました。今年は水田が乾いているので割りと刈りやすいです。
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つつがなく収穫終わりますよう ()
2015-09-25 13:33:16
12434さま

 今年は夏暑かった分、作況も良い感じでしょうか。無事に収穫が終わりますようお祈り申し上げます。
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