代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

もしもドナルド・トランプが米国大統領になったら・・・

2015年10月10日 | 政治経済(国際)
 共和党の候補者の中で支持率1位の不動産王ドナルド・トランプ。下馬評では、共和党の予備選でドナルド・トランプが勝つことはないだろう、かりにトランプが共和党の統一候補になったとして、排外主義的な右派のトランプでは民主党候補には勝てないだろう・・・・そんな分析がなされている。

 しかし、もし民主党の予備選で左派のサンダースが勝った場合、サンダースに対しても、やれ「アカだ」「社会主義者だ」と攻撃がされるだろう。排外主義右派のトランプも、アカ・社会主義者のサンダースもともに支持できない中間的な米国人は、この両極に位置する大統領候補のどちらかに投票せねばならないという選択を迫られることになる。そうなればトランプ大統領になるかサンダース大統領になるのかは予断を許さない展開になるではないだろうか。

 私はトランプ大統領でもサンダース大統領でも、どちらが大統領になっても世界の今後にとって好ましいことだと思う。どちらが大統領になっても少なくともTPPは潰れるであろうからだ。最悪な選択肢は、ウォール街と軍産複合体の意のままのにコントロールされるであろうジェブ・ブッシュであり、その次にはヒラリー・クリントンだろう。

 共和党の最右派のように言われるトランプと民主党の最左派であるように言われるサンダース。じつはその政策にはかなり共通点がある。まず両者とも反自由貿易であり、あらゆるFTAにもTPPにも明確に反対している点だ。トランプは、メキシコ移民に対する差別発言ばかりが大きく報道され、日本では単なる排外主義・右翼と思われがちであるが、その公約をつぶさに見ると、相当に左派色が強い。

 まずトランプ候補は、NAFTAは破棄し、アメリカとメキシコ国境では35%の関税を賦課し、その他、すべての輸入品にも20%の関税を賦課するとしている。以下のサイト参照。これは左派のサンダーズ以上に明確な保護関税政策である。
 http://www.ontheissues.org/2016/Donald_Trump_Free_Trade.htm
 
 トランプの税制に関する公約は、相続税を廃止し、所得税も法人税も大幅に削減するというものだ。トランプは年収2万5000ドル以下の単身世帯と、年収5万ドル以下の既婚世帯は所得税をゼロにするとしている。これをやると、およそアメリカの全世帯の半数が所得税を免除される。「実現不可能」とか「代替財源をどうするのだ」などの批判されているが、すべての輸入品に20%の関税を賦課するのであれば代替財源としても十分だろう。ついでにトランプは「ヘッジファンドの連中はカネを持っている。彼らから課税する」とも言っている。この政策もすばらしい。
 トランプの税制改革は彼の公式サイトを参照されたい。

 https://www.donaldjtrump.com/positions/tax-reform

 元来、建国当初のアメリカ連邦政府は輸入関税を唯一の財源とし、所得税も法人税も課していなかった。じつは財源を関税に依存する、この税制こそがアメリカのその後の発展を生み出したカギなのである。

 トランプの税制改革プランは、古き良きアメリカの税制に回帰しようということである。そうした税制を選択するのは国家の主権の範囲で自由であるべきだ。所得税と法人税を大幅に減らして20%の輸入関税を代替財源とするという政策を、私は支持する。

 アメリカがそちらの方向に行けば、世界の自由貿易システムは瓦解し、経済のグローバル化は終焉する。日本も内向きになり、内需主導で社会を安定化させる途を選択可能になる。

 何よりも、それによって多国籍企業による地球環境の収奪も抑制され、持続可能な社会への移行が可能になる。これ以上の気候変動の進行を防ぐ途も切り開き、生命を育む母なる地球は救うことも可能になるだろう。
 


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