北海道って、住宅で考えると日本とは異質です。
まず瓦屋根みたいなのはないし、純日本的な住宅建築もあまり見られない。
基本的な構造についても、ツーバイフォー工法の比率が高く
在来工法も、気密性を進化させた「新在来工法」がベースといえましょう。
ハウスメーカーよりも地場工務店の活躍する部分が大きい。
積雪寒冷という条件から、日本からというよりも
北米や北欧、といった世界の寒冷地域から住宅技術を多く取り入れてきた。
その過程で、技術ばかりではなく、デザインも、よりインターナショナルを
志向するようになってきた。総じて日本より、世界標準に近い。
伝統的なこだわりよりも、進取の気性に富んでいて
よりあたらしいものや、合理的なものを受け入れるユーザー心理もあります。
まぁ、こうした点は、何も住宅だけに限っていないことともいえますが。
こうしたことの結果、いろいろ面白いこともありますね。
性能面では、新住協といった「民間」の技術研究集団が
強い組織力を発揮して、リーダーシップを発揮していたりします。
また、いわゆる建築家に家を頼む、ということがごく普通に行われている。
さほどの心理的な壁というものを意識せず、頼んでいます。
でも、こうした部分、いわゆる住宅の「性能」と「デザイン」って、
もっと広く日本全体に広がってもいいのではと思います。
考えてみれば、日本って、かならずその首都から文化が発信され
地方というのは、それをまずもって受容する存在だったと思います。
そうした部分で考えてみるとき、
こと住宅については、初めてに近いほど、寒冷地の「地方の」技術が
日本全体に広がろうとしているといえますね。
欧米でも、
カナダが人口2,000万、北欧も4カ国で約2,500万くらい、に過ぎないのに
そうした地域で生まれた技術が、そこに隣接する南側の大きな住宅マーケットに
強い伝播力を持っている、といえます。
そうして考えれば、北海道と東北で併せて約1,600万、その他
「寒いニッポン」をあわせれば、ゆうにマーケットサイズは欧米を上回ります。
この逆さま地図は、そういうふうに考えるときの発想の起点。
北海道は、歴史的に見て、「地方性」というよりも
日本全体の混血がもっとも進んだオールジャパンともいえる地域。
そうした地域から、日本全体に対してはじめて恩返しをするような
そういったものとして、この住宅の進化・構造変化を
関東以南の地域に伝えていきたいものだと、思います。
そして、そのさきには、もっと多様なアジアも存在していますね。