三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

外壁の質感

2005年12月23日 06時43分16秒 | Weblog

いつころから外壁といえば、サイディングという風になったのか?
材料のバリエーションが乏しい時代には、木が当たり前に使われていましたね。
世界中、最も多いのが木質の外壁仕上げ。で、それが主に
「防火」の問題から、使うのが難しくなりました。
その後、モルタルが全盛だった時期があって、
それなりにいい陰影感があったと思うのですが、
たぶん、「通気層」工法が標準採用されるようになった時期に
通気層を確保するためには、モルタル壁よりも簡便ということで
サイディングが一気にシェアを伸ばしたのかも知れない。
また、モルタル壁にはつねにひび割れなどの美感上の
問題点もあったと思います。
こんにちでは、モルタル仕上げで通気層を持つことも問題はありませんし、
ひび割れの問題もほぼ克服されつつあります。
一方で、サイディングは、つなぎの部分でコーキング処理に
頼らざるを得ず、その部分の経年劣化が避けられません。
寒冷地住宅の外壁材料、いろいろと悩むゆえんですね。

写真の家の外壁は、面白いことを試みています。
1階部分は通常のモルタル仕上げ処理。
で、2階には、防火の関係で木を使うことができないので、
下地に防火OKの無塗装のサイディングを貼り込み。
そのうえに縦に胴縁ふうに木材を一定間隔で張り込みました。
そうしてから、木質材料の仕上げ塗装を塗り込んだのです。
こうすると、全体の雰囲気は木張りの外壁の雰囲気がしますね。
サイディングの外壁仕上げでは絶対に味わえない質感の豊かさが出ました。
結果として生まれた凹凸感が、光を複雑に陰影させ
奥行きの深い外壁の印象をもたらせてくれます。

前に、カナダの話をしましたが、
現地の建材会社のオーナーから、日本のサイディング一辺倒の
外壁事情を揶揄された経験があります。
まぁ、言われなくてもその通りと思っているのですが・・・。
より豊かな雰囲気のある外壁仕上げ、心がけたいものですね。
コメント
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