ことし春、東京出張の折りに前から気になっていた
「江戸東京たてもの園」(小金井市)に行ってきました。
北海道・東北と住宅を通して取材を繰り返している毎日。
北方圏ばかりではなく、
日本の中心、関東の家に関心が高くなってきたのです。
もちろん現代の住宅の造られようにも関心は高いのですが
それよりも、もう少し前の、現代に至るちょっと前の建物を、
いま見ておきたかったのです。
ここでは、農家の家や武家の家、商家など幅広い江戸期の建物から
現代のスタートといえる、戦後すぐの時期の建物まで
現物が移築保存されています。
楽しく写真撮ってきたので、それをのっけながら感じたことを、と思います。
最初は、日本近代建築の大御所、建築家・前川國男邸です。
やっぱ飛び抜けて綺麗な家で、豊かな緑の背景にマッチしていました。
大きな三角屋根と、その妻面が大きな開口になっていて、
内部からは障子がその開口いっぱいに設えられています。
白い壁と、ダークな深い茶色のコントラストで室内が構成されています。
戦時体制の中、すくない建築材料を使いながら、設計されていますが
居間には、セントラルヒーティング暖房が設置されていました。
風呂に隣接する場所には、暖房システム本体も。
現代住宅でも、ほとんど室内温熱環境への配慮が乏しい関東以南地域ですが、
むしろこうした時代でも、きちんと考えればこうした配慮、当然なのですね。
納得した次第。
でもやっぱり、関東に行くと
ここはなんて豊かな地域なんだろうと思わざるを得ません。
この家が建てられた時代背景を考えながら、なおこうした住宅建築が可能だった、
という点で、やはりそこに日本の富の過半が集中しているという関東の
一極集中的な富の偏在を思ってしまいました。
いなかものの、ひがみなんでしょうか、ね?