写真は、東京で見学した住宅の様子です。
設計者の納谷さんにお話を聞きながら、楽しく見させていただいた次第です。
納谷さんは、以前東北での住宅賞の審査で知り合った方。
さまざまな敷地条件の中で
その解決策に丹念に向き合い、探し出してきた設計者です。
解決策というのは、その条件の中でもっとも楽しく暮らせる住環境を
さまざまに試行錯誤していくプロセス。
結果としてきわめて特異な空間を作ってきていますが、
それは、むしろ、敷地条件の側が特殊すぎるので
そういう解決策しかなかった、ということを表現していると思うのです。
で、今回の施主さんが探し出してきた敷地は
ある地主さんが造成した敷地で、敷地の大部分は通路に取られている
いわゆる「旗地」といわれる土地です。
今回のはそういう条件の奥の敷地、
周辺に高低差があり、その高台にあった角地の30坪ほどの敷地です。
最初は、発見できず周辺をうろちょろ。
で、ようやく設計者が外に出ていたので発見できた次第。
通路の一番奥なので、
外観的な写真は撮影できません。
どこから狙っても、外壁の一部がかろうじて見えるだけ。
その2階にごらんのような居間を実現していました。
わたしは東京で生活していたのは8年間ほどなので、
首都圏空間での生活実感としての欲求にはやや距離感がありますが、
それでも、こういう空間への憧憬感は理解できる。
コスト的にも、敷地の購入に大部分が飛んで行かざるを得ない中、
こういう空間性を手に入れるというのは、
共感できる部分だと思いました。
結局、多くのひとたちが、
首都暮らしの中で、空間的非人間性にイライラしている。
人間は普通、見晴らしのいい場所で、
空の色合いの変化や、空気感の変化を感じながら、
のんびりと、自然のたゆとうようななかで暮らしたいのだと思いますね。
そういう気分が十分に伝わってくる家でした。