三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

地熱利用アースチューブの可能性

2011年07月25日 05時11分17秒 | Weblog





見学会で見た武部建設さんの江別市野幌の住宅。
写真は、施工された「アースチューブ」の温度変化の様子です。
ピンぼけ風になっていますが、左は吸気側で、右は室内側の温度。
アースチューブというのは、地熱を暖房や冷房に使って
エネルギー使用を抑制しようというものです。
っていうことですが、原理としてはきわめて単純。
地上1mほどに立ち上げた塩ビパイプ(口径150mm程度)から外気を取り入れ
それを基礎の下、地面から1mほど下がった地中にぐるっと回して、
地熱と熱交換させて、冬場は熱を取得し、夏場は空気温度を下げて、
室内に取り入れるという考えのもの。
写真は左が、見えにくいのですが、21.4℃、右側が17.3℃を示していました。
ということは、4℃の熱が、今の時期には奪われて、
室内には涼房された空気が取り入れられています。
武部さんに聞いたら、冬場には同じように4℃の違い、今度は加温の作用があって、
外気温に対して、その程度の地熱の作用が働いているようです。
このシステムのポイントは、チューブの内部に温度差によって
引き起こされる可能性のある結露水。
これが、カビの発生などを引き起こすと、問題になる。
このあたりは、バランスの問題なので、
実際に施工してみて、その様子を観察する必要がある。
こういう実験的な仕組みについては、建て主さんの理解も欠かせませんね。

さて、内外温度差で4℃というのはなかなかいい感じですね。
北海道では、この4℃というのは、
断熱を厚くして、暖房なしでも15℃くらいの室内気温が維持できれば、
加温はごく少なくて済む計算が立ってくる。
「ほぼ無暖房」という線を狙っているということなのですが、
かなり肉薄してくる。
暖房装置としては、薪ストーブを使用しているのですが、
これはCO2フリーなので、断熱とアースチューブで、
基本的な17~18度程度の気温が維持できれば、ほんの少し、
薪ストーブという自然エネルギーだけで暖房が完結してしまう。
全室暖房ではなく、高断熱高気密をレベルアップすることで、
ふたたび、間歇暖房で済んでしまう住宅が北海道でも実現する可能性がある。
こういうフロンティアスピリットは、まことにいいですね。
注目していきたいと思っています。
コメント
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