写真は、東京杉並区桜上水に近い八幡神社。
八幡神社というのは、源氏が氏神とした神社で武を司る神社ですが、
関東は一円、八幡神社が多いのでしょうか、
源氏を出自と称した徳川氏の勢力が長く支配していたので
このような傾向があるのではないかと思っています。
それは別として、
この神社は、先日も触れた神社で、明治神宮の棟梁が建てたもの。
この写真は表参道を歩いていく途中に撮影したもの。
思わず、カメラを手にしたくなるような構図の良さが伝わってくる。
日本の建築って、建物だけではなく、その区画された領域全体が
デザインされているものが社寺など多い。
当たり前のようだけれど、
たまにこうして改めて気付かされるケースがあります。
うっそうとした木立を抜けて、その先に光り輝いている空間があり、
シンプルな形態の屋根が人を呼び寄せるように見えている。
そしてその先にも背景としての森があって
自然と融合した神域を形成している。
建築というのは、神社本体や敷石の参道となりますが、
それよりもはるかに大事な空間として、緑の配置が為されている。
むしろ、緑のほうも建築的に意匠されている。
7月の強い陽射しの中でも、このような空間では
日射は見事に遮蔽され、気温もコントロールされている。
緑を環境デザイン手法として、
完全に生かしきっているというように感じますね。
こういった「建築」の方にこそ、
未来的なデザイン感覚は存在しているのではないか。
あるいは日本的な普遍デザインであるのか?
街の中で、いまでもこういう空間には豊かな森が維持されている。
この神社周辺は、それこそ建て込んだ住宅密集地ですが、
こうした森が、周囲に対してすばらしい環境を形成している。
東京は密集地ですが、よく見てみるとこのような社寺や、
大名庭園なども多くあって、
鳥の目線で見たら、かなり豊かな緑被率なのではないか。
大変清々しく、心に残っています。