月河、2018年暮れ最後の大散財と言えば、冬靴です。
ツルツル路面でもすべらず歩ける(歩けそうな)ソールの靴を求めて、手近の量販店と通販サイトを股にかけて、長めのブーツタイプのを2足、クルブシまでの短いのを1足、都合3足も一気に買ってしまいました。
お安いところお安いところ狙って買ったので、ぜんぶ合わせてもナショナルブランドのプロパー1足分くらいの出費で済むには済みましたけど。だはは、すでに安物買いの銭失い感が濃厚に漂っているな。
こんなに「これもいいかも」「これも、前に買ったのよりはましかも」と将棋倒しに数が行ってしまうということは、要するに、決定打が無いのです。いくら買い換えても、買い足しても、「これで盤石」と百パーセントの安心に至らない。
この前の個人的冬靴買いピークというと、何と言っても昨年、2017年の正月明け早々、バス停で、走るでもなく歩くでもなく列に並んで待ってる最中にガッと膝をついてしまい膝蓋骨に亀裂が入り、4週間あまりの片脚固定生活を余儀なくされてからのシーズンです。
その時、履いていたのが、“ジュート(麻)繊維を混ぜ込んだ防滑ソール”という宣伝文句で、手持ちの機能性ソール冬靴の中ではいちばん不安なく歩けると信頼していたヤツだったのでショックが大きく、2月後半、歩けるようになってからは冬靴のセールを飛び回り、滑らなそうなソールは片っ端から試してみました。
曰く、ガラス繊維を植え込みました、いやガラスはガラスでも微細粒を練り込みました、練り込んだ系ではクルミの殻の砕片、ホタテ貝殻の砕片、ザラザラジャリジャリした物なら何でもぶっこんでとにかく摩擦係数を上げて行こうという方向性、コレ、間違いではないんだけど、数週間履いてみるとあらかた頼りになりませんでした。
当地は積雪期間が長いし、しかも都会生活ですから、型通りの圧雪・凍結ツルツル路面ももちろん歩くけれど、地下鉄の構内、ビルの中、商業施設の中、サンダルやスニーカー履きの夏と寸分変わらない路面もバリバリ歩くので、直球で高摩擦係数の設計だと、ワンシーズンの間にぐんぐん摩耗してしまうんですね。
防滑ソールの凹凸形状によく採用される、凍結路面に接地すると硬化せず吸い付きの増すラバースパイクってヤツも、効果を全力で発揮する日のほうが少なく、人間の歩き方にはクセがありますから、右・左バランスよく健康的に歩いてるつもりでもいつの間にか片足が先に減って、ピン状のスパイク形が周りと融けこんで、限りなく平滑ソールに近くなってくる。
メーカーさん自慢の高摩擦・高防滑設計のソールほど摩耗劣化のスピードが速く、しかも、ツルツル路面じゃない屋内を歩いている時の足の疲れ方が半端ない(高摩擦ですから当然)わけです。
疲れるということはまさに、強烈に摩り減らしているということで、何のための防滑靴かわからなくなってくる。
今年のシーズン終了間際には、新聞で読んだ北海道発の有名ブランドの特許製品=反転式オン/オフ式スパイクのついたブーツもセールで入手。これはまだ稼働していますが、この反転スパイクって、過去の経験から言って高確率でオン/オフの蝶番部分が、驚くほどの短期間で、しかも決まって片足だけ先に微妙にゆるんでグラついてきます。なまじ「スパイクを立ててあるから」と無防備に踏み込むと、思いがけない着地の“ブレ感”に肝を冷やすことになる。
結論。靴底で冬場の路面を、フルシーズン完全防御するのは無理です。
今日の路面では90パーセント安心だった靴も、明日履いて行く時間帯、その時間帯の天気、歩くコースの路面状況バリエーションでは、20パーぐらいの安心度に落ちるかもしれない。10パー以下かもしれない。
ガラスやクルミ殻や麻繊維やその他もろもろのザラ・ジャリ素材入りソールも、喧伝される機能のざっと三掛けか2.5掛けくらいに見ておいたほうがいい。
ソールの防滑力への依存はほどほどにして、冬靴は、フィット感(=足が中で遊ばないこと)、温かさ(=底が厚くて、かつ、ヒート中敷きを入れ込み可能な余裕がある)、歩きやすさ本位に選ぶのが賢明。
3足買い回って結論がコレ。遠回りしたなあ。
此処にまた帰るため履くブーツ哉(かな) たびと