スーパーヒーロータイムの放送がなかった日曜日の夜は淋しいもので、古いビデオテープの整理整頓ついでに06年『轟轟戦隊ボウケンジャー』をTask 1から再見していたら、いやー、いろいろ新鮮でした。
リアルタイムではあまり意識していなかったけど、メンバーの変身前のユニフォーム=ボウケンジャケットのデザイン、統一メインカラーがライトベージュなので、各自の“持ち色”との配分がとても計算されている。男子のブラック、レッド、ブルーは問題ないけど、ガールズのイエローとピンクは濃度、彩度的にベージュとまぎれやすい色のため、男子に比べ持ち色比率を高めるなど、制服としての統一感を保ちながら、ちゃんとそれぞれの色の個性を出している。
衿裏や袖口にあしらった迷彩色も、ブルーはブルーの、ピンクはピンクのグラデーションを取り入れた迷彩でしたね。ピンクの迷彩は普通に女の子が着て可愛い感じ。
2月から戦隊枠は専ら『炎神戦隊ゴーオンジャー』で走ってきましたから、Task 1・2での、新人として加入のブラック・イエローと他3人のぎくしゃく感が、現場で危難や達成感をともにしていくうちにスムーズになっていく過程も、初見ではないのに「大丈夫なのか!?チーム成立するのか!?」とかなりのテンションでウォッチしてしまいましたよ。
そう言えば、知らない同士だったメンバーが初集合して結成する(orさせられる)ところから物語が始まる戦隊も珍しくなかった。まして新顔加入→摩擦、衝突、から始まる例は、むしろいちばん多いパターンかも。いろいろ忘れているもんです。
あと『ゴーオン』に慣れた目から特筆すべきは、メンバーのヴィジュアル。わかりやすく「誰が見てもカッコいい、誰が見てもかわいい」人がほぼ不在で、その…“微妙度”が高い。
…いやコレ、貶しでも駄目出しでもないんですよ。炎神ソウル、炎神キャストのような、言葉や表情を出す非・人間の個別パートナーがいないこと、大神官ガジャ様も風のシズカもばんばん人間世界に現れて、人間に直接働きかける悪さしてくれることも相俟って、とても“人間くさい”戦隊になっているのが『ボウケン』の魅力だったんですね。
かてて加えて、ボウケンジャーに指令を出し世界のプレシャスを保護する組織=サージェスが“財団”であることで、潜在的に、ほのかに“カネの匂い”もする。
メカニック担当牧野森男先生役が、パチンコ名人斉木しげるさんなのも、そうして見るとなかなかのツボキャスティングだったわけです。やさしく頼りになる、冒険キャリアの先輩というだけでなく、なんか「ひと山当てよう」ムードと言うかさ、キナ臭いんだね。
前作『魔法戦隊マジレンジャー』の英国風・北欧風ダークファンタジー、前々作『特捜戦隊デカレンジャー』のスペースSF風と対比して、『ボウケン』のこうしたいい意味の世俗性は実に新鮮。メンバーのヴィジュアルにしても、微量キツそうであったり田舎臭…いやその、素朴風味だったりして、“ファッション雑誌かトレンディドラマにいくらでもいそう”ではない分、ひとたびボウケンジャーとして好かれたら、とことん好きになってもらえたと思います。
月河はリアル放送時の序盤は、イエロー(中村知世さん)とピンク(末永遙さん)、対照的なキャラの女子メンバー2人に目が行ってしょうがなかったんですが、いま再見すると“冷静沈着だけどクールではない”アナクロヤングなレッドのチーフ(高橋光臣さん)に釘付けですな。反抗的なオレ様新人・ブラック(齋藤ヤスカさん)の「隙あらば出し抜いて」という野心が、次第にボウケンジャーとしての功名心や上昇志向とブレンドされて、いいチームシップを形成していく過程も見もの。06年当時は録画再生機器がVHSしかなかったため、いまだに低画質のアナログTVで再生しているのですが、DVDレンタルに乗り出してぼちぼち観直すかな。
さて、“レッド”の話が出たら、今日はこれに触れないわけにはいきません。スカーレット。もちろん有馬記念のダイワスカーレットです。
中山芝2,500、暮れの荒れ馬場、牝馬が勝つとしたらトウメイのように逃げ切りしかないのではないかと思ってはいました。よほどのハイペースにならないと、2,500で後方から差し切るのは難しいのではと。ここで以前も書いたように、お母さんのスカーレットブーケは90年~92年にかけて第一線で活躍した栗毛のお嬢さんでした。父ノーザンテーストで距離はかなりもったほうですが、2,000超の勝ち鞍はなく、基本的には短距離の差し馬、前に行くと見事に味がなくなりました。
その娘のダイワスカーレットが、ダービー確勝と言われながら皐月賞圧勝の直後に引退したお父さん・アグネスタキオンの力ももちろんあるにせよ、牡馬くんたちを引き連れて先頭のまま2,500のゴールを突き抜けるとは。そもそも先行型の、牝馬が、有馬で図抜けた1番人気になること自体隔世の感です。
競馬は歴史のスポーツであると同時に、挑戦のスポーツ。記憶力のゲームであると同時に、想像力のゲームでもあった。もう既に月河の中では、08年の年度代表馬に決定、脳内表彰式で真っ赤なニンジンあげてますね。
そろそろ戦隊にも牝…じゃなくて、女性のレッドが名乗りをあげてもいいんじゃないでしょうか(前半と話が混じったな)。