イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

人間のやることじゃない

2009-11-29 20:15:39 | 夜ドラマ

28日(土)に第3話を放送した『外事警察』にじわじわ嵌まっていますね。午後900台のTVは何曜日でも、ほぼ録画視聴なのですが、万障繰り合わせてTVの前に座り、リアルタイムで食い入るように観たいと思わせるドラマです。

とにかく戦略的に画面が暗くてしょうがないドラマなので、自室のアナログVHSでは正常に録れても全篇の大半何やってっかわからない映像になりそうだということもありますが、ハンディカメラを多用した、常に小刻みに揺れる画面が奇妙に「いま見逃したら終わりだ」という、錯覚的な一期一会感をちらつかせるのに貢献しています。

父親(堀部圭亮さん)も警察官だった住本(渡部篤郎さん)の少年期の体験を現在の人格や捜査手法の原点のようにフラッシュバックで見せる辺り、“精神的に特殊で、突出したキャラになる原因はすべて親がらみの幼児体験”に帰するサイコロジカル・サスペンスのお約束めいていてちょっとベタですが、NHKにしかできない“CM中断なしの1時間枠”を鐚一文弛緩させない緊密な作りで、パッと見でのベタさを埋め合わせてお釣りが来ます。

原作麻生幾さんは何度か総合誌の記事でお名前を拝見しましたが、脚本古沢良太さんは『相棒』Season 4からクレジットでお馴染みになりました。

亀山くん(寺脇康文さん)が右京さん(水谷豊さん)のちょっとした悪戯心から、埋蔵金目当ての犯人により暗号解読のために郊外の廃家屋に拉致監禁されてしまう『監禁』、不幸な成り行きでヤクザの愛人にされた女(鈴木杏樹さん)の一発逆転狙い『ついてない女』(以上Season 4)、亀ちゃんが美和子(鈴木砂羽さん)との愛の巣にと法外の廉価で購入したアンティーク豪邸に仮面の幽霊もどきが出没し…『スウィートホーム』、平凡な独身リーマン(林泰文さん)がなぜか記憶の飛んだ前日の行動のため強盗犯容疑者にされ、特命コンビとともに失われた一日をたどる『イエスタデイ』(以上Season 5)、人里離れた田舎屋で隠遁生活を送る女流フランス文学者(岸惠子さん)が、偶然離れに同居させるも密室服毒死した浮浪者男(国広富之さん)の正体解明を、東大での教え子右京さんに依頼する『密愛』Season 7など、『相棒』ワールドではちょっと変化球で、いつもの特命係の条件とは違う、シチュエーション・コメディならぬ“シチュエーション・ミステリ”を、古沢さんはとりわけ得意としているイメージがあります。月河も再放送で観て、かなり気に入ったエピソードが多い。

『つばさ』の戸田山雅司さんもそうですが、『相棒』経験者の脚本家さんは、いまや「ドラマの」のカンムリを付けていいと思うNHKで、大活躍されていますね。これは嬉しい限りです。

『外事警察』も全6話で終わるのが惜しいな。住本の上司役・遠藤憲一さんも、登場シーン少ないながら、『不毛地帯』でのそれの倍以上の味を出していると思います。

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つまりは官僚最強

2009-11-28 15:22:34 | ニュース

昨日、『相棒Season 86話『フェンスの町で』を再見していたら、沖縄うるま市での中2男子同級生いじめ暴行死が、ちょっと違う角度で見えてきたような気がしました。沖縄と言えば、ゴーヤもラフテーもちんすこうも美味しいけれど、やはり第一に来るのは米軍基地のメッカだということです。

うるま市がどの程度“フェンスの町”な佇まいのロケーションか見聞したことはないのですが、報じられたいじめ同級生たちのあまりに人命を、倫理を、社会規範をなめ切った、衣服や現場の偽装隠蔽、口裏合わせ。“大人の親も学校も、役所も議会もアンタッチャブルのフェンスがある”地域ゆえに、自分の国の警察司法や公権力を軽んじ侮る姿勢が定着してしまっているとは言えないでしょうか。

「偉い人、威張っている人でも、悪いことをすれば捕まり罰せられる、嘘をついても必ずバレるし逃げ切れない」という認識って、ある年代までの子供に絶対に刷り込まなければいけないと思うのです。沖縄の子供たちが全員そうだというわけではもちろんないでしょうが、“自分たちに校則や規律を強要する大人たちが、なぜか何をされても黙認か泣き寝入りする”得体の知れないものの存在がどれだけ幼い心をスポイルするか。自分らの目から見て、何かに対し理不尽に卑屈で腰抜けに思える大人や、そういう大人たちが押し付けるシステムを、子供は決して敬わないし畏れません。

劇中、郵便局強盗で先に逮捕された公平(森田直幸さん)の「親にも学校にも、僕らは何も期待していません」という言葉がはしなくも現実の一端を象徴しました。フェンスもキャンプも敗戦の爪跡であり置き土産だとしたら、“敗戦国となってなお、自国の子供たちを自国民の手で誇らしく育て得る国”は、焼け跡を摩天楼に作りかえるようには成らないのだということが痛感されます。

もうひとつ、『相棒』のこのエピソードと現実の事件を考え合わせているうちに思い出したことがあります。

両親ともに教師で自分も教師になった知人が、もう10年近く前になりますが「学級を取りまとめて行くには“いじめられ役”の生徒がひとり居ると都合がいい」という意味のことを言っていたことがあるのです。

当時の会話の文脈から言って、いじめられ役と言うより、野村克也監督時代のヤクルトスワローズにおける古田敦也捕手のような叱られ役、「こういうの(=行動、成績、服装など)はダメ出しされるんだな」と他の生徒が見て我が振り直すための“見せしめにされ役”ぐらいの意味だと月河は理解していたのですが、高年俸で好成績を期待されるプロ野球選手たちではなく、心のやわらかい傷つきやすい小中学生相手の話とすれば、それだけでもかなり差し障りある思考であり表現です。

しかし、さらに広く“ピエロ役”“からかわれ笑われ役”の範疇すら超えて、いまや本当に“寄ってたかっていじめられる以外、学校の中で居場所も、果たす役割もない”生徒が、全国の学校に存在するらしいのです。

いじめが原因で悲惨な事件が起きると、どこの学校の校長からも開口一番「いじめはなかったと認識している」「いじめの報告は聞いていない」という言葉が聞かれますが、彼ら管理者にとっては“誰かがいじめられている”状態こそがデフォルトなのかもしれません。劇中の公平と良明(阪本奨悟さん)も、一方が格闘術を習いもう一方に教えている姿を“いじめ、いじめられ”に見せかけることで教師や同級生の目をくらましていました。

いじめいじめられが、やめさせなければならない憂慮すべき問題行動ではなく、デフォルトだから誰も干渉も容喙もしない安全地帯になる。

“教育現場”という言葉が月河はとりわけ嫌いなのですが、教育の場たる学校といえども、結局は管理される側より管理する側に都合がいいように、ラクなようにできている。それが社会。

将来“社会人”となって、人生なるたけすべっこく、快適に苦痛少なく生きていこうと思ったら管理する側に回りなさい…ということを、暗に教え込むべく、学校なるシステムは存在しているのかもしれません。

『不毛地帯』26日に第7話。黒塗りの役員専用車、接待用のクラブなど、画面のディテール端々に昔日の栄光・昭和の会社人間ワールドが覗くせいか、限りなくおっさん寄りエイジの男性軍には、少なくとも月河の周りでは食いつき良好なのですが、ちょっと間延びモードに入ってしまったか。

もっと壹岐(唐沢寿明さん)、肩で風切っていい快進撃なのに、将の陰の人=軍師体質なのでしょうな、はじけないんですよね。戦争と人間もの、社会派ドラマと言っても、連続TVシリーズなんだから、どこかでエンターテインメントソフトとしてハラくくって、はじけを出していかないと。

特にかつての上司の娘で壹岐に尊敬感謝以上の感情を秘める千里(小雪さん)との交流は、じれったいし不純感もあって、唐沢さんも小雪さんも全然カッコよくない。何のためにこのくだりがあるのか毎回首をかしげます。ともに秘めつつストイックに徹するなら、壹岐の苛烈なる沈黙、千里の堅忍を表現する、大人の味のドラマらしい、いいシーンになったかもしれませんが、いつも2人とも表情が微妙で、未練たらしく見苦しい。

華僑公司の第二夫人におさまったはずの紅子(天海祐希さん)が、ビジネス上援護するような素振りをしてやたら壹岐にクチを出し、千里と接点を持たそうとちょっかいを出す素振りも、本気で演出すればもっと大人な女心と映るはずですが、肝心の壹岐・千里の関係性に“一線越えれば不倫になってしまうけれど、気持ちはわかる”といった、観客が切ながり、応援したくなる魅力皆無なので、どうにもとって付けたよう。紅子はひたすら何考えてるかわからない、余計なお世話女に見えるのみです。

そこへ7話、夫と千里との距離接近を具体的には知らないまま、息子の帰省日を忘れて帰宅の遅い夫を妻・佳子(和久井映見さん)が涙ながらに詰ったりするものだから、いや増しにどっすーんテンション下がってしまうではありませんか。「立派なお仕事をなさって、常務にもなられて…でも私には家族がすべてなんです」という、あまりに古めかしい企業戦士専業主婦妻の言い分は、それこそ気持ちはわかるのだけれど、これが胸を打つためには壹岐がもっと家庭外でブイブイ炸裂してないと。

原作未読で言うのもなんですが、このドラマ、原作の咀嚼具合、消化吸収して血肉になり具合が浅いのではないかという気もします。もっと言えば、原作や主人公に惚れて作っている感触がない。

“本筋とはあまり関係ないけれど、この角度から読むと、この人物はこんな顔があり、本筋角度以上の魅力があるな”との、悪戯心含みの発見でドラマを膨らませられていないのだと思う。遊びがないんですね。良くも悪しくも作りが真面目、四角四面。当節、こういう態度のドラマも一つぐらいあっていいとは思いますが。

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ともだちなんにん

2009-11-26 17:51:11 | 夜ドラマ

昨日(25日)ここで、沖縄の中学生男子同級生によるいじめ暴行死事件についてと、『相棒Season 8サウンドトラックCDについて書いたら、同じ日の放送『相棒』が中学生男子同級生同士の、それも米軍基地の町での犯罪の話。ちょっとびっくりしました。

『相棒』ではリアルに放送時近辺マスコミで話題になった事件を軽く下敷きにしたり、連想させるようにしたエピソードがたまさかあるのですが、製作スケジュールを考えると今回ばかりは“偶然リアルが虚構を追いかけた”のでしょうね。

初見では、どこにもある、両親の離婚と、とりわけ母親不信で心が傷ついた思春期少年ふたり、孤独が通い合っての共謀暴走…というモチーフに、傷の原因として米軍基地の存在を無理やり絡ませた、若干“なんちゃって社会派”なストーリーとも見えたものの、再見再々見すると、どうしてなかなか噛み応えも余情もある好篇でしたよ。

公平(森田直幸さん)にとっては父の職を奪い、母に暴力をふるうDV夫に変貌させたのが基地。良明(阪本奨悟さん)にとっては離婚後の母を性的に堕落させたのが基地の米兵たち。彼らを郵便局強盗と爆弾製造に駆り立てたのは「基地さえ無ければ親子幸福に暮らせた」の思いというより、“年若い自分らの努力や辛抱ではどうにもできない、理不尽な抑圧力”の象徴が、たまたま基地の居丈高なフェンスに破壊衝動の焦点を絞らせしめたというところではないでしょうか。両親離婚で母姓に変わったことがきっかけで陰湿ないじめを受けるようになった公平、いじめられてはいないけれども同時期にやはり親の離婚で姓が変わった良明はひそかに“俺がアイツだったかもしれない”との思いに苦しみ、公平と心が通い合ってやっと救われたはず。

“共謀が同級生や教師たちにばれないように、一方がミリタリーサークルで格闘術を習ってもう一方に教え、パッと見ではいじめのように見せかける”という2少年の発想には胸をつかれましたね。いまや中学生の社会では、いじめ←→いじめられの関係のほうが、世の目を欺くカムフラージュとして有効らしい。

郵便局強盗を分析する特命コンビ、改造スタンガンや単独犯、武器入手の経路から、神戸(及川光博さん)は“手慣れたプロ”をイメージしましたが、同じ事象が、右京さん(水谷豊さん)の別角度から見ると“ネットしか物品や情報入手手段のない、社会経験浅く資金もコネもない若年者のやりクチ”になる、ネガポジ反転とともに象徴的でした。

両少年の母親たち(仁藤優子さん、滝沢涼子さん)の、酌量すべき逆境が切々とわかるだけにいや増しにやり切れない人の子の親としての不甲斐なさ。後味悪いだけに終わりそうなエピソードも、終盤に救いが。歪んだ出発点とは言え結ばれた公平と良明の精神的な絆は純粋で、強盗の手口以降は一切完黙していた公平が「(基地へ)夜、何処そこ側の出入口から侵入するということしか決めてません…だけど、村越(=良明)は必ずやります」と言い切った、“深い信頼”なんて言葉をこういうところに使っちゃ不適切かもしれないけれど、大枚の報酬や高邁なるイデオロギーで結束した犯罪グループだって、段取り決めたほうが先に拘束されたら、未逮捕で野にいる共謀連中が怖気づかずに打ち合わせ通り実行するか、全幅の自信をもって断言できるケースってそうそう無いと思う。

親にも教師にも理解されず、こっちから期待もせず、やり場のない鬱屈の受け皿がどこにもなかった少年ふたりが、“出口なし”ゆえに如何に密に、損得無く純に結びついたかがわかる「必ずやります」

公平の自供を受けて速攻、いざ良明爆弾突入実行前に確保へと動き出した特命コンビへの公平「助けてください、俺…友達は村越だけだから」より、月河は「必ずやります」に泣けました。あれは言えないよ。15歳同士、それも何ひとつ順風でない、お互い以外、夢も愛も希望もない同士じゃないと。

特命コンビの機動力よろしく、公平の願い通り犯行前に良明も無事確保。公平「ごめん…喋っちゃった」良明「…何がごめんだよ」を離れて見守る右京神戸。右京さんの言う通り、未成年と言えども微罪というわけにはいかないでしょうが、誰の命も殺めずに済んだのが何よりの救いになった。逮捕後の良明の自供を公平のそれとつきあわせて成ったのであろう、強盗&爆弾共謀の過程のVが、まるでビクトル・エリセ監督の一連の映画のよう。行もしくは露見すれば犯罪になるしかないけれど、2人にとっては、「オレの望み、欠乏感を共有してくれるコイツがここに居る」と実感できる、至福の時間だったことでしょう。どうにか更生して、母親たちとも和解の通路を得、辛い経験を越えて大人の男同士の友情に脱皮できる未来を願わずにはいられません。

良明役の阪本さんはキアヌ・リーヴスの若い頃を髣髴させる正統派美少年、公平役森田さんはワイルド小動物系の“一周回って可愛い”系。孤独ゆえに接点を持てた2人のヴィジュアルのバランスも絶好。どちらも、月河が同級生女子なら胸騒がせたに違いないタイプなんだけど、“異性”を介在させなかったのは、ともに母親との心理的確執を想定しての話だったからなのでしょう。テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞、40歳受賞ということで話題になった福田健一さん、『相棒』ワールドにもじゅうぶん親和する味を出してくれました。テレ朝の誇る高視聴率人気シリーズ参戦は糧になったはず、もう一作ぜひ書いてほしい。

「暇か?」の組織犯罪5課角田課長(山西惇さん)の「下の息子がヴィジュアル系バンド始めちゃって、金髪に染めるわ、オレと顔そっくりなのに化粧までするわ…」は、神戸くんを演じる及川さんへのソフトアピールのようで笑えましたね。ライブステージMCで、観客の女子親衛隊(?)に「ヒマかーーー!!」とか叫んだりするのかな。

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恥を知りなさい!

2009-11-25 20:48:25 | ニュース

先週報じられた沖縄県うるま市での中2男子同級生グループによるいじめ暴行死事件、「集団でひとりを寄ってたかって、しかも学校が無認識で無策、聞き飽きたような事件だな」と思っていたら、小出しに続報聞いてるともう、半端ないですね。

集団暴行の痕跡を消すため制服を別の生徒のと取替える、しかも転落事故死を装うため別の場所に運んでから救急通報する、やりくちが中学生の悪たれというより、立派な大人の凶悪犯じゃないですか。14歳と13歳の中学生、教育的に嘆かわしいとか憤ろしいというより、普通に怖いですよ。人として関わりたくない。よくお年寄りが称揚する“町内のガンコオヤジ”よろしく「キミたち、何をやっとるんだ、よさないか!」なんて注意したり叱ったりしようなんてチラッとも思わないね。道ですれ違う、目が合うのさえ怖い。

7人か8人いたらしいいじめグループの中に、ひとりふたりぐらいは「動かなくなっちゃったよ、ヤバいよ、すぐ救急車呼べば助かるかも、ねぇ呼ばね?」と思ったかもしれないし、それ以前に「これ以上蹴ったら死ぬんじゃないか、なんぼなんでもオレらと同じ、親もきょうだいもある人間じゃん、このへんでやめといてやんね?」とも思ったかもしれない。しかしここまで病むと、もう群集心理でしょうね。“異を唱えれば今度は自分がいじめられる”という個々の恐怖心が、逆に結束を固めてしまう。

悪の自覚があって悪を行ない、悪として明るみに出たくないゆえに口裏を合わせて隠蔽せんとする。悪そのものの精神と行動にすでにどっぷり染まり切った連中を、学校の名のもとにどうにか指導したり矯正したりしなければならない教師の皆さんもやりきれないでしょう。これ、もう教育の守備範囲超えてるもの。無策と詰られる筋合いはないよ、との声が聞こえてきそう。

しかしだ、惜しむらくは(惜しんじゃいかんのだが)、衣服取替えても移動しても、高所からの転落が致命傷を作った遺体と、殴る蹴るで致命に至った遺体とでは、着衣ならともかく裸にすればパッと見で所見がまるで違うわけです。事故死の状況でも変死は変死、行政解剖は免れない。姑息な偽装かましても、やっぱりおつむの中身は中学生坊主。いやそれ以下。ヤッコさんたちCSI『臨場』、『科捜研の女』辺りを見てなかったな、さては。

せめて『相棒』ぐらいは。日本の科学捜査を、鑑識米沢さんを舐めてはいかんぞ。

さて『相棒』と言えば、Season 81話本編後の、たまきさん(益戸育江さん)ヴォイスの告知で知った“新しい相棒、新しい音楽”、『Season 8オリジナルサウンドトラック』がなかなかの良作ですよ。昨年10月、亀山くん(寺脇康文さん)卒業シリーズ=Season 7放送とともにリリースされた、Season 14までのOPテーマを含む厳選セレクト版サウンドトラックが、“『相棒』を知らない人に出会いがしら聴かせても、警察もの事件ものだぐらいはわかる”選曲であり出来ばえだったのに対し、今作はぐっと奥行き、振幅のある、一筋縄ではいかない構成になっています。

『沙粧妙子』風のサイコキラーミステリ風味の曲、それプラス『共犯者』的なショック・ホラー寄りの曲に、それこそ『相棒』を知らない人に聴かせたら「『太陽にほえろ!』みたいな人情刑事ものでしょ?」と思いそうな曲もあるし、『鬼平犯科帳』もしくは『陽炎の辻』のような、ヒーロー時代劇により親和しそうな曲も。

バラエティの豊かさと、“この曲はこんな場面に合いそう”と想像させる喚起力。今season、ドラマ本編中での音楽の入れ方が前seasonに比べて控えめになったように思いますが、その分いい意味で“遊べている”心地よさがある。とにかく土曜ワイド劇場の単発時代から9年半の長きにわたって存続してきたシリーズ、単なる刑事もの事件ものの枠を超えて「こんな曲もあんな曲も、BGMもしくはイメージ曲としてぜんぶ“アリ”なところまで来ました」という“継続の強み”みたいなものを感じるアルバムです。

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清の字

2009-11-24 17:10:31 | テレビ番組

NHK『紅白歌合戦』の出場歌手、発表になりましたね。もう思い出せないくらい何年も前から、紅白は観ても“つまみ食い”視聴だったのですが、今年は「井上陽水がついに出るらしい」との情報が先週一部(て言うか一社)スポーツ紙から流れ、ちょっと緊張して発表を見守っていました。

 …結果、陽水のヨの字もありゃしない8月頃からNHK総合、教育ともに音楽系、文化系の番組でのピンの特集が目立ったため、長年紅白出場をオファーし続けてきたNHK側に、今年は陽水さん本人がぐっと前向きになってくれている“ようだ”…との感触をとらえて、スポーツ新聞約一社が“飛ばしちゃった”というところかも。

月河は陽水さんの“紙媒体にちょろっと出る以外はいっさい露出無し”時代が長かったので、紅白出演実現したらすごいし絶対観ようと思っていたので、拍子抜けは拍子抜けなんですが、反面軽く安堵もしています。

何を歌うにしても、“今年巷(ちまた)を賑わせた曲”という感じにはならないだろうし、過去の名曲の数々となると、数々あり過ぎて選び切れない上、何を選んでも陽水さんの曲は濃くて、磁場も強すぎる。

アイドルや演歌歌手や芸人が累々と並ぶ(死体かよ)NHKホールのステージで、ライブでもおなじみのバンドメンバー引き連れて歌う陽水さんは想像しにくく、結局は昔長渕剛さんや中島みゆきさんが披露したように、別ロケーションからの中継にせざるを得ないのではないでしょうか。だったら3時間以上もの長大番組の中の数分間ちょこんともらうより、15分でもいいから別番組作って、陽水さんの歌“だけ”を聴けるようにしてくれたほうが有難みがあります。

物事には何でも最良のタイミングというものがあって、それを逃してはるかに時間が経過してしまってから、思い出したように無理やり敢行するくらいなら、やらないほうがましということもある。陽水さんがNHK紅白に出るとしたら、朝ドラ『かりん』のテーマ曲『カナディアン・アコーディオン』を歌っていた年がいちばんの好機だったと思いますが、陽水さんのTVドラマタイアップ曲は当時かなり稀少性があったにもかかわらず、当時は意外と「ぜひ出て」「出るのではないか」の上げ潮にまではならなかった。『かりん』が93年下期、10月スタートのドラマであり、かつヒロイン役の細川直美さんが審査員に選ばれていたことも、逆に足を引っ張ったかもしれません。

ちなみにこの年には、JWALKTUBETHE BOOM、今回2回目の出場が決まった福山雅治さん、紅組では長山洋子さん、天童よしみさんなどが初出場を果たしています。

嵐はじめジャニーズ所属組4組揃っての出場が最大の話題になりそうな今回は陽水さん“NHKには何本か出て付き合いもできたし、前向きにはなったけど、そこ止まり”にしてくれてかえって良かった。歌は世につれ世は歌につれとよく言いますが、世にも何にも“つれない”ことも魅力のひとつであるような、そういう音楽も楽曲も、アーティストも存在する。

月河宅では高齢家族が早くも“歌の力”応援隊のこども店長加藤清史郎くんの出番が「何時何分から何分までなのか調べて、きっちりその間だけ録画しておくように」との指令を下しているし、非高齢家族は「(忌野)清志郎追悼コーナーなんかまさか設けないだろうな、そんなムナクソ悪いお為ごかしあったら速攻格闘技にチャンネル変える」「(矢沢)永(吉)ちゃんはよくぞ断ってくれた」と独走で鼻息荒げています。月河はもし在宅できたら、レンタルDVDか『夏の秘密』録画でも夜さりゆっくり観ようかと思っていますが。

…あ、SMAP『任侠ヘルパー』のテーマ曲『そっと きゅっと』を歌うなら、そこだけは見たいですね。草彅メンバーはまだ節酒モードかな。もういいじゃん、ガー飲っちゃっても。ねえ。

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