昨日(29日)夕食前からなんとなく流していたイギリスのロイヤル・ウェディング。近年、ここの王室発の話題が出るときには決まって誰かかれかの離婚か不仲のゴシップばかりで、ほかならぬ自国民にソッポ向かれまくってんじゃないかと思うんですが、王室側の当事者たちも結構気つかってたようで「華美にしないぞしないぞ」「国民の反感買わないぞ買わないぞ」と、受け止める国民側の「不況のさなか王室に贅沢なことはさせないぞさせないぞ」「目光らせるぞ光らせるぞ」「でも久々のめでたい話だし、あんまケチくさいことも言いたくないぞ言いたくないぞ」とが微妙に綱引き合って、回り回って「…やっぱりパーッといきたいよね!ね!?」とはじけたみたいな、お国柄の古めかしさとプチ不器用な質実剛健感が相俟った、結構好感持てる寿イベントだったんじゃないでしょうか。
ウィリアム王子28歳。あと2ヶ月足らずで29歳。もうあの故・ダイアナさんのお子さんがアラサーなんですねぇ。こっちも年とるわけだわ。父君チャールズ皇太子62歳。祖父君エディンバラ公89歳。遺伝の発現が、頭髪具合においてひときわ早い。
偉大なるグランマ、エリザベス女王陛下85歳。山吹色のスーツがバリお似合いで、ヒールはいて夫君とともにピンシャン玄関タラップも上るし、かわいい孫の晴れの日に満面のスマイルで、目つきも涼しく気力体力まだまだ衰えておられない様子。同国内世論では、不倫と離婚で大いに王室の顔にドロを塗った皇太子を飛び越して、「次の王位はウィリアムに」との声もあるそうですが、なんとなくわかる気がします。チャールズさんの素行による不人気だけが原因ではないと思う。
女王陛下、もう5年や10年余裕で生きそうですもの。彼女が天寿を全うされる頃には、現皇太子は70近いか、ひょっとしたら越えてるかもしれない。“老人の跡目を老人が継ぐ”のは、イギリス国民もあまり見たくないのではないでしょうかね。
日本の皇室も大して状況変わらないですよ。今上天皇今年御年満78歳。皇太子殿下もなんだかんだで51歳、“年の王子さま”です。天皇陛下が美智子皇后とともに震災被災地を訪ねられて、専用ヘリから下りてくる動作など見ていると、そろそろいっぱいいっぱいかなという気もしないでもありませんが、摂生されているのだろうし先代昭和天皇と同じくらい、アラサーならぬアラ“ナイ”まで保っちゃうかもわからない。
そうなると年の王子さまが、民間なら定年退職をとうに過ぎる年齢で継ぐことになる。その頃には妃殿下の適応障害なるものもアトカタもなく快癒し、内親王さまも無事学校を卒業されて、一点の曇りもないご家族になっていることを期待したいですが、問題含みのまま継いじゃったら、ものすごくフレッシュさや元気さのない皇位継承になる公算が大です。
お元気で長生きな君主の治世が長く続けばとにかくいい、てえわけにもいきませんね。ロイヤルファミリーの未来、あちらもこちらも、どうなることやら。
そんなことより新婦ケイト・ミドルトンさん、ドレスも本人も美しかったですね。ダイアナさんのときのように、空気孕んだら飛べそうなバブリーなトレイン引いたりしてなかったし、29歳、オトナな花嫁にふさわしく肌の露出はレースで抑えめなクラシック調。光線加減やカメラの映りの影響もあるかもしれませんが、真っ白白ではなくほのかなアイボリークリームを帯びた地色の素材もシックで、ウェストミンスターの渋いステンドグラス越しの光に映えて良かったと思います。
本名キャサリン・エリザベス・ミドルトンさん。式場入りから宮殿バルコニーお出まし恒例のロイヤル・キスまで、終始ダンナより落ち着いておられましたな。同級生で、5ヶ月ほど姉さん女房という字ヅラ以上に賢そうに、て言うか余裕かまして見えましたよ。貴族階級ではなく平民中流の、お父さんはネット通販社長さん、お母さんは元CA、“世慣れ方”がアラサー王子さまなんかとはだいぶ違うかも。
ちょっとダークな髪色肌色のブルネット美女。ダイアナさんのような金髪碧眼、血色が透けるピンク白肌のフェア・ビューティより、本当に嗜好だけの問題だけど月河はこちらの系統が圧勝でタイプです。目元のクールな感じが、ルキノ・ビスコンティ監督の『イノセント』や、デイヴィッド・クローネンバーグ監督の『スキャナーズ』に出ていた頃のジェニファー・オニールを思い出させる。あの目で見つめられたい。なじられたい。叱ってほしい。おまえは伊丹刑事(@『相棒』捜査一課)か。オニールさんは“オ”の付く姓が物語る通り父方がアイリッシュでしたが、ケイトさんもあるいはケルトの血が入っているのかもしれない。
満29歳、年があらたまれば30歳、『霧に棲む悪魔』のミス白狐ことロータスの依子さん(中田喜子さん)風の表現で言うと「ママになるのが早過ぎるというお年ではないわよネ?」なので、王室ウォッチャーの皆さんの次の興味はすでに“ご懐妊はいつ?”に移っているかもしれませんが、まあ、急いてはコトを仕損じる。ゆっくりマイペースで仕込んでいただきましょう。
姉上のドレスの裾やら、天使役の子供たちのお世話やらで大わらわだった妹さんのピッパことフィリパ・シャーロットさんも、姉上のクールさを薄めて母性的に丸くしたような、やはりブルネットの知的ビューティで、マーメイドラインの白ドレスがとてもよくお似合い。相当、身体の線に自信がないと選べないデザインでしたよ。
“地顔”が微量はにかみ顔、案じ顔なのが、姉上とはちょっと違う“客層”の琴線をふるわせそうです。姉上よりふたつ若い、当然独身。マスコミの興味はこちらにも半分流れるか。『霧に棲む~』のせいか、どうも“白い女”づいておるなあ。