パワーストーンのパワーを“がっつり”もらいたいとき、いちばん確実だと思うのは掌に握ってコロコロですが、夜のひととき自室でひっそり儀式風にやるならともかく、人目につくと脳梗塞のリハビリみたいでオサレでないし、身体につなぎ留めるものが何もありませんから、お気に入りのタンブルをうっかり落として失くしたり傷つけたり割ったりするリスクも大です。
そこでネクストベスト。ブレスレットとして、パルスポイントの手首に巻くというのがあります。
ところがこれも結構リスキーなんですね。ストラップがゴムだとびっくりするほど短期間で伸びてしまうし、テグスや金属ワイヤーも、出先で切れて床や地面に大事な玉石がバラバラ…という、不吉感に満ちた“へコミック”な体験がたびたび。
指輪、リングとなるとブレスレット以上に台所作業、介護作業の妨げになるし、指に乗っかる程度のプチサイズの石以外無理という制約も伴います。
そこで浮上するのがペンダント。目立つように服の上にアクセ風に出してもいいし、冬場などセーターの下にこっそり着けて行けば仕事先でもチェックを受けません。
石にもよるし、欲しいパワーの種類にもよりますが、概して石は“本人以外、着けていることを知らない”“そのアクセ何?お守り?てな好奇の目を浴びない”状態のほうが、パワー“純度”が高く保てるように思います。
そんな感じのネクスト・ネクスト・ベストのペンダントトップが、気がつけば結構な数になってきました。
こうなると気になるのが、ペンダントをペンダントたらしめる“チェーン”の材質です。いちばんよく行くお店では、ペンダントトップを買うとシルバー925のボールチェーンをリクエストの長さにカットしてくれるのですが、シルバー=銀も鉱物ですから、ストーン本体とは別の、独自のパワーがあります。
ものの本によると銀は“月”。情緒のバランスをつかさどるとともに、ギリシア神話の月の女神アルテミス同様“処女”=“邪悪なもの、汚れを拒否する”パワーがあります。同時に、他者(=太陽)の光を受けて輝くもののパワーをも象徴するので、チェーンとかアクセの“脇役”として石の長所を引き出すのにぴったりの特性を持っているんですね。
もうすぐ来るオリンピックでも銀メダルは“2位”に与えられるもの。好きな石があって、ペンダントやリングとして身につけたいと思ったら、安心して“チェーン”“台”パートをお任せすることができます。
銀独特の“空気酸化錆び”“汗錆び”のリスクがありますが汗は水に漬けて洗い流し、あとクリーム少々ティッシュにつけて拭き落とすこともできます。
何よりシルバー925はお値段が手頃なのが嬉しい。好きな石、いま身近にいてほしい石を肌身につなぎ留める大切なツールとして、“月”のパワー=銀はぜひお友達に持ちたいものです。
ところで、銀と同等以上に実生活で活躍してくれている金属の鉱石も、意外にパワーストーンとして頼りになるものがあります。
鉄の鉱石=赤鉄鉱=ヘマタイトは、切断すると血のように赤い粉が飛び散ることから、戦に赴く兵士たちを刀傷から守る石として珍重されたほか、“大地に根付く”=飛行機事故を斥ける石としても知られています。
同じく鉄の鉱石である黄鉄鉱=パイライトはかつて火打石として用いられ、道を明るく照らす・先見の明を与える石、災いや危険を払う石でもある。
亜鉛の鉱石である紅亜鉛鉱=ジンカイトの特に赤みの強い結晶は、“復活・再生”の力を宿し、スランプや鬱状態にあるときの活路をひらき、身体的には血行を促進し細胞の活性化をうながす、つまり美肌の石とも言われています。
いずれも元素の特性や、結晶の成り立ち・組成から得られるパワー。石が“地球の、宇宙の一片”であるのと同様、掌や肌から彼らのパワーを感じる我々人間も“宇宙の一片”。石や元素にまつわる神話伝承は、宇宙から我々人間へのメッセージのひとつでしょう。石に触れることで得られる安堵感や安らぎは、「悩んでも迷っても足掻いても宇宙の一片」という、“自分の小ささ、取るに足りなさ”を実感することがもたらしてくれるのかもしれない。
自分の存在など塵や埃ほどの大きさも意味も、重要性もないという感触ほど、心を安らかに、静寂に、満ち足りさせてくれるものはないと思います。
銀のチェーンと石のペンダント、絶好のコンビネーションなんですけど、うっかり着けたまま寝ちゃったりすると、朝、チェーンがぶっつり切れたりしていることがある。そこが難点ですね。