イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

鯖?

2012-02-26 16:12:31 | 特撮・ヒーロー

『海賊戦隊ゴーカイジャー』最終話の興奮もさめやらぬうちに本日(26日)スタートした『特命戦隊ゴーバスターズ』、いやー毎年思うんですけど、スーパー戦隊はこの、「1月は逸す、2月は逃げる、3月は去る」という語呂合わせくらい何だかんだあわただしい時期に、ずわーーっと盛り上がってズバッと終わって、翌週さくっと新シリーズが始まるという若々しい手際のよさ、足取りの乱れなさが気持ち良いんですよねえ。つまらん改編期スペシャルや、録りためた通常回録画か、来たるべき特典映像付きDVDをくまなく見りゃすむような、ヘタクソ編集の総集編など1週も挟まない。ゴーカイジャー諸君諸姉が先週宇宙に派手に行っちゃったら、今週はもうレディゴー!なのです。

これから夜、編集した録画を舐めるように鑑賞する至福の時間帯を待つわけですが、朝の仕事の片手間にさらっと流していると、まずは紅一点=イエローバスターの宇佐見ヨーコちゃん(小宮有紗さん)がほとんど反則的にかわいいじゃありませんか。何だあの、この世のものとは思われない顔の小ささと、嘲笑うかのごとくその好対照をなすピン張り太ももの豊かさは。

2008『炎神戦隊ゴーオンジャー』で楼山早輝=ゴーオンイエローの逢沢りなさんも、初見でいきなり「こんなにベタに全方位かわいい女の子を子供のヒーロー番組にって、贅沢だろ日本国、バチ当たんぞ、天災くんぞそのうち」と憤ったり不安になったりしたものですが(←大袈裟だし)(しかもちょっと的中したし)、今作も本当にヒロインが大当たりの予感です。

設定16歳(演じる小宮さんも今月16歳になりたて)。お子さんたちにとっての、“強くて頼りになって、一緒に遊んでくれそうなお姉ちゃん”であり、ちょっと大きめのお友達にとっての“応援して、守ってあげて、ちょっとカツ入れてもほしい勝ち気な妹”であり、そんな子らのお父さん族にとっては“めっきりオンナノコらしくなってきて目が細まるが、男友達とか連れてきたらどうしよう…な愛娘”であるとともに、最近の“1チャイルドに5ポケット”(=子供ひとりに、共働きの両親と、両親のそのまた両親=祖父母、総計5人の財布がつぎ込まれる)時代を考えると“お菓子とかねだられたら果てしなく買ってあげちゃう理想の孫娘”と思って見ている早起きシニア世代も、全国のお茶の間に多そうです。

最年長の兄貴格=ブルーバスター岩崎リュウジくん(馬場良馬さん。←この名前で、競馬番組のレポーターのひとつもやってないのはもったいない)の、“ハードな営業の合間に遊歩道ベンチでドリンク飲んでそうな、世慣れこなれた社会人”ぽいさりげない世俗性もいいし、もちろん新召集のレッドバスター桜田ヒロムくん(鈴木勝大さん)のやんちゃ弟キャラも、ハズレなくお子さんたちの仲間意識を呼びそうで好感度大。ヒロムくんの美人のお姉さんリカさん(吉木りささん)は、最終話までに病気が治って、ブルーとレッドが義兄弟になったり…は、ないか。

敵役悪役好きの月河としては、敵集団ヴァグラスの地球潜入高等工作員?プログラマー?らしきエンター(陣内将さん)が最大注目ですね。慇懃無礼、上から目線、ヌメッとした感じは、『獣拳戦隊ゲキレンジャー』のロンを思い出させるところもありますが、金属的に無機質なようでもあり、両性的で、植物っぽくもあり、生身アクションの機動性も今後ますます期待できそう。

演じる陣内さんは『ゲキレンジャー』のゲキレッド鈴木裕樹さんや同じく理央さま荒木宏文さん、『ゴーオンジャー』のゴーオングリーン碓井将大さんらと同じDBOYSで、ヒーローを輩出する下地はあるんですね。それも悪側で、理央さまのような、“原点はヒーロー側と一緒だったが何処からか道を誤って行った”改心協働の余地のある悪じゃなく、かなり“人工的に鍛え上げられ精錬された”、高純度な悪な感じ。末頼もしや。

長いシリーズで悪役を鑑賞する楽しみに、“行く末、プロセス、末路を想像する”楽しみがあります。正義のヒーローものドラマなんだから最終的にヒーローが勝つことは自明ですが、どんな風に倒され、滅ぼされるのか、あるいはどんな風に“悪であることをやめる”のか。向こう一年間、毎日曜朝ボンジュール、シルヴプレ。

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派手に行ったぜっ

2012-02-23 00:35:19 | 夜ドラマ

オセロ中島こと中島知子さんのマンション家賃滞納提訴の話題で、意外にも大家さんとして本木雅弘さんのお顔がスチールで何度もTVに映ったので(しかし、あのモッくんがマンションオーナーになっているとは軽い驚きでした。“豪邸を建てて自分が住んでいる”じゃなく、“(一時にしろ)売れっ子の芸人が入居するようなマンションを所有して家賃収入を得ている”というのが)(だいぶ前、木村拓哉さんと工藤静香さんが結婚前写真誌に撮られたのが、武田鉄矢さん所有の種子島の別荘でだったと知った時に似た、“にわかに嚥下し辛い驚き”です)、否応なく、2ヶ月も前に終了した『坂の上の雲』3部の失速を思い出してしまいました。

何だったんだろう、あの急激な色褪せ方は。2009年初冬、サラ・ブライトマンさんの澄明な歌声とともに始まった、主人公3人(秋山好古・真之兄弟と正岡子規)が紡ぎ出す“近代日本の青雲期”はどこへやら、なんだかえらく大掛かりな戦争史実再現ドラマに堕してしまった。昨年の第2部で、途中から横入りのように本木さん扮する真之の好敵手キャラとして参戦した広瀬中佐(藤本隆宏さん)が留学先ロシアで恋バナ咲かせたりし出した頃からちょっと空気がおかしくなってはいたのですが。

ドラマ、特に長期間多話数にわたる連続ドラマの場合、良いドラマには必ず、「人物と一緒に生きた」「人物と時間を共有した」という感慨があるものです。最終話の後は、たとえ死没エンドでなくても「もうこの人物に会えないと思うと淋しい」と思うもの。駆け足の接ぎ剥ぎ映像とナレーション説明で語られた秋山兄弟の最期には、本当に自分でも意外なほど名残惜しさを感じられませんでした。

2部の前半で病没した子規(香川照之さん)には感じたけれど。香川さんのリアルな減量熱演もあって、名残惜しいよりも「もう見ていたくなかった」「逝ってくれてホッとした」ほうが大きかったかな。

いまさらですが、11ヶ月間隔が空いての4週連続放送を3年がかりで、という“リズムに乗れなさ”も、ドラマ的感動を呼び起こすについてはあなどれないマイナスでした。第2部・第3部開始前にはBS“記憶回復おさらい再放送”を設けるなどNHKなりに視聴者フレンドリーを心がけてくれてはいましたけれどね。ドラマとして“つれない”ですね。その場その場の映像の巧緻さやスペクタクル性にはある程度前のめりになれても、人物に惚れ込めない。喜怒哀楽をともにできない。

その点、19日に感動の最終話を迎えた『海賊戦隊ゴーカイジャー』は人物と一緒に生きさせてくれたなぁ。いやー生きさせてくれた。この1年、たぶんゴーカイジャー諸君諸姉も、ザンギャックの野郎どもも、たぶん地球時間に付き合ってこっちと一緒に1年を走ったのだろうと思いますが、ガレオンの背中(て言うか艫)が本当に名残惜しい。テープとか投げたくなる。ハカセ(清水一希さん)がヘンにたくましくなったり、鎧(池田純矢さん)がヘンにお行儀良い子ちゃんになったり、ルカ(市道真央さん)がヘンに母性にあふれたりしなかったのが気持ちよかったし、ゴーカイレッド=キャプテン・マーベラス(小澤亮太さん)は近年のスーパー戦隊でも屈指の“終始ブレないレッド”だったのではないでしょうか。

ドラマが、たとえ史実や実話に取材立脚したものであっても基本“作り話”である以上、観客にお話に入っていってもらうにはとにかく「人物に惚れてもらう」「“この人物・キャラをずっと見ていたい、時間をともにしたい”と思ってもらう」ことが第一です。やはりスーパー戦隊は、永遠にドラマ作りの教科書、スタンダード、規範であるなあと思う昨今です。

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李氏挑戦

2012-02-13 00:33:52 | 海外ドラマ

『カーネーション』も着陸態勢が見えてきたことだし、そろそろ視聴エネルギーを他の連続モノに割く余裕も出てきました。

んで、NHK総合で日曜2300~放送中の『イ・サン』DVDで、先取り一気見してしまった(疲)

だってじれったいんだもの。全77話、先週38話放送でやっと全体の半分きましたが、世孫さま=サンvs.老論(のろん)派の構図、一進一退でまーーーー決着つかないのなんの。世孫さまったら、読んで字の如く皇太孫=お世継ぎなのに、多勢に無勢にもほどがある。完全な、ウラオモテないお味方って、宮廷中に五本の指で足りるほどしかいないじゃん。一気逆転の痛快な手って無いもんなのかなあ。まだらボケ英祖さま死にそうでなかなか死なないしさ。

『トンイ(同伊)』のトンイが産んだ子だから、カラダ丈夫なんだろうな英祖さま。やはり庶民の、雑草のたくましい血が入っていますからね。

まぁ韓国の連続ドラマの場合、週2話ずつの放送だそうで、付き合って同じペースで見てりゃそうでもないのでしょうが、DVD全話リリース完了してからアタマから一気見なんてやりますと、ある局面では「完全に話数もたせ態勢に入ったな」、最終話ふたつ前ぐらいでは「急ぎ撤収モードだな」とまるわかりになります。この『イ・サン』は、月河のにらんだところ、かなり、人工的に引き延ばしましたな。逆に言えば好評で、もっと長く見たいという声が多かったのでしょうけど。進展がね、あからさまに出し惜しみ、進ませ惜しみ、解決惜しみでじりじりしか行かないのね。陰謀一掃しようとすれば頓挫、処刑し倒すかと思えば手加減、そんじゃ市場改革、機構改革いってみるかと鉾先かえればまたまた邪魔。

じりじりはさせられましたが、ソンヨンのサンへの思いが、まぁ、かなってよかった。最後は悲しかったけれど。子供の頃から思い続けてきた男性の子を産むというのは女性にとって何ものにも代え難い幸せではありますが、相手が王さまですから、互いに思いを遂げるには宮中に入って側室にならねばならないというのが荷が重かったか。せめて子供が元気に育ってくれれば報われたでしょうに。元気に育っても、お世継ぎ=世子(せじゃ)になれないと、これまた宮中では居場所が無く、つねに邪魔者扱いされるわけです。万難排して世子に指名されたとしても、何かっつったら謀反人呼ばわりや、ヘタすりゃ毒殺暗殺、もっとヘタすりゃ米櫃に閉じ込められたりなんかする恐怖におびえて暮らさなければならないので、実にもう気の休まらない話。

とりあえず、宮中入り儀式(←正室=王妃ではないので、婚儀ではないと思います)での、ビスケットみたいなまんまる頬紅さしたソンヨンに、ウィンクする王さまのシーンが差最高でした。あれアドリブかしら。地上波放送はだいぶ先になりますが録ったら永久保存版にしときましょう。『チェオクの剣』ではいまいち、いま二、いま三…(中略)…いま八十六ぐらいだったイ・ソジン(李瑞鎮)さんが超ベリーキュート。晩年(と言っても正祖イ・サン、没年でも48歳ぐらいだったらしいですが)の紐ツル老眼鏡も、“メガネ男子クラシック版”って感じでイケてましたぞ。

賢臣ホン・グギョンの栄光と転落のくだりは、サブストーリーとしてかなり長い話数かけたわりには生煮えの感。もうひとりの野心家チョン・フギョムとの対照、抜きつ抜かれつをもう少し引っ張ってもよかった気もしますが、あちらが早めに、敵陣の中でもわりと潔く刑に服してしまいましたからね。

実妹・元嬪(うぉんびん)が王さまの側室となり自分は外戚に…という構図が見えてきてから、このグギョンという人物はどうとらえていいのかぼやけてしまった。“頭脳明晰、先見力あるがゆえに、権力と言う名の魔力に取り込まれて道を誤って行く”悲劇を描きたかったのかもしれませんが。色白でヌボーッと長身で、いい人顔のハン・サンジン(韓尚進)さんが、“悲劇を招くほどに切れ者”には見えなかったってこともある。終盤登場のおっちょこアイディアマン、チョン・ヤギョンとボケつっこみのコンビにしたらもっとおもしろかったのに。でも両人とも実在人物で、ヤギョンが側近に取りたてられたのは実際、グギョン亡き後のことらしいですしね。史実を変えるわけにもいかなかったのか。

初期は画員志望のソンヨンを生意気出しゃばり視してちょっと意地悪だった図画署のタク・チスさんが、春画上等のイ・チョンさんとともに、元・御真画師のウムダム様に師事してからというもの、地すべり的にキャラ変わってやわらかーくなってきたのも見ものでした。なんだ、ソンヨンのこと好きだったんじゃん。早く言えよ。勝ち目ないけど。ライバルが王さまだけど。

老論派=貞純大妃派との最後の一戦で、護衛隊一の腕利きソ・ジャンボさんが、えッ?昇進逸したのを恨んで王さまを裏切りミン・ジュシクに転んだ?と見せかけて実は?のくだりは短い時間だったけど結構ドキドキしました。韓国時代劇、出てない作品を探すほうが難しいんじゃないかってぐらい顔を出しては抜群の演武を披露してくれるソ・ボムシク(徐範植)さんはやっぱり長編のどこかで必ず見せ場がありますね。いつも“武道に長けた重鎮”という渋いムードで登場しますがイ・ソジンさんより3歳上なだけなのね。

イさんとソさんは昨年同国で放送された、百済時代舞台のドラマ『階伯(ケベク)』でも共演されています。3月から順にDVDリリースされるようなので、一度はいってみませんと。

何だか韓国連続ドラマって登山のようで、一作完走してひとしきり感動の波が去るとドッと疲れて、もー山なんか登るもんか!と思うんだけど、しばらく遠ざかると、またむらむらと挑戦してみたくなる。それも、高いほど、険しいほどそそられるという。困った境地になってきました。

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僕だってサ

2012-02-12 01:06:34 | 昼ドラマ

長女・優子(新山千春さん)の彼氏・梶山悟役の内田滋(しげ)さんは、昭和30年代後半から40年頃にかけて、和泉雅子さんと日活青春映画の名コンビだった故・山内賢さんによく似ておられますな。斜め横顔が特にね。スッと直線的に角度のついた鼻筋、若武者風にととのったお顔立ち。そう言えば優子役の新山さんも、くりりんとくっきりした容貌で、当時の和泉雅子さんを、スレンダーモデル系にしたような感じでなくもない。

「うちはもうあきません~」の軍国小芝居少女・優子ちゃんも東京の洋裁学校を卒業して、御成婚ミッチーブームに沸く昭和34年にドラマは進んだわけですが、アイビールックの悟と、サンローラン風ストレートラインワンピの優子の2ショットはさりげなく高度経済成長時代の銀座四丁目辺りが似合いそう。

内田さんをドラマで拝見するのは2008年の昼帯ドラマ『安宅家の人々』以来な気がするのですが、当時は内田さん、心やさしきピュアな知的障害青年を演じるために、「可愛く見えるように」とかなり増量して撮影に臨まれたと聞いています。その甲斐あって?撮影時29歳の内田さんが、場面によって10代の少年にも、育ちきらない30代にも見えたから大したもの。今般の『カーネーション』で普通のシュッとした体型で登場すると、これ以上ないってくらいの正統派“ハンサム”さんでしたな。

写真を一見した千代さん(麻生祐未さん)ほか、小原家集合ご近所おばちゃんズは「オトコマエや~」と感嘆ユニゾンでしたが、「男前」とか「イケメン」とかより、「ハンサム」がぴったし。そこはかとなーくオールドファッションド、よく言えばトラッドで、いまどきの二の線男優さんにしては高身長でない(公称172.5㌢)のも高“ハンサム”ポイントです。全身より、顔がバーンと来る感じがね。

登場の108話=10日(金)では、「婿に入ってもいいかナ、って」「大阪をよく知らないので仕事はお義母さんのツテで」と人生設計のスイートっぷり全開、糸子(尾野真千子さん)に事実上“顔を洗って出直して来い”と一蹴された悟さん、翌日の109話では一度も顔を見せませんでしたが、あっさり撤退したんじゃ優子が不憫すぎるし、ホテルで言われた通り顔洗って態勢立て直し中なのかな。

最近の『カーネーション』はエピソードとエピソードとが有機的につながらないので、ひとつの話題がドラマの中心にくると、前週~同週前半辺りでかなり中心だった話題でもあっさり“無かったこと”みたいになることが、残念ながら多いのです。奈津(栗山千明さん)の中年紳士・桜井(ラサール石井さん)との結婚後も、安岡美容室に飾られた花嫁衣装写真以外気配がないし、奈津への想いを秘めていたらしい安岡家長男・太郎はその後顔を出すこともなくいつの間にか子持ちになっていました。

まぁ、そこらへんは視聴しながら想像でつなげる余地ができるわけだから楽しみはあるのですけれど、ドラマとしてゆるくなった感は否めない。やはり、子供たち3人が“ヒロインの子”にとどまらず、独立人物として活動し出すと、それぞれ粒揃いにユニークなエピソードひとつずつを追って映像化していくのに忙しくなってしまうようです。

30分枠、全5065話程度の容量の昼帯ドラマでも、ヒロインの子世代に話の重心が移った途端、目に見えて求心力が落ちる。やはり心情として、いたいけな幼子から少女期、青春期の葛藤~自立出世と恋愛模様、結婚して子をなすまでのすったもんだをつぶさに見せてもらってきたヒロインが「今度は自分の子供たちを輝かせるために脇役に引く」ムードになると、見るほうも幕引き態勢に入ってしまう。

我らが糸ちゃんは、サンローランのサックドレスやアイビーの流行をさっぱり魅力的と思えない自分に苛立ち、フランス渡来の上物生地にときめき、自信を持って売り出したデザインのコケを悔しがるなど、まだまだ現役洋裁師・服作り職人としての気概も闘争心も失っていないのはさすがで、頼もしいですけどね。大正2年生まれ、昭和34年ならまだ46歳。娘たち役の皆さんが揃っていいカラダをして大人っぽいので、そのお母ちゃん、ついついすごい年いってるように思いがちですが、どっこい糸子だって全然若いのでした。

まぁ、でも、まだ完走まで7週も残してはいるものの、月河にとってのこのドラマのピークは第10週の「嫌いたかったら嫌ろたらええ」「なんぼでも嫌ろてくれ」に尽きます。あぁ自分はこういうヒロイン、いや“女ヒーロー”に会いたくて、数々のドラマを見てきたんだな…と心から思え、糸ちゃんにとっても、応援モードで見守ってきたいち観客としてもつらいエピだったにもかかわらず、あの56話の放送日は一日中、そこはかとなく充実気分だったものです。前週から引き継いだ幼なじみ勘助(尾上寛之さん)への、友情でもあり親心ならぬ“姉貴分心”でもある、幼時から一貫する糸子の心情を“地”に織り詰めつつ、“勝者及び、勝者たらんとする者”の光と影を染め上げて見せた、素晴らしい場面、超絶の台詞でした。

あれだけの高純度、超鋭角で斬りつけて来るテンションをこの作品中でもう一度味わえるとしたら、あとは最終週ぐらいしか無いかもしれません。でもその頃は、糸子は尾野真千子さんではないんですよねぇ。

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埃(ほこり)高き人生

2012-02-06 00:26:18 | 夜ドラマ

あっさりあきらめた大河ドラマ『平清盛』ですが、ふと気がつけば、地上波でレギュラー放送の新作時代劇って、『水戸黄門』なき後、NHKのこの大河だけなんですね。BSでは『鬼平犯科帳』や『新・座頭市物語』などの旧作が切れ目なく再放送されているし、DVDで若き渡辺謙さんの『仕掛人梅安』や山﨑努さんの『雲霧仁左衛門』辺りもときたま集中的にレンタルで見るので、そこまで事態が深刻とは思いませんでした。

まぁ、当地では、地味ぃにテレビ東京系火曜深夜2630~の30分枠で『逃亡者おりん2放送中ですが、こちらは作風的にも時間帯的にも事実上“実写深夜アニメ”ですから(“逃亡者”と表記して“のがれもの”と読ませることさえ、知っている人がどれだけいるか)、平日~週末のゴールデンタイムの“家族の茶の間”から、時代劇はほぼ姿を消し、唯一残った砦がNHK大河、今年2012年においては『平清盛』ということになります。

こうなると、大河の背負う役割は果てしなく重い。かつては重厚な戦国絵巻から、岡っ引き捕物帳、やくざ侠客剣劇、忍者アクション、妖怪伝奇、商人丁稚コメディまでいろいろな作風・タイプの時代劇がそれぞれのファンを持って、傑作佳作もあれば駄作、愚作、笑止作もありつつ妍を競っていました。

たとえば『水戸黄門』のベタな安心感、『必殺』シリーズの漫画チックなキャラ立ちと絡み、『鬼平』『剣客商売』など池波正太郎ものの粋な人情味、『大奥』シリーズの華麗なザ・女優揃い踏み感など、時代劇ファンが時代劇に期待してきたあらゆる魅力要素がぜんぶ大河“一本かぶり”状態なわけで、こんな中で船出するのでは『平清盛』も大変です。重すぎる。海賊王どころか、沈没でしょう。そりゃ画面も濁るわ、走りもドタドタするわ、息子の嫁に手もつけるわ、ってなもんです。

如何な製作予算縮小時代と言っても、他ジャンルより人気があり数字が取れれば利にさとい業界ですから放送枠消滅はなかったはずで、要するに、ラブコメや事件もの、コミック原作もののドラマに比べて、時代劇は求められなくなってきた、求める人が減ってきたという事実は認めざるを得ません。

現代劇の数倍、カネも手間ヒマもかかる、セットや道具や絵づくりの熟練スタッフも、ヅラや殺陣がサマになる役者も減っている、苦労して撮ったあげく視聴率はチョボチョボ、となれば、どの局も時代劇に手を出さなくなるのは当たり前です。

こういう、時代劇逆風の時代のNHK大河は、いったいどこを目指せばいいのでしょうか。漫画原作が受けているから漫画的な構成、漫画的な演出にすればいいのか、家族再生物語『家政婦のミタ』が人気だから親子兄弟姉妹・夫婦の絆強調のストーリーにすべきなのか。月9に代表されるラブコメが安全パイだから、イケメンとモデル、アイドル系女優さんによる恋愛胸キュン要素をふんだんに入れればいいのか。

ひとつ前の記事で書いたように、月河はここずっと“大河は大人のヒーローものであってほしい”と思っています。“ヒーロー”と銘打つと、なんだか変身したり、必殺ワザを持ったりしなければならないようで誤解を招きますから、もっと大人っぽく“英雄もの”と表現してもいい。

凡人にはない秀でた能力やすぐれた人間性を持ち、多くの人を惹きつけ動かすパワーのある人物が、降りかかる困難を乗り越え難敵を倒してのし上がる、ダイナミックで痛快な物語をこそ大河で見たいと思う。

平和な王国を築き上げて万々歳で終わるか、成功後慢心してもっと強い相手に滅ぼされ諸行無常エンドにするか、はたまたさらなる飛躍を目指して新天地に向かう開放型の終わり方にするかは作品それぞれであっていいけれども、要するに、見も知らない時代の見も知らない風物の中で、大時代な衣装とカツラと化粧をまとって演じられる“時代物”であることを目いっぱい利用した、非凡な主人公の非凡な活躍を見せてほしいわけです。“現実離れ”が堂々と許される枠組みが、そこにあるじゃないですか。胸キュン恋愛が見たければ月9を見ればいいし、家族ものをやりたいなら、そこらでロケでき道具も出来合いでいい現代の家族舞台でじゅうぶん。漫画原作がそんなに好きなら漫画自体を読めば済む話。大河が無理して真似っこ踏襲しなければならない理由はどこにもありません。

日曜朝のスーパーヒーロータイムへの長年のこだわりといい、最近では『カーネーション』への傾倒といい、自分はつくづく“異能の、異才の、異形の人が、異能異才異形ゆえに格闘し傑出する”お話が、とことん好きなのだなあと思います。

『平清盛』12話辺り、“ヒーロー”という概念はかなり意識しているのかなとは思えました。“王家”直系の血をひく貴種の若者が、ヨゴレでヘタレでやさぐれ作りで登場し、喧嘩や博打など醜態をさらして顰蹙を買いバカにされまくるも、やがて自分の出自を認識し、ますます葛藤しながら徐々に覚醒、ついには草創者、変革者への道を…という序盤はどこかで最近見たな?と思ったら、韓国製史劇ドラマ『朱蒙』『風の国』そっくりです。

ただ、大河で見たい“ヒーロー物語”は果たしてこんなんだったか?という疑問は厳然と残る。日本のTV界で唯一生き残った時代劇の牙城が、韓国のフュージョンファンタスティック史劇を思い出させる仕立てでどうするんだ、しかも受信料ふんだくっ………いやその、徴収している放送局が作っている時代劇じゃないですか。

いま少し、プライドと自覚をもってのヒーロー物語であってほしい。腐っても未来の入道=平清盛なんだから、ヨゴレ、やさぐれ作りにしても隠しきれないくらい底光りする、品格のある貴種を見せてほしいと願うものです。

……アレ?早々に下車したと宣言しておきながら、実は月河はまだ『平清盛』に脈々と期待を持ち続けているのか?日曜2100~は『同伊(トンイ)』がますます盛り上がってきてるし、2200から入浴家事タイムの後2300~は『イ・サン』と続くから、あまりTVをビジーにしたくないんですが。この後はさらに、朝のスーパーヒーロータイムの録画チェックもあるし。『海賊戦隊ゴーカイジャー』は残り2話だしなあ。清盛くん(松山ケンイチさん)が海賊王気取ってる場合じゃないよ。いやホント。

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