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総合診断力が問われる症例

2021-02-24 07:41:19 | Weblog

今回の症例は、4年前から病院口腔外科にて顎関節症治療と
開業医院にて難治性の歯の痛みにより歯科治療を受けているが、
顎関節症症状も歯の痛みも全然改善されないことを悩み、当院を紹介されて受診。

当院初診時、開口障害は確認でき、右側上顎臼歯部の痛みもみられた。
私は初診時所見より、両主訴に対するある病態に対して鑑別診断を行い、
開口量が3指分まで回復されたことを確認後、臼歯部の痛みを緩解させる処置を行った。
その後、レントゲン、口腔内写真などの資料を採取した。
コンサルでは、臼歯部の痛みは時間はかかるかもしれないが改善さすことはできるが、
レントゲン画像所見をみたとき、開口障害はある問題があるため
完全に治すことは出来ないことを患者に指摘をした。
そしてこの問題に対して、CBCTとMRIによる確定診断をした方がよいため
総合病院口腔外科に精密検査の依頼を行った。
検査の結果、私の指摘していた問題がやはりあることが分かった。

この様な事例ではこの問題に対して積極的な治療を行うかは患者の希望次第であるが
普段の日常生活で通常の最大開口量を開けることは殆どないため、
口腔外科の担当医の先生と私の意見は、今はあえて積極的にこの問題に介入しない方が
よいという点で一致はした。(緊急的な生命にかかわる問題ではないため)
しかし顎機能障害は残る状態ではある。

今後の当院の治療はどのように対応していくかは、患者には話はしているが
この様な事例で重要なことは、患者に病態に対して的確な診断を話しておく必要性である。
患者が、原因が分からないまま日々悶々としているのと
自分の病状を理解して日常を過ごすのでは精神的には全く違う。

さて、本症例の開口量が十分に回復できない「ある問題」とは何か?
レントゲンを見れば分かる先生には分かる。

そして、上顎臼歯の激しい痛みの原因は何か?
(右上4を抜髄しても痛みが治まらず、抜歯。その後、
 右上5が痛くなり抜髄しても痛みが治まらず、抜歯。その後
 右上6が痛くなり、前医の先生はここで診断に悩んでおられ治療を中断)

この二つの症状、前述の全ての内容と添付してる写真とレントゲンからでも
2つの診断名は分かると思う、というか分かるはず。

ちなみに現在は臼歯部の痛みはなくなり、開口障害への妥協的な治療を行っている。


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