50年後の追っかけビートルズ、今回は1969年1月に発売されたYellow Submarineである。そして今は6月。今年の年明けは多忙で、すっかり追体験することを忘れていた。いつもの参考図書「レコードコレクターズ増刊 THE BEATLES MATERIALS」によると本アルバムは米国で69年1月13日、英国で1月17日、そして日本では3月21日に発売されている。いずれにせよ、追体験すべき時期はとっくに過ぎてしまった。前回の大作「ホワイト・アルバム」の紹介を経てすっかり気が抜けてしまったようだ。気を取り直して我が家にあるアナログ盤に針を落とした。
しかし、これはオリジナル・アルバムと呼んで良いのだろうか。ご承知のように本作はアニメ映画のサントラである。映画自体は68年の初めに完成し7月にビートルズのメンバーを集めてプレミア・ショーが行われたそうだ。が、アルバムのリリースは遅れ翌年に持ち越された。A面収録のYellow SubmarineやAll You Need Is Loveは既出の曲で新曲は4曲のみ。B面にはジョージ・マーティンのオーケストラ曲が収録されている。結局オリジナル・アルバムであるという意識が低くて長らく私は手にしていなかった。そして86年に来日20周年記念としてモノーラル・カラー・レコードが発売された時に、自分が持っていないアルバムの一枚として購入したのである。
初めて聞いた時のことは今でも覚えている。私はずっと映画音楽が好きだった。そのためか、本作のB面のオーケストラ・トラックがとても気に入ったのだ。恐らく映像に合わせて作曲・演奏されているのだろうが美しい旋律を奏でる曲ばかりで、中にはシタールの演奏やバッハの一部が入る曲もありアレンジも多彩。ジョージ・マーティンは単にプロデューサーに留まらず、作曲家としても有能な人なのだとその時理解した。その衝撃が大きかったせいかA面のビートルズの曲は印象が薄い。
手元には前述の国内モノ盤と後年買ったキャピトルのステレオ盤2枚がある。両者のジャケットを比較すると裏面が違う。レイアウトが全く異なっているのと、ライナーもそれぞれ別人が書いているようだ。
さて、1969年は7月にアポロ11号による人類初の月面着陸があり、小学校で担任の先生共々クラス全員でテレビ中継を見たという忘れられない年だ。そしてその年の9月にビートルズは実質的なラスト・アルバムを発表する。次回の追っかけはいよいよAbbey Roadである。