世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

「森に眠る魚」(角田光代)

2011年12月22日 | Weblog
たぶん、このままいくと、私は出産とか育児というものに縁のない人生を送るであろう。
そんな私が書店にてたまたま手に取った作品「森に眠る魚」は、小学校のお受験を描いた作品だった。
角田光代の作品はこれまでに「八日目の蝉」「対岸の彼女」を読んだ。
伏線の張り方や文章の秀逸さはクマパパも絶賛するほどである。
出産や育児には関係のない私だが、角田光代だし、読んでみることにした。

「森に眠る魚」の舞台は東京の文教地区。
明記はしていないが、恐らく文京区だろう。
文京区幼女殺人事件をモチーフにした作品だから。

ひょんなことからママ友になった5人の女たち。

★容子 (子供:一俊)
大人しい感じの地味で真面目な人
子供も大人しい感じ
後半、豹変!こえーよ。

★千花 (子供:雄太、桃子)
裕福で綺麗で社交的。
自由に生きる妹がいて、後半、両親の羨望が妹に向き、嫉妬。

★瞳 (子供:光太郎)
メンヘラな過去を持つ。
ボランティア活動をしている。
宗教者の夫(正論しか言わない)に弱みを見せられない。

★繭子 (子供:怜奈)
義父の遺産で高級マンションを購入。
茨城出身。
ヤンママ風。
素直だが、ずうずうしい。

★江田かおり (子供:衿香)
繭子と同じ高級マンションに住む「マダム」
長年不倫をしている。
娘を私立小学校に通わせている。


最初から5人とその子供(&夫)の名前がドバッと出てきて、読んで戻って…を繰り返していた。
しかも、5人の性格や生い立ちを遂次メモしながら読み進めるという、私の読書では初めての体験もした。
中盤からは、名前と性格や子供の名前が一致し、後半はスルッとエンディングまで読み切った。

5人は知り合った当初、お花見に行く。
その頃は、和気藹藹してて、読んでいて微笑ましい感じがした。
子育て方針も「子供の希望を尊重したい」というもので、小学校受験とはほど遠かった。
しかし、かおりの友達の取材に応じた日から、次第に「私の子、このままでいいのかな」という思いに苛まれる5人。

仲間から抜け駆けしていいものか?
いや、本当に受験させるのか?
夫は?
お金は?

僅かな亀裂から水が注ぎ込まれるように、渦巻く黒い想いに徐々に吸い込まれる彼女たち。

受験する学校を受験するまで内緒にし、
お教室(予備校)を秘密裏に通わせたり、
そもそも受験することを内緒にしていたり、
本当に凄かった。

疑い、探り、悩み、苛立ち、結果、病んで過食に走ったり、ママ友に依存したり…。

読んでいて重くなってしまった。
が、止められない。
ヒートアップする彼女たちに吸い込まれるように、読者である私は目を頁から離せなかった。

これは軽くホラーである。


一つだけ、不思議に思ったのは、彼女たちは人と人の「間」を取ることが、なんでこんなに下手なんだろうということだ。
他人の家の中のことや教育方針がどうしてそんなにも気になるのかが、不思議だった。
いいじゃん。受験させたけりゃ、「させるよ」で。
なんで他人の動向まで探らなければならんのだ。

読んでいて、そこだけが理解できなかった。

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お留守番

2011年12月22日 | Weblog
「で、明日から君は何すんの?」
と言われた。
吉熊上司に。

明日から私以外の同僚たちは歳末商戦の販売応援に行く。
この時期は、当社というか、この業界で一番のかき入れ時だ。
今年はみんな泊まりがけの遠隔地へ行く。奈良、大阪、静岡、福島、宮城…。

そんな中、私は本社に鎮座して、社長とお留守番。
販売は死ぬほど苦手なので非常に嬉しい。

で、上記のことを言われた。
「第三四半期決算短信の文言(定性的情報の部分)を考えたり、経費の締め業務をしたり、色々です…」
と返答。

ニヤニヤする吉熊上司。
きっと彼は明日からの出張が楽しみで仕方ないんである。
「あと、10分に一度、ロビーが閉まっているか確認に行けよな」
と笑いながら言った。
もー、何ですか?、その自宅警備な仕事は。


明日、明後日出勤すれば25日は休み。
もう少しだ、自分。頑張れ。

クリスマスイヴはクマたちとケーキ食べて、クマたちとクリスマスソングを熱唱する予定。
クマクマクリスマス。


帰りがけ、商店街で見かけた洋服店のディスプレイ。
クマさんが三人連なっている。可愛い!