世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

思い出貯金

2012年01月10日 | Weblog
「行ってきたよ!」
朝、出勤した瞬間、吉熊上司から報告を受けた。
そう、私が差し上げた東京国立博物館のチケットを、土曜日にさっそく使用したらしい。
普段、家族と出歩くときには車か自転車を使用する彼の一家。土曜日は久々に電車に乗り、彼の息子も大喜びだったとのこと。
幼稚園男児は乗り物が好き、これは定説なのだろう。生まれたときから知っているあの息子さんもいよいよ今春から小学生。早いものである。

バスで浅草まで足を伸ばし、仲見世を歩いたそう。充実していたようだ。
お土産をいただいてしまった。浅草名物・人形焼き。なんだか恐縮である。


美味しい。
人形焼の顔ってよく見るとけっこう可愛い。



私がまだ小さい頃、私の親はたまに東京に連れていってくれた。
父は大学4年間を東京で過ごし、時々東京への出張があるので、慣れた感じで連れていってくれた。

正月にもらったお年玉を母に預け、家族で東京見物に行くのが我が家の習慣だった。
名付けて「思い出貯金」
お金というものの概念を知らぬ私、妹、弟は、あまり抵抗することもなくポチ袋ごと母に渡した。

渋谷のハチ公、サンシャイン60、東京タワー、浅草という観光コースもあったし、中華街、横浜の遊覧船、人形の館といった横浜コースもあった。

東京タワーの展望台でビビる弟に笑ったり、
その下の蝋人形館の拷問シーンに目が釘付けになったり。
上野から宇都宮に帰る際、父がごちそうしてくれた駅そばが美味しかったり、
浅草で羽子板のブローチを買ってもらって嬉しかったり。
昨日のことのように思い出せる。
瞼の裏に刻印されたキラキラした宝物だ。

そんな「思い出貯金」を、母は、父兄文集に書いた。
その文章が教頭先生に誉められたと聞き、子供心に嬉しかった。

宇都宮から子供三人を引き連れて上京する親の苦労を考えて自分に重ね合わせると、「自分には無理っす」と思う。
私は自分が楽しむことで精一杯なんである。

「思い出貯金」は、投資することもなく、貯金したまま、永遠に私の中で価値を高めていくのだろう。

私の差し上げたチケットが、吉熊上司の息子さんの思い出貯金の足しになれば、と思う。

コメント (2)