金沢の「成巽閣」に行ってきました。ここのお雛様は以前から見たいと思っていたものですし、昨秋に熱海の「起雲閣」を見た時にそのモデルになった建物と聞いてますますその思いを強くしていました。「成巽閣」は加賀百万石の前田家の奥方の御殿…江戸時代の代表的な大名屋敷として重要文化財に指定されています。今回は「雛人形・雛道具特別展」を見てきました。金沢 加賀前田家の奥方御殿 成巽閣 (seisonkaku.com)
建物正面と前庭です。建物の一階は「書院造り」で腰板の絵に名前がついた6部屋と謁見の間があります。ニ階は「数寄屋風書院造り」で色壁が特徴の7部屋があります。
ここでは屋内は撮影禁止で庭の写真しかありません…庭はとても立派な植え込みがあって木々の下にはちょうど「ミスミソウ」が咲いていました。
名残の梅の花や桜の花も咲き出して彩りを添えていました。2階から見下ろした庭には咲いているのは桜でしょうか…塀や門の向こうは「兼六園」です。
一階の各部屋には障子の腰板に春の蝶や花が画かれていて注目でしたし、謁見の間は豪華な欄間にも注目でした。二階は各部屋の壁や天井に趣向を凝らしていました。二階の屋根は「こけら葺き」…サワラの薄板を使い、竹の釘で止めてあるそうです。
「雛人形・雛道具特別展」はこの時期ならではの企画で各部屋と廊下にたくさんの展示がありましたが、どれも撮影禁止でしたので絵葉書から…
たくさんあったお雛様の一つ「有職雛(ゆうぞくびな)」…長顔系のお雛様で寛永雛、享保雛の流れをくむお雛様です。1750頃のものだそうです。
こちらは「次郎左衛門雛」…丸顔系のお雛様で室町雛の流れを汲んでいるそうです。ここに残されたお雛様の中では最も大きなもので、1760年頃のものだそうです。
たくさんのお雛様の段飾りや雛道具たちはどれも注目でした。蒔絵の豪華な雛道具がたくさんありました。
雛道具の中には蒔絵のものばかりでなく、切子ガラス(ギヤマン)もありました。陶器のものも…いずれもとても小さなものです。
こちらは「群青の間」の様子です。色鮮やかな群青はフランスから輸入された「ウルトラマリンブルー」を使っているそうです。ベンガラ色の壁色とも相まって見事でした。この色壁が熱海にある根津嘉一郎さんの別荘だった「起雲閣」にも生かされていて、そちらも見事な群青の間がありました。
いつの日にか訪れたいと思っていた「成巽閣」ですが、お雛様の時期に訪れることが出来て良かったです。たくさんのお雛様と雛道具に出会え、見事な部屋や庭を眺め。感激の一時でした…