私が、実家を出て、東京へ行ってから・・・
父には 疎んじられ ( 父の希望を無視して上京したから )、
母だけが 私の生き方 ( 選択 ) を 応援してくれていた。
あの頃、家出同然で、実家を出た私は、肩身の狭い思いで、
田舎に帰省していた。
しばらくの時間を共に過ごして、東京へ向かう飛行機に乗る際には、
母が運転する車で、いつも 空港へ向かった。
ゲートをくぐっても、母は空港の屋上から 飛行機が飛び立つまで
いつも じっと眺めて、私を見送ってくれていた。
その姿を思い出すと、今も、ちょっと 「 うるっ 」 とする・・・。
母は、本当に、明るくて、愛情が豊かな人だったから、
すべての感慨&思い出や 忘れがたきことが、空港の姿とダブって
思い出される。
空港へ行く途中で、いつも二人で食事をしていた店に、出かけてみた。
うなぎや お寿司や うどんなどが 主で、古くからある和食店だ。
私は 「 うな玉丼 と うどん の セット 」 を 頼んだ。
昔から味の濃い店ではあったけれど、美味しくなかった。
昔も美味しくはなかったけれど、もっと美味しくなかった。
うどんの汁は昆布が中心で、かつおの香りはしない・・・。
母との思い出が、汚されたような感情になってしまって、
哀しくなった。 切なくなってしまった。
だから、コメント ( アンケートシートがあったので ) を残し、
うどんの美味しい店に行って、口直しをした。
四国では、美味しいだし汁のうどんが多い。
昔は、どの店に入っても、美味しいだし汁のうどんが食べられた。
ここは、その頃の汁を思い出すような・・・美味しい汁だったョ。
やはり、同じ一食だから、美味しいものを食べたいと思う。
※うどんの汁の味の違いは、写真を見るだけでも分かるかもしれない。
私の小学校の低学年の頃の “ 将来の夢 ” は、「 うどんや 」 。
うどん好きの子どもで、県道沿いのうどんやさんを 食べ歩きして、
美味しい 「 うどん 」 の研究をしながら、だし汁を堪能していた。
母の命日に、久しぶりに、「母との思い出の店」 に出向いたが ・・・
ピカピカの豪華だった店は、今はもう壁のクロスが剥がれるぐらいの古さで、
年月の流れを感じることになった。
でも、母の愛情を思い出して、心が ほっこりと した・・・。
料理は美味しくなかったけれど、行ってよかった―と思う。