最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

外国弁護士が日本の法律を知らなかったことを理由に主張はできない

2018-03-14 19:49:57 | 日記
平成28(許)43  仲裁判断取消申立て棄却決定に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
平成29年12月12日  最高裁判所第三小法廷  決定  破棄差戻  大阪高等裁判所


1 仲裁人が当事者に対して仲裁法18条4項にいう「自己の公正性又は独立性に疑いを生じさせるおそれのある」事実が生ずる可能性があることを抽象的に述べたことは,同項にいう「既に開示した」ことに当たらない。
2 仲裁人が,当事者に対して仲裁法18条4項にいう「自己の公正性又は独立性に疑いを生じさせるおそれのある」事実を開示しなかったことについて,同項所定の開示すべき義務に違反したというためには,仲裁手続が終了するまでの間に,仲裁人が当該事実を認識していたか,仲裁人が合理的な範囲の調査を行うことによって当該事実が通常判明し得たことが必要である。

事実関係
1 平成14年10月,三洋電機は米国法人にエアコンを売買契約を締結した。
2 平成16年4月にシンガポールの子会社に権利を譲渡した。
3 平成23年4月,三洋電機はパナソニックの完全子会社になった。
4 抗告人らは,相手方らを被申立人として,平成23年6月,JCAAに対 し,本件売買契約等につき,抗告人らには契約上の義務違反がない旨を宣言する等 の仲裁判断を求めて,本件仲裁事件に係る仲裁手続の開始を申し立てた。
5 本件仲裁事件の仲裁人として,平成23年9月20日までに,Aほか2名 が選任された。Aは,のシンガポールオフィスに所属する弁護士である。 Aは,同日付けで,「K&Sの弁護士は,将来,本件仲裁事件に関係性はないけ れどもクライアントの利益が本件仲裁事件の当事者及び/又はその関連会社と利益 相反する案件において,当該クライアントに助言し又はクライアントを代理する可 能性があります。また,K&Sの弁護士は,将来,本件仲裁事件に関係しない案件 において,本件仲裁事件の当事者及び/又はその関連会社に助言し又はそれらを代 理する可能性があります。」との記載のある表明書(以下「本件表明書」とい う。)を作成し,これをJCAAに提出した。
6 弁護士であるBは,Aが本件仲裁事件の仲裁人に選任された時点ではK& Sに所属していなかったが,遅くとも平成25年2月20日以降,K&Sのサンフ ランシスコオフィスに所属している。
7 Aほか2名の仲裁人の合議体である仲裁廷は,平成26年8月11日,本 件仲裁判断をした。
8 アメリカの訴訟代理人を務めている事実(以下「本件事実」という。)を開示し なかった。
9  原審は,本件事実が法18条4項にいう「自己の公正性又は独立性に疑いを 生じさせるおそれのある」事実(以下「法18条4項の事実」という。)であると した上で,要旨次のとおり判断して,本件仲裁判断を取り消した。


ちなみに仲裁法18条は
第十八条 当事者は、仲裁人に次に掲げる事由があるときは、当該仲裁人を忌避することができる。
4 仲裁人は、仲裁手続の進行中、当事者に対し、自己の公正性又は独立性に疑いを生じさせるおそれのある事実(既に開示したものを除く。)の全部を遅滞なく開示しなければならない。

これは、弁護士法にも倫理規則にも来れに似た条文があります。当然、アメリカにもあるでしょう。

裁判所は、
Aは仲裁法の18条4項を知らなかったので、開示しなかった。しかし、仲裁人は,法18条4項の事実を知らなかったというだけで,当事者に対 してこれを開示すべき義務を負わないとはいえず,手間をかけずに知ることができる事実について開示のために調査すべき義務を負うべきである。
仲裁人が当事者に対して法18条4項の事実が生ずる可能性がある ことを抽象的に述べたことは,同項にいう「既に開示した」ことには当たらないと 解するのが相当である。
さらに
仲裁人が,当事者に対して法18条4項の事実を開示しなかったこ とについて,同項所定の開示すべき義務に違反したというためには,仲裁手続が終 了するまでの間に,仲裁人が当該事実を認識していたか,仲裁人が合理的な範囲の 調査を行うことによって当該事実が通常判明し得たことが必要であると解するのが 相当である。

Aが本件事実を開示すべき義務に違反したものとした原審の上記 3(2)の判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。


高裁に差し戻しとなりました。
外国弁護士とはいえ、日本企業を相手に裁判をするときに、日本の法律を知らなかったでは許されないでしょう。
これは弁護士懲戒に該当する事案です。当然の判決です。

裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 岡部喜代子
裁判官 木内道祥
裁判官 山崎敏充
裁判官 林 景一