Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

笑えない現実

2013-08-09 | Weblog
露見しようがしまいが、東電福1原発の汚染水は海に流出し続けている。地下水が原発を通過して汚染水となり海に出て行く現実に対応するため、今後は原子炉建屋に流れ込んで汚染される前に山側の井戸で地下水をくみ上げ海へ放出する「地下水バイパス」計画などを進めるという。本当に可能なのか。有効性は保証できるのか。可能ならなぜとっととやっていなかったのか。「除染」同様にゼネコンを太らせるだけの事業にならないのか。監視するしかない。
報道によれば、震災に伴う原発事故をめぐり、原発周辺の被災者ら計約1万5千人が、住民が被曝して傷害等を負ったとして、震災以降、断続的に告訴・告発してきた。しかし検察当局が、業務上過失致死傷などの疑いで告訴・告発されていた東電幹部や政府関係者ら全員を、不起訴処分にする方向で調整していることがわかった。……そもそも政治家の責任を問うなら自民党政権時代に遡らねばならないと思うが、「政治」の責任はないのだという。そして、東電幹部らについて、「刑事責任を立証するのは、困難」という。
そうだろうか。事故前から危険を指摘する声も、具体的な言及もあったが、無視されてきたのだ。……形だけりっぱな不完全なトイレを作り、壊れる可能性を指摘されても無視、壊れてまわりに汚物を撒き散らし続ける状況が続いていたら、普通の社会なら、誰かが責任を取るだろう。誰も責任を取らないからこそ、垂れ流しの状況を解決もできないままに、そのトイレを他所様に売りつけるなどという、厚顔無恥な行いができるのであろう。責任を取らないからこそ、現実に進行している事態の重みを感じずにいるのだろう。

稽古。今日は集中して六時間弱。密度の濃い稽古だと本当は1日あたりこのくらいの長さでありたいのだが。
打ち合わせと段取り確認を経て、夜は音響を中心におのおの裏方作業。今後に向けて諸々の決定をしていく。
下北沢に行き〈親族代表〉の「第三次性徴期」を観る。八時開演なのでぎりぎり観ることができた。きっかけは劇作家協会戯曲セミナー研修課で関わる佐々木充郭君が演出だったからであるが、考えてみれば舞台でコントを観るのは久しぶりだ。やはり三人組のコントというのはいいものだ。+紅一点(峯村リエ)というのもいいものだ。ケラや前田司郎らいろいろな人が台本を書いているが、観る前には誰がどれを書いたかは知らされないようになっている。なるほど。結果、意外とみんな「演劇」寄りになっていて、いちばんコントらしいコントを書いていたのは、佐々木君自身だった。
現在稽古中の『屋根裏』も、かつて国内某演劇賞の選考過程で「これはコントですよ」と言われて「作品賞」候補からは外された、という話を関係者から聞いたことがある。でもそのとき『屋根裏』は読売文学賞をいただいているので、文学ではあるのだろうか。あるいは「コントも文学だ」ということか。

まあ原発や憲法のことやTPPやら、日本に今起きているあらゆることは、まさに「笑えないコント」なのであるが。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする