日本演出者協会による「若手演出家コンクール」が終了。久しぶりに審査員。三月は自分の劇団が忙しいことが多かったので本当に久しぶりの参加だが、今年はなんとか二日間をキープした。かつて第1回と、もういちどくらい審査員をしたはずだが、十年以上ぶりに審査にあたったことになる。
最終候補は四人。仙台の好漢・大河原準介、ミュージカルに挑戦の永野拓也、46歳で劇団も十年以上のキャリアながらあえて「若手」に挑戦してくれた侠気の中村暢明、そして「らまのだ」を結成してまだ一年あまりの森田あや。
最優秀賞、そして観客賞は、永野拓也。やはり他とは違うジャンルへのチャレンジを選択をしたことがよかったのだろう。作品の原作は柴幸男がかつての劇王全国大会で自演で発表したもので、私はそれを観ている。
森田あやと組んでいる劇作家南出くんは私の戯曲セミナー研修課の生徒でもあるのだが、新たに細かな挑戦をしていることがよくわかる。
どの作品も俳優たちがみんな熱心に取り組んでいることがわかり、気持ちのいい上演ばかりだった。
なんにしても、おめでとう。皆さまお疲れ様でした。とくにこのコンクールの仕切りを長くやっている大西一郎氏にあらためて感謝。
コンクール審査の合間に、椿組『始まりのアンティゴネ』千秋楽に駆け込む。劇場の街・下北沢だからできる芸当。
体調不良で一時出演できないでいた佐藤誓さんが復活していた。病み上がりなのにタフな役をこなしていて、本当にお疲れ様である。
彼を支えて椿組の劇団としての集中力が増したということなのかもしれないが、相当な団体力が発揮されていて、充実していた。外波山さんの役もそうだが、劇団員たちのやることなすことがいちいちおかしくて、一人一人の個性を生かしてオリジナル戯曲を書いた瀬戸山美咲の狙いが、見事にはまったのだろうと思う。加藤ちかの美術もよかった。演出との共闘がうかがえる、いい意味での現場からの発想であることが見て取れる。
瀬戸山は四十歳前後の同世代ライバルたちが多いが、椿組のチーム力に支えられて頭一つ抜け出したのではないか。ミナモザ『彼らの敵』の週刊文春との対決のシーンもそうだったが、シリアスな中に「笑うしかない」状況を描き出すという独自の方法論を打ち出せてきているという気がする。最後のまとめに入るところで長台詞に頼ってしまったのが玉に瑕とは思う。
客演の占部房子も圧倒的で、ほかの人がこの役をやることが考えられないくらいの独自の感受性とテンションの高さを見せつける。あんな声を出せる俳優はそうそういない。私は十年前、こんな占部と二人芝居(『蝶のような私の郷愁』)をしたのだなあ、まったく冷や汗が出る。いやはや。
最終候補は四人。仙台の好漢・大河原準介、ミュージカルに挑戦の永野拓也、46歳で劇団も十年以上のキャリアながらあえて「若手」に挑戦してくれた侠気の中村暢明、そして「らまのだ」を結成してまだ一年あまりの森田あや。
最優秀賞、そして観客賞は、永野拓也。やはり他とは違うジャンルへのチャレンジを選択をしたことがよかったのだろう。作品の原作は柴幸男がかつての劇王全国大会で自演で発表したもので、私はそれを観ている。
森田あやと組んでいる劇作家南出くんは私の戯曲セミナー研修課の生徒でもあるのだが、新たに細かな挑戦をしていることがよくわかる。
どの作品も俳優たちがみんな熱心に取り組んでいることがわかり、気持ちのいい上演ばかりだった。
なんにしても、おめでとう。皆さまお疲れ様でした。とくにこのコンクールの仕切りを長くやっている大西一郎氏にあらためて感謝。
コンクール審査の合間に、椿組『始まりのアンティゴネ』千秋楽に駆け込む。劇場の街・下北沢だからできる芸当。
体調不良で一時出演できないでいた佐藤誓さんが復活していた。病み上がりなのにタフな役をこなしていて、本当にお疲れ様である。
彼を支えて椿組の劇団としての集中力が増したということなのかもしれないが、相当な団体力が発揮されていて、充実していた。外波山さんの役もそうだが、劇団員たちのやることなすことがいちいちおかしくて、一人一人の個性を生かしてオリジナル戯曲を書いた瀬戸山美咲の狙いが、見事にはまったのだろうと思う。加藤ちかの美術もよかった。演出との共闘がうかがえる、いい意味での現場からの発想であることが見て取れる。
瀬戸山は四十歳前後の同世代ライバルたちが多いが、椿組のチーム力に支えられて頭一つ抜け出したのではないか。ミナモザ『彼らの敵』の週刊文春との対決のシーンもそうだったが、シリアスな中に「笑うしかない」状況を描き出すという独自の方法論を打ち出せてきているという気がする。最後のまとめに入るところで長台詞に頼ってしまったのが玉に瑕とは思う。
客演の占部房子も圧倒的で、ほかの人がこの役をやることが考えられないくらいの独自の感受性とテンションの高さを見せつける。あんな声を出せる俳優はそうそういない。私は十年前、こんな占部と二人芝居(『蝶のような私の郷愁』)をしたのだなあ、まったく冷や汗が出る。いやはや。