石井隆さん亡くなる。
それを知ったのは、ちょうど『天使のはらわた』に七十年代に触れた記憶について、昨夜たまたま某所で語っていた直後だった。
鮮烈だったし、劇画の画面と「映画」との関わりの中に、確実にこの人のオリジナリティがあると感じさせる作品群だった。そして、せりふがまた、すばらしかった。
残念である。
そして、映画界で石井隆監督産みの親とされるプロデューサー・成田尚哉さんは、現在再演の稽古が始まった『ブレスレス ゴミ袋を呼吸する夜の物語』がもともと映画として企画されたときのプロデューサーで、私にシナリオを依頼してくれた人である。
成田さんも二年前に亡くなられているが、彼も梅ヶ丘に近い事務所だったので、住宅街の路上でばったり会って立ち話したりしたのが、懐かしい。
このタイミングなので、なんとも、である。
しかし、『死んでもいい』『 ヌードの夜』でさえ、もう三十年前なのだ。
自分がいろいろなことを考え始めた時期の先達たちが亡くなられていくと、「前提にしていること」を共有する人たちが少なくなっているな、と感じる。
でもそこで終わらせずに、魅力のあるものや人については、伝えていく努力もしなければならないなと感じる。