Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「強制撤去」されるのは誰か

2014-02-18 | Weblog
今冬の雪害、とくに今月になって毎週末のように襲う豪雪にともない、道路で立ち往生した車のために除雪車や緊急車両が通れなくなったケースが相次いだことを受けて、政府は、「車を強制的に撤去できるように法整備を検討する方針」だという。
菅官房長官は「(移動車両の)損失補償の問題もあり、今まで手が付けられずにいたが、緊急の場合にどうするかは大きな課題で、これ以上、先送りすべきではない」「災害などの緊急時に道路をふさぐ車は所有者の許可がなくても破壊・撤去出来るようにし、後で所有者に損失補償が出来るよう災害対策基本法を早急に見直す方針」を明らかにしたという。
関東甲信と東北の記録的な大雪の影響で、通行止めなどで降り始めから4日目に入っても、依然として6都県の9千人以上が孤立している、公道の対処作業についても対策が必要なことは理解できるが、今このときに、言うべきことだろうか。
みんなが動こうにも動けなくなっているときに「強制撤去」の話というのは、いかにも無神経だろう。
その前にするべきことが山のようにあるだろうと思う。

山梨県内のみではなく東京など各地でも多くの人々が食料品を買い求めスーパーやコンビニで売切れ続出、肉、魚、豆腐などや加工品も含め、在庫がなくなる店舗もあったという。
これを災害パニックの話と思わない方がいい。
この国が、国の事情がまるで違うにもかかわらず、アメリカ型の「流通」を押しつけられていることから起きているという、バックグラウンドへの理解が必要だ。
目に見える「食品」「商品」のことでなく、食料自給率や、生活地域の独立性について、きちんと思い知る機会であるはずだ。

この時期の異常気象が「雪」「寒波」に傾いているように見えることから、地球温暖化なんて嘘だね、と言う人がいるが、まさに地球温暖化のせいなのだということを、マスコミも学校もちゃんと教えてほしい。垂れ流される自分の国やアメリカの情報だけ見ていたら、世界の気象異常の実体については理解できない。
情報過多、もまた、情報隠しである。

東電福1原発は続々とメルトスルーの道を辿っている。1号機も2号機も異常事態。格納容器下部の破損配管は人間が近づけなくて修復不能、1号機だけで1時間あたり最大3.4トンの核燃料に触れた高濃度の汚染水が漏れていると推計される。多くの原子炉周辺で漏れ出した汚染水の放射能濃度は人間は近づけない汚染レベルで、にも関わらず、破損箇所をふさがない限り漏れ続ける。もはや絶望的状況になっているというのに。
地下水脈に触れれば、汚染は一気に拡大する。「底が抜けた」のだ。
ほんとうに「人間が住めないエリア」が広がる局面に来ているのだ。
政府がどんな対策を打っているか、まるでわからない。
「車輌の強制撤去の法整備」、そんなレベルで追いつく話ではない。
安倍首相は少なくとも迅速に「収束撤回宣言」をすべきだろう。
オリンピックを返上するタイミングを今以上に遅らせない方がいい。
一部マスコミは汚染状況を一瞬だけ報じたりもしている、だからこうして少しは知ることもできるが、基本的には全般的に、黙殺である。
この国の「自粛」は、「無責任」ということである。

原発だけではない。「処分施設」さえ不可能であることは、指摘され続けねばならない。
放射能廃棄物の問題が「原発問題」にされていることじたいが、情報の矮小化だ。
米エネルギー省は、ニューメキシコ州カールスバッド郊外にある放射性廃棄物の「地層処分試験施設」で放射能を検知したため、職員を退避させたと発表した。
同施設は1999年から操業しており、核兵器の製造過程で出た放射性廃棄物を地下施設で試験的に管理している。地下655メートルに埋設した放射性物質から漏れた可能性があるとして、同省が原因を調べている。地下の空気はフィルターを通しており、地上で放射能は検知されていないという。
一つの施設が駄目になったらまたどこかを深く掘るのか。それを永遠に続けるつもりか。もちろん地震が頻繁に起きない国だって、いつかは汚染が地下水に漏れる可能性はある。
今回の出来事は「深地層処理」の不可能性を端的に示している。

一つの「危機」から、世界全体の危うさを想起すべき。
この世界は、人間をどこに「強制撤去」しようとしているのか。
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