映画は、なるべく予備知識なく、観た方がいい。
最近そう思っているのだが、この映画は、観る人は、ある程度の覚悟が要るので、心の準備はした方がいいかもしれない。
映画 『どうすればよかったか?』。
キャッチコピーにあるように、
「言いたくない 家族のこと
面倒見がよく優秀な姉に統合失調症の症状が現れた
父と母は玄関に南京錠をかけ、彼女を閉じ込めた」
面倒見がよく優秀な姉に統合失調症の症状が現れた
父と母は玄関に南京錠をかけ、彼女を閉じ込めた」
という内容。
これ以上は先入観がなく観た方がいいし、この三行だけでも、何かピンとくるところがある人は、慎重に、観ることを考えた方がいいとは、思う。
ただ、私は多くのことを学んだし、考えさせられた。
とくに、親子、家族のことで、考えたり、悩んだりしたことのある方は、とても敏感に受けとってしまうだろうと思う。
題名は『どうすればよかったか?』だが、これはそのまま、「人間はいかにして生きるか?」という意味である。
※ ※ ※
以下、映画の告知媒体より
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家族という他者との20年にわたる対話の記録
面倒見がよく、絵がうまくて優秀な8歳ちがいの姉。両親の影響から医師を志し、医学部に進学した彼女がある日突然、事実とは思えないことを叫び出した。統合失調症が疑われたが、医師で研究者でもある父と母はそれを認めず、精神科の受診から姉を遠ざけた。その判断に疑問を感じた弟の藤野知明(監督)は、両親に説得を試みるも解決には至らず、わだかまりを抱えながら実家を離れた。
このままでは何も残らない――姉が発症したと思われる日から18年後、映像制作を学んだ藤野は帰省ごとに家族の姿を記録しはじめる。一家そろっての外出や食卓の風景にカメラを向けながら両親の話に耳を傾け、姉に声をかけつづけるが、状況はますます悪化。両親は玄関に鎖と南京錠をかけて姉を閉じ込めるようになり……。
20年にわたってカメラを通して家族との対話を重ね、社会から隔たれた家の中と姉の姿を記録した本作。“どうすればよかったか?” 正解のない問いはスクリーンを越え、私たちの奥底に容赦なく響きつづける。分かりあえなさとともに生きる、すべての人へ向けた破格のドキュメンタリー。
『どうすればよかったか?』
監督・撮影・編集 藤野知明
制作・撮影・編集 淺野由美子
編集協力 秦岳志 整音 川上拓也
製作 動画工房ぞうしま 配給 東風
2024年/101分/日本/DCP/ドキュメンタリー
(C)2024動画工房ぞうしま
制作・撮影・編集 淺野由美子
編集協力 秦岳志 整音 川上拓也
製作 動画工房ぞうしま 配給 東風
2024年/101分/日本/DCP/ドキュメンタリー
(C)2024動画工房ぞうしま
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以下はネタばれになる可能性があるので、御覧になる前には、読まないでください。
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前半は、どういうことになっているかよくわからない場面もあり、監督の立場がどういう客観性なのかとらえがたいところがあった。また、症状のある方を観ていることの苦しさ、これは本人の承諾なく公開しているのではないかとプライバシーというか本人の肖像権や承諾の問題等が頭を過ぎったり、混乱させる要素もいろいろだった。
だが、姉が三ヶ月の治療を受けて帰ってきたところから、映画の空気は変わる。合うクスリが見つかって、話ができるようになったことの幸福が、じわじわと前半の苦しさや疵を埋めてゆくようにも感じられた。
監督の姉に対する思いが、クリアになったように受け止められたからである。
25年前に、もしもこうしていたら、という未練と悔恨は、止めようがないとは思うが、人生とは後悔や無念と向き合ってゆくことなのかもしれない、と思わせるだけの「事実の力」が、確実に伝わってくる。
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